2023年8月22日

朝イチでプールに行った。
デザイナーのウルちゃんが同じ市民プールに通っていて、いつか会えたらいいね、なんて話をしていたら、先月のプール休憩時間に隣で黙々と腹筋をやっている男性がいて、髭と頭の大きさがウルちゃんぽかった。

目が悪いので本人と確信がもてず、かといって海パン一丁で「ウルちゃん?」と慣れ慣れしく呼ぶことも「漆原さんですか?」って律儀に聞くこともできなかった。ソワソワしながら度入りのスミングゴーグルを陸上でこっそりはめて横目でチェックしたところ、腹筋の男はウルちゃんの確率が80%ぐらいです、と脳からの報告が上がったので声をかけた。それが、ウルちゃんがデザインしたミロコマチコさんの「みえないりゅう」原画展の1週間前のこと。

僕が毎日プールに行く楽しみのひとつがプールサイドで小説を読むことなんだけど、今年はハルキ、佐藤正午、絲山秋子を読み終え、昨日からアルケミストを読んでいる。アルケミストは、90年代バックパッカーの必読本のような旅の小説で、僕も例外なくどハマりした。頻発する「前兆」という単語の強いメッセージ力は、25年経った今も色褪せず、瑞々しいあの時の気分を思い出させてくれる。

今日のプールの帰り、ウルちゃんらしき人が息子と小さいプールでチャプチャプしていたので、ウルちゃん!とやや小声で呼んだけど、気が付かれなかった。更衣室に帰るとスイミングキャップを落としたことに気がついてメガネをかけてプールに戻り、まだチャプチャプしている100%ウルちゃんに声をかけたら、あ、ダイさん!と嬉しそうに息子と手を振ってくれた。
嬉しかった。

今日がウルちゃんデザインの原画展が終わった翌々日だったこと、最初にウルちゃんと呼んでも気が付かれなかったこと、スイミングキャップを落としたこと、ウルちゃんと息子の笑顔が見れたことは、これは何かの前兆だ!と静かにコーフンしてずいぶん良い気分になったけど、今のところ、貴重な休日は、ネコ触って、テトリスやって、昼からビール飲んで終わっちまう。良いことありそうだったんだけどな。
でも充分だわ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?