Dai KOBAYASHI

初めての家出は、小学校1年生。近所の犬小屋の脇に3時間滞在。 家出は放浪に変わり、ゆる…

Dai KOBAYASHI

初めての家出は、小学校1年生。近所の犬小屋の脇に3時間滞在。 家出は放浪に変わり、ゆるーく旅して35カ国。西荻窪URESICAの店員。

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記事一覧

2014年3月8日

ウレシカは、10年前に経堂から西荻窪に移転オープンしました。 前年8月に八王子のなんとかという施設のキャンパス内にある陣崎草子さんのアトリエにたんじさんやタダジュ…

Dai KOBAYASHI
1か月前
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不自然な笑顔

26歳のときに赤坂にあったITベンチャー的な会社に勤めたことがある。 事業スタートアップの営業職数人枠になぜか合格して、何の成果も残せずに半年で辞めた会社だが、同時…

Dai KOBAYASHI
2か月前
12

10キロ大会まであと18日

誰にでも人生が動き出したと思える瞬間があったと思う。 新たな地平に飛び出す喜び。これからいいことしか起こらない未来。 僕にとってそれは旅行であり、海外であり、移動…

Dai KOBAYASHI
4か月前
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2023年8月22日

朝イチでプールに行った。 デザイナーのウルちゃんが同じ市民プールに通っていて、いつか会えたらいいね、なんて話をしていたら、先月のプール休憩時間に隣で黙々と腹筋を…

Dai KOBAYASHI
8か月前
24

10キロ50分。

今年の春、絵描きの杉山巧くんが「走るモチベーションが低下している」と体力向上を目指した朝のランニングについて話してくれた。 大会でれば?俺も出るよ、なんて得意の…

Dai KOBAYASHI
1年前
34

2022.9.6

定休日だけど歩いて店へ。 道中、まりさんに電話をして好調なカレンダーの予約状況とめぐみさんが最近近くにいる気がすると話す。まりさんはいつだって真面目で丁寧に話を…

Dai KOBAYASHI
1年前
28

アルジャンセル花桂

花桂さんの解体が始まった。 5月に開業47年の店を閉め、居抜きで他の女性が引き継いだ。しかし1ヶ月でやらない決断をされて、緑と花の店は無機質なシャッターに変わった。…

Dai KOBAYASHI
1年前
28

2022年7月15日午後4時32分

展示なし、金曜日、雨。 この三つが揃うと、売上ゼロの確率が急上昇する。 そんな7月15日金曜日16時32分。店を開けてから、4時間半。閑古鳥の店のレジには若造した中年の男…

Dai KOBAYASHI
1年前
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2022年6月9日

イサドさんの額は、ほとんど売れてしまったので、今日からの展示2週目は暇だろうと思って家を出た。 店でNBAファイナル第3戦を見る。近年は選手のシュート技術が上がりす…

Dai KOBAYASHI
1年前
19

絵のない絵本

アンデルセンの「絵のない絵本」が、松村真依子さんの絵で岩波書店から愛蔵版として出版されました。 挿絵を描くことになりましたと真依子さんが教えてくれたのは1年半ぐ…

Dai KOBAYASHI
2年前
34

ねこのねえ

猫への想いが青く溢れる坂本さんの自費出版本。 猫の愛しさと猫の時間の短さに気づかされて、今すぐにでも全てをほっぽり投げてダッシュで猫を撫でに帰りたくなる問題作。…

Dai KOBAYASHI
2年前
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柳本史 個展「だっこ だっこ」

柳本さんの版画作品を見ると、じんわりと身体を掴まれて、懐かしい記憶を引っ張りだされる。 犬や猫や女の子をモチーフとしたものが多いのだけど、幸せだった犬の散歩時間…

Dai KOBAYASHI
2年前
34

おおきなかぜのよる

2017年の秋、アベと名乗るイラストレーターから展示をやらせてくださいという電話がありました。僕らは西荻窪に移転してからはレンタルをやっていないので展示の募集はして…

Dai KOBAYASHI
2年前
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2022年2月2日。

洋服の整理。あまりにもワンパーターンでつまんない自分の洋服に苦笑。チャレンジ拒否の象徴のようで、なんかしなきゃと焦って、とりあえず散髪を予約。 掃除機で毛を吸…

Dai KOBAYASHI
2年前
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ねこ100展

50人の絵描きが各2枚の作品を展示販売する展示で、どいかやさんと一緒に10年間続けてきた活動「ペットショップにいくまえに展」の集大成的な展示となりました。 2010年の…

Dai KOBAYASHI
2年前
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配達おせー

たまにツイッターで、配達おせー、なんてつぶやきを見ると、人生の早い段階でいろんな職業を体験しておくというのは、とても重要だなと思います。 僕の話で恐縮だけど、…

Dai KOBAYASHI
2年前
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2014年3月8日

2014年3月8日

ウレシカは、10年前に経堂から西荻窪に移転オープンしました。

前年8月に八王子のなんとかという施設のキャンパス内にある陣崎草子さんのアトリエにたんじさんやタダジュンさん達とみんなで泊まりにいこうということになって、そこに西荻在住のカメラマン細川葉子さんがいました。ハコさんに西荻っていいよね、みたいな話をすると、もうすぐ空く店舗があるよと教えてくれたことが全ての始まりでした。

翌週に冷やかし気分

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不自然な笑顔

不自然な笑顔

26歳のときに赤坂にあったITベンチャー的な会社に勤めたことがある。
事業スタートアップの営業職数人枠になぜか合格して、何の成果も残せずに半年で辞めた会社だが、同時に採用されたクリスさんというキラキラした経歴の香港系の先輩がいて、彼に人生の指針になるような金言をいくつかもらった。それがあの会社時代の唯一の宝物で、彼からいただいた言葉は今も色褪せることなく自分の深いところに輝いてる。

働き始めて

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10キロ大会まであと18日

10キロ大会まであと18日

誰にでも人生が動き出したと思える瞬間があったと思う。
新たな地平に飛び出す喜び。これからいいことしか起こらない未来。
僕にとってそれは旅行であり、海外であり、移動することであって、旅の一歩目の心躍る瞬間は、このためにオレの人生あったんだとずっと思えてきた。

去年、2022年初頭に、画家の杉山巧くんに誘われて走るようになった。エントリーした大会は、10キロの多摩川の小さな大会で町の好きな人走ろう

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2023年8月22日

朝イチでプールに行った。
デザイナーのウルちゃんが同じ市民プールに通っていて、いつか会えたらいいね、なんて話をしていたら、先月のプール休憩時間に隣で黙々と腹筋をやっている男性がいて、髭と頭の大きさがウルちゃんぽかった。

目が悪いので本人と確信がもてず、かといって海パン一丁で「ウルちゃん?」と慣れ慣れしく呼ぶことも「漆原さんですか?」って律儀に聞くこともできなかった。ソワソワしながら度入りのスミン

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10キロ50分。

10キロ50分。

今年の春、絵描きの杉山巧くんが「走るモチベーションが低下している」と体力向上を目指した朝のランニングについて話してくれた。

大会でれば?俺も出るよ、なんて得意の軽さを炸裂させて、自分も走ることにした。
走るのは15年ぶり。15年前は5キロと10キロの大会に2回参加して、やっぱ走るの辛いし面白くないなと思ってやめた。

最初の三日ぐらいは、走れなさすぎで、つまんなさすぎて後悔した。どうしたもんかな

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2022.9.6

2022.9.6

定休日だけど歩いて店へ。

道中、まりさんに電話をして好調なカレンダーの予約状況とめぐみさんが最近近くにいる気がすると話す。まりさんはいつだって真面目で丁寧に話を聞いてくれる。高二の時にダブりそうになったのを必死に励ましてくれた梅原先生と声が似てて、あのときありがとうございますっていつも言いたくなる。12月出版の新作絵本が楽しみ。

振り込みや片付けをして、久々に親父に電話。そっちの方に行く用事が

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アルジャンセル花桂

アルジャンセル花桂

花桂さんの解体が始まった。

5月に開業47年の店を閉め、居抜きで他の女性が引き継いだ。しかし1ヶ月でやらない決断をされて、緑と花の店は無機質なシャッターに変わった。

花桂が開いてないこと、桂子さんと平(ヒラ)さんのふたりがいないことが、こんなにも残念に思うなんて想像できなかった。毎朝の挨拶も、暇つぶしの冗談も、集荷のおじさんのモノマネも、隣のカレー屋の音量うるせーなと盛り上がることも、もうでき

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2022年7月15日午後4時32分

2022年7月15日午後4時32分

展示なし、金曜日、雨。
この三つが揃うと、売上ゼロの確率が急上昇する。
そんな7月15日金曜日16時32分。店を開けてから、4時間半。閑古鳥の店のレジには若造した中年の男。なんて悲しい絵面だろう。

もう何回、冷蔵庫を開けただろうか。レジ奥の冷蔵庫に入っているのは、こだわりレモンサワー檸檬堂350ml1本と小さい角切りのチーズ。
レモンサワーは、おととい集荷のおじさんに2度来てもらったお礼にと2本

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2022年6月9日

2022年6月9日

イサドさんの額は、ほとんど売れてしまったので、今日からの展示2週目は暇だろうと思って家を出た。

店でNBAファイナル第3戦を見る。近年は選手のシュート技術が上がりすぎて、スリーポイント勝負のよう。もう僕の好きな90年代の激しいインサイドゴリゴリフィジカルバスケは戻ってこないけど、それでもNBAのプレイオフは楽しい。30年ずっと心奪われてる。

昼一で、ジュンきよが来た。個展中のきよこさんが在廊前

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絵のない絵本

絵のない絵本

アンデルセンの「絵のない絵本」が、松村真依子さんの絵で岩波書店から愛蔵版として出版されました。

挿絵を描くことになりましたと真依子さんが教えてくれたのは1年半ぐらい前だったと思うのだけど、その時の僕は絵のない絵本は読んだこともなければ内容のイメージすらもわからなかったです。でも、岩波、アンデルセン、挿絵、の3単語の破壊力で、聞いただけでやったじゃん!と嬉しくさせる報告でした。

ちょうど10年前

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ねこのねえ

ねこのねえ

猫への想いが青く溢れる坂本さんの自費出版本。

猫の愛しさと猫の時間の短さに気づかされて、今すぐにでも全てをほっぽり投げてダッシュで猫を撫でに帰りたくなる問題作。猫を飼ってる人も、飼ってた人も、飼いたいと夢想している人も青い目にやられること必死の作品です。用事済ませてから読むこと。

坂本さんとは2013年のグループ展をきっかけに仲良くなったのだけど、当時は700円のポストカード大の作品を個人店に

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柳本史 個展「だっこ だっこ」

柳本史 個展「だっこ だっこ」

柳本さんの版画作品を見ると、じんわりと身体を掴まれて、懐かしい記憶を引っ張りだされる。

犬や猫や女の子をモチーフとしたものが多いのだけど、幸せだった犬の散歩時間とか、兄貴にぶん殴られるから母が帰ってくるまで時間を潰した小学校のジャングルジムの夕暮れとか、ハイチュウ万引きして捕まった帰り道とか、モチーフに関係あることないこと、これまでの良いことも悪いこともひっくるめて、過去をまるっと温かいものとし

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おおきなかぜのよる

おおきなかぜのよる

2017年の秋、アベと名乗るイラストレーターから展示をやらせてくださいという電話がありました。僕らは西荻窪に移転してからはレンタルをやっていないので展示の募集はしていません。とりあえずメールでの連絡をお願いし、断る前提で電話を切りました。

送られてきたメールには、挿絵を担当した書籍「THE WONDER MAPS 世界不思議地図」のイラストが添付されていて、その絵は動物や架空生き物が毒ある細か

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2022年2月2日。

2022年2月2日。

洋服の整理。あまりにもワンパーターンでつまんない自分の洋服に苦笑。チャレンジ拒否の象徴のようで、なんかしなきゃと焦って、とりあえず散髪を予約。

掃除機で毛を吸わない美容室は久しぶり。ほぼ帽子ライフな僕にとって5500円は高額だけど、担当のヤシマさんは同い年で冗談言い合いながらキャッキャできるので、彼に会いにいく感じ。

カットまで時間があったので、友達のダムッチョを誘って定休日のソンタナ向

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ねこ100展

ねこ100展

50人の絵描きが各2枚の作品を展示販売する展示で、どいかやさんと一緒に10年間続けてきた活動「ペットショップにいくまえに展」の集大成的な展示となりました。

2010年のかやさんの個展「ネコ展」からペットいくまえの活動は始まりました。かやさんが配布していたフリーペーパーを展示でも配りはじめ、翌年から「ペットショップにいくまえに展」と称して、動物好きな作家の絵や立体作品を展示販売。トークイベントや動

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配達おせー

たまにツイッターで、配達おせー、なんてつぶやきを見ると、人生の早い段階でいろんな職業を体験しておくというのは、とても重要だなと思います。

僕の話で恐縮だけど、配達やコンビニ、工場、飲食店、引越し、清掃、牛乳営業などのバイトをやりました。そのほとんど全ては、自分の未来の職業としてではなく、カネを稼ぐためだけの一過性の仕事でした。しかし、それらの仕事をしていなければ、僕はもっと社会に苛立ちを覚える

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