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#29 温もりについての愛を語る

ジョイと暮らすことで、自分がずっと求めていたものの正体がわかった。わたしは、誰かの温もりを求めていたのだ。

『とわの庭』小川糸 p.149

 わたしがかつて実家で暮らしていた時の頃、朝ごはんはよっぽどのことがない限り至極当たり前のようにご飯が出てきた。何か胸の中が満たされ、幸せだったのだなということをトロンとした空気の中で考える。その当たり前は、誰かの必死の努力の賜物だったことに今更ながら気がつく。

 時は流れて一人で生活するようになり、あれわたし意外と何でもできるんだな!と思うのだけど、部屋でテレビと共にごはんを食べるときに感じる寂寥感。この場に向かい合わせで、自分が作ったごはんを食べてくれる人がいることを想像する。

 結局自分で料理することは、食べてくれる相手がいることで成り立つものなのではないだろうか。ひとりぼっちで食べるごはんは、味気ない。理解者がいるのは何と、幸せだろう。丁寧に作られたごはんが目の前にあって、誰かと会話する時間。ゆっくり流れていて、愛おしく感じること。

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 さて、改めて温もりについての愛。

 温もりと聞いて、わたしの頭の中で真っ先に思い浮かべるのが、桃子さんなのです。いつも記事を楽しみにしているのですが、逆に記事にコメントいただいた時には何か救われた気持ちになるくらい暖かい気持ちになります。いつも、ありがとうございます。

 彼女に投稿いただいた、愛の形。ご家族が作ってくれていたごはんと、ご自身が旦那さんに作られている料理に関する愛について触れられています。改めて彼女の記事になぜ自分がこんなにも惹かれるのかなと考えると、その正体は愛と優しさ、でした。

 記事の始まりは、彼女の記憶。かつて食卓に並べられていた家庭料理。桃子さんとそのご家族との温かい関係性がほう、と浮かび上がってきます。日常のさりげないやりとりが目の前でイメージできるのです。温かさに満ちた食卓は、うっとりするような光景。

 どんな時でも温かく迎えてくれる家があるというのは、それだけで気持ちを前向きにしてくれる力があると思っています。何か嫌なことがあっても、家に帰れば美味しい料理が待っている。大切な誰かが作ってくれた料理は、自分の心をふわりと掬い上げてくれるのです。

 桃子さんは今、旦那さんと一緒に暮らしていて、昔自分がしてもらったように、桃子さんにとって現在進行形で一番大切な人に対して毎日ごはんを作っています。写真から、彼女の人柄が滲み出ているのです。ふわりと、美味しそうな匂いが漂ってきます。

 甘やかされて育ったと桃子さんは言うのですが、その裏には確かなご両親の愛がぎゅっと詰まっていて、それが彼女の優しさを作り上げているのではないでしょうか。

 大人になれば、上手くいかないことばかりで挫けそうになることもあります。時には心が砕けて、もう修復できそうにない時もあるかもしれません。何で自分がこんな目に遭わなければいけないんだろう。わたし自身も、かつてそんなふうに思ってしまったことがありました。

 一度追い詰められると脆いわたしの心は、簡単に床にガチャンとたたき落とされます。ここから一体どうやって立ち直ればいいんだろう。ありもしない悪い幻想がぐるぐるぐるぐると渦を巻いていました。

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 幸いわたしの周りには、なんだかんだわたしのことを理解してくれる人がいて、ふとした拍子に温かいごはんや言葉を差し出してくれる人たちがいます。noteのような、今まで一度も会ったことのない人たちも。何か肯定的な言葉をもらうだけで、それだけで何となく生きていてよかったなぁと思うわけです。我ながら、至極単純な思考回路。

 その人に生きる力を与えるのは、「誰か」や「何か」が与えてくれる熱だと思いました。その人に対する思いやり。ひとつの物事は至極単純にいかなくて、だいたいが数珠繋ぎにつながっています。良いことも、悪いことも。

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 最近よく、わたしはふとした拍子に周りの人たちに対して「愛って何だと思う?」と聞くことが増えました。中には、いきなり何言っちゃってんのと茶化してくる人もいるにはいますが、意外と真面目にみんな考えてくれるのです。それだけでも本当に人に恵まれたなぁと思います。

 ある人は、愛とは「気にかけること」だと言いました。それはおそらく「もの」であっても「人」であっても、同じことだとその人は言います。何だか、しみじみ腑に落ちた気がしました。もちろん、それだけが答えではないということは重々承知ですが。

 誰かが誰かを気にかけて、その人のことを思いながら料理を作る。それこそが料理を上達させる一番の近道なんではないかと思うわけです。わたしも、そんな風にして誰かのことを思いながら料理を作ろうと心に誓った日。

 桃子さん、素敵な記事ありがとうございました!既に企画に対して記事を書いてくださった皆さま、今少しずつ文章書いておりますので今しばらくお待ちください。


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