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🐈‍⬛尾形百之助のこと

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記事一覧

猫と犬 尾形百之助と月島基

猫と犬 尾形百之助と月島基

尾形と月島はその生い立ちや境遇において共通点の多いキャラクターである
両者とも家庭に恵まれず周囲からは浮いた存在として幼少期を過ごしていた。
また実の父を手にかけた息子という父殺しのキャラクターと言う点が大きな共通項でもある。
にも拘らず、両者の性格は全く相いれないまま辿った結末もおそらく真逆とさえいえるものだった。
本稿では尾形百之助と月島基
この二人を比較しつつ彼らの何が違ったのかを考察する

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悪いヤツに恋する

悪いヤツに恋する

私は男性になったことがないので分からないのだが、
悪い人に憧れる、カッコいいと思う、好きになる、
そんな恋愛対象は、男性・女性どちらの方が多いのだろうか。
ファム・ファタール(魔性の女)という言葉があるくらいだから、どちらもそういうことはあるのだろうけど。

この人は悪い人だ。
この人を好きになっても、幸せにはなれないだろう。
でも、頭では分かっていても目を逸らすことができない。ふと見せた意外な顔

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ゴールデンカムイ 尾形百之助は罪悪感を感じない…のか?

ゴールデンカムイ 尾形百之助は罪悪感を感じない…のか?

(ネタバレです。最新刊まで一周読んだ方向けです。絵はトレス)

Twitterなどで尾形について書かれているのを見ると

・尾形は罪悪感を感じていない
・尾形に罪悪感を感じたがっているが元々持って無いから感じられない
・尾形はサイコパスだ

などと言われています。

私も初めて読んだ時は何がなんだか分からなくて、「何考えてるんだ!悪辣な事をする酷い人間だ」と感じました。しかし、何周か読むうちに全く

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祝福とは何だったのか?-尾形百之助の悪魔的解釈について-

祝福とは何だったのか?-尾形百之助の悪魔的解釈について-

1.はじめに尾形が最後まで求め、最終的に得られたかに思えた「祝福」。
ただ、この言葉、日常的には使わないであろうちょっと聞きなれない言葉でもあります。単純に、人を祝う気持ちという意味に取るにはあまりに日本語として特徴的すぎないでしょうか
ゴールデンカムイには、オマージュ、モチーフとされる主題など、引用される創作物がたくさんあります。この「祝福」という言葉も何らかの引用なのではと思い、調べてみること

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ゴールデンカムイにおける銃メタファー

ゴールデンカムイにおける銃メタファー

(ネタバレです。最新刊まで一周読んだ方向けです。)

本日発売のヤングジャンプに掲載されているゴールデンカムイ第293話の中で、戦闘中に高揚した鶴見中尉が銃を男性器に見立てて自慰のジェスチャーをしていました。それを見てこの作品は銃を男性器のメタファーとして取り扱っているということをおっしゃる方がいて、色々考えてみたら思い当たることがいくつかありました。

ちなみに、他のキャラクターでは、直接的な表

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ゴールデンカムイ 尾形百之助の虚無顔は無感情の印なのか?

ゴールデンカムイ 尾形百之助の虚無顔は無感情の印なのか?

(ネタバレです。最新刊まで一周読んだ方向けです。絵はトレス)

ゴールデンカムイを通読していくと、尾形は狙撃時に顔の表情が完全に無い、いわゆる虚無顔になっている描写が多いのに気づくかと思います。特に冷静に狙いすまして人を撃つ時、この顔になっています。
(逆に自分や周囲の人間が襲われるなど「これは殺るしかない!」という状況の時には怒り、嘲り、薄笑いなどの表情が現れていることが多いです)

この虚無顔

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ゴールデンカムイ なぜ「よそ者のウィルクとその娘アシリパが北海道アイヌ文化を伝承しようとする」設定なのか?

ゴールデンカムイ なぜ「よそ者のウィルクとその娘アシリパが北海道アイヌ文化を伝承しようとする」設定なのか?

ゴールデンカムイの中でアイヌの文化を伝承し守る役割を担う人物はアシリパです。しかし彼女は最初からその役割担っていたわけではありません。彼女の父ウィルク(ポーランド人と樺太アイヌの血をひく)が彼女(ポーランド人と樺太アイヌと北海道アイヌの血をひく)にその役割を直接的&間接的に割り振り、紆余曲折を経て物語後半で彼女はそれを引き受ける決意を固めました。元はといえばウィルクの意志なのです。北海道アイヌから

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【ネタバレあり】金カムがしんどすぎたので尾形にガチ弔辞を書いた 2/10追記

【ネタバレあり】金カムがしんどすぎたので尾形にガチ弔辞を書いた 2/10追記

(2023年2/10追記 冒頭だけでなく最後にもあるよーー)

ゴールデンカムイがしんどすぎて(褒めてる)未だに三日に一度思い出しては泣いているオタクです。「祝福」まじしんどいって……
 とうとう耐えられずに弔辞を書きました。金カムのことを一切知らないのに読んで感想までくれた友達ありがとう……勝手に送りつけてごめん……
 ちなみに、ガチ弔辞を書いたことがない人間が「ガチ弔辞」なんて銘打って

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尾形百之助~310話の感想~

尾形百之助~310話の感想~

忘れもしない2022年1月23日。
時間を持て余していたので、以前無料公開で界隈をザワつかせていた「ゴールデンカムイ」のアニメを見よう!と、、本当に何気なく、、、再生したのですが、、。

そこからあれよあれよという間にアニメ3シーズンをイッキ見。
その1週間後にはマンガ全巻+ファンブックを購入していました。

そんなド新人の私ですが、思い入れの強いキャラが二人できました。
主人公の不死身の杉元佐一

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私も語りたい!「ゴールデンカムイ」

私も語りたい!「ゴールデンカムイ」

もう、どのSNSにも山ほど感想・考察が書かれていますが、私も書かせて下さい。ゴールデンカムイ、感想です

一時期、アプリで全話無料だったんですよね。わたしはその期間を逃し、なんとか途中まで無料で読み、ポイントをためつつ最後は課金しました

人気だし、読んでみるか~~から始まり、1話からドはまり、狂ったように読み続け、寝る間も惜しんで完走しました

あらすじなんですが、これ、簡単に説明するといたって

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ゴールデンカムイ 200話オガタニゲタの場面で尾形百之助が超ハイテンションだった訳を麻酔の歴史から考えてみる

ゴールデンカムイ 200話オガタニゲタの場面で尾形百之助が超ハイテンションだった訳を麻酔の歴史から考えてみる

(ゴールデンカムイ最新話までのネタバレを含みます。筆者は尾形ファンのため尾形に対する贔屓がひどいです。推察が多いので話半分でお読みください。)

ゴールデンカムイ200話の最後に尾形が病院から逃げた場面は非常に印象的です。弱っているはずの尾形が緊迫した状況の中、あの不死身の杉元の手をかいくぐって逃げたというのもありますが、それ以上に逃げてゆく尾形の姿があまりにも異様だったからです。時折見せる満面の

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ゴールデンカムイ 尾形百之助の陣営別態度分析 陰キャ風からスパダリ風まで

ゴールデンカムイ 尾形百之助の陣営別態度分析 陰キャ風からスパダリ風まで

コウモリ野郎と呼ばれる尾形百之助は物語の進行に伴い各陣営を渡り歩きます。そしてその時所属している陣営によってまるで別人のように態度を変えます。そのため多くの読者から裏切り者、何を考えてるのか分からない、と怒りを買っています。逆に、これが多面性につながり尾形ファンは様々な表情の尾形を愛でることができて大満足。どんな人物なのかつかみきれないところも魅力的です。本稿では尾形の各陣営における代表的な態度を

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ゴールデンカムイ尾形への激重感情を吐き出す

ゴールデンカムイ尾形への激重感情を吐き出す

皆さん、尾形百之助は好きですか?

私は好きだったのですが途中尾形絶対許さん状態を経て最終回まで読んだ今はとても複雑な気持ちです。
本当は誰かと語り合いたい!でも相手がいないのでひとまず文章にしました。怒りやストレスは文章化するといいらしいですし、怒りの炎が燻った時「尾形 スチェンカ」で検索してボコボコにされた尾形を見たりするのはあまり健康的ではないですから…

※ネタバレあります!!

尾形の最

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尾形百之助が求めた「祝福」とはなんだったのか?

尾形百之助が求めた「祝福」とはなんだったのか?

・衝撃の310話「勇作だけがおれを愛してくれたから」

ここを読むような読者の方には説明不要と思われる310話内の尾形の告白「勇作だけが俺を愛してくれたから」。連載当時、それはとんでもない衝撃を与えた言葉だった。
第103話「あんこう鍋」で「愛という言葉は神と同じくらい存在があやふやなものですが」と言っていた男が「勇作だけが俺を愛してくれたから」と言っている。何なんだお前、それはつまり弟は俺にとっ

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