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10キロ50分。

今年の春、絵描きの杉山巧くんが「走るモチベーションが低下している」と体力向上を目指した朝のランニングについて話してくれた。

大会でれば?俺も出るよ、なんて得意の軽さを炸裂させて、自分も走ることにした。
走るのは15年ぶり。15年前は5キロと10キロの大会に2回参加して、やっぱ走るの辛いし面白くないなと思ってやめた。

最初の三日ぐらいは、走れなさすぎで、つまんなさすぎて後悔した。どうしたもんかなとナイキのランニングアプリをダウンロードして、それを聴きながら走ることにしたら「目的は、走った後に気持ちよくなることです」とシンゴという心地良い声の若者が録音音声でコーチングしてくれた。
そうだ、いつも過大な自己評価でタイムや距離にこだわっちゃって挫折してきた人生だったわ、気持ち良いを目標にすればいいんだ、と価値観を根底から変えてくれた20分のショートランだった。

週3か週4で毎朝走るようになった。15分の時もあれば、3キロでやめるときもある。長短関係なくコツコツ続けていると、だんだん走れるようになって48歳でもタイムが日々縮まっていくのが嬉しかった。なにより、朝の太陽を浴びて、建物の光の反射みて、木々や芝生の喜びを感じれば、大抵のことは小さくてどうでもよいことだと心が落ち着いた。

5月に多摩川の大会に杉山くんと参加した。軽快な杉山くんは10キロを46分15秒という好タイムで走り、僕は53分25秒で走れた。自分でも驚きのメチャメチャ速いタイムで、ビールが美味かった。

初夏のある日、京都在住のシモンとレーキンが店に来た。陸上部だったシモンこと下平晃道くんに、京都で大会でない?と軽さを炸裂させたところ、ふたりは夫婦で出る!と盛り上がった。

9月に杉山くんも誘って京都の鴨川沿いの10キロ大会に出た。シモンはエントリーし忘れてレーキンは多忙で出れなかったのは、今度お仕置きするとして、僕ら二人はタイムを落とした。朝、パンを食べすぎたというよくわからない理由の杉山くんは47分台、僕は54分12秒。たくさん練習したのにダメだった。敗因は、暑さへの対策不備と白いショートパンツの速い女性についていっちゃったこと。老犬がヨダレ垂らして序盤に体力使いすぎた。

12月29日に開催されるランニング大会。地元の友達を誘って10キロ一般男子にエントリーした。目標は、50分を切ること。

とても高く分厚い壁だ。1キロ5分以内。5キロでも達成したことがない速さで、一度だけ達成した3キロでは一日のエネルギー全てを投入したかのように疲れた。今現在、心肺も筋力も50分切るレベルにない。でも12月29日には切りたいと強く思ってる。
人生で具体的な目標をクリアしたことがない僕にとっては、大きな意味のあるランニングにしたい。
気がつけば、気持ち良さよりもタイムを意識しているけれど、49分台という数字をつまみに生ビールで気持ち良くなりたい。
あと2ヶ月だ。

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