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絵のない絵本

アンデルセンの「絵のない絵本」が、松村真依子さんの絵で岩波書店から愛蔵版として出版されました。

挿絵を描くことになりましたと真依子さんが教えてくれたのは1年半ぐらい前だったと思うのだけど、その時の僕は絵のない絵本は読んだこともなければ内容のイメージすらもわからなかったです。でも、岩波、アンデルセン、挿絵、の3単語の破壊力で、聞いただけでやったじゃん!と嬉しくさせる報告でした。

ちょうど10年前、展示をしたいとウレシカに絵を見せに来てくれて以来、真依子さんの頑張りというか子育ての中での制作時間捻出の大変さを見聞きしてたので、両手に幼子ふたりを抱えて、コツコツ制作し、展示し、自費出版し、絵を描き続けて、こうして絵のない絵本の絵に結びついたことは、時間の取れない方達への希望の事例にもなると思います。

経堂の時は、チャリの前後に園児の娘を乗せてよく来てくれてたけど、あまりに元気な姉妹は隣のクリーニング屋さんが飼育してる亀を見に誘って店外へ連れ出していくほどでした。よく、あの生命力の塊ふたつと共に制作できてたもんだと今でも思います。

絵のない絵本は、33編の詩のような短編に150以上(!)の挿絵が詰まってます。ハッとさせられる美しい話もあれば、難解な話もあります。世界や時間を旅してうっとり気分にもなるし、挿絵をパラパラ眺めて気に入ったところを読むだけでもいいです。誰かへのプレゼントや飾るのも素敵な装丁だし、本棚にあるだけで心落ち着かせる力もあります。50年100年単位のまさに愛蔵版。

開催後の報告になっちゃったけど、完璧な人選とタイミングで真依子さんに依頼してくれた編集の宮村彩子さん、真依子さん、出版と原画展おつかれさま&ありがとうございました。将来、真依子さんの娘ふたりが、お母さんが絵を描いたんだよっていつか誰かにこっそり自慢してる姿を想像してニヤけてます。



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