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柳本史 個展「だっこ だっこ」

柳本さんの版画作品を見ると、じんわりと身体を掴まれて、懐かしい記憶を引っ張りだされる。

犬や猫や女の子をモチーフとしたものが多いのだけど、幸せだった犬の散歩時間とか、兄貴にぶん殴られるから母が帰ってくるまで時間を潰した小学校のジャングルジムの夕暮れとか、ハイチュウ万引きして捕まった帰り道とか、モチーフに関係あることないこと、これまでの良いことも悪いこともひっくるめて、過去をまるっと温かいものとして思い出させてくれます。

イギリスやフランスの旧い額にも、グッとくるボタンを突かれます。骨董屋さんを営む夫と壊れてる額枠や裏面を修復して、必要ならばガラスを交換。作品に合う額を選び、旧いヨーロッパの紙を切ってマットとして額装。
古いものへの愛情と淡々と制作された木版画が合わさった素敵な雰囲気は、どの時代の誰にでも長く温かく伝わると思います。

展示のために制作していただいた自費出版作品集「だっこ だっこ」。
もうほぼ売り切れで、しかも展示最終日で申し訳ないですが、動物をだっこしたことがある人もない人も子供時代の懐かしい気持ちに戻れること間違いなしです。あー、幸せだったなー、あの頃。

柳本さん、素晴らしい展示ありがとうございました&おつかれさまでした。
アヒルの卵、いつか欲しいです。


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