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2024.06.15

6月13日、友達から彼の父の訃報。79歳。1週間前に胃がんが見つかり転移もしているとのことだった。告知から1週間の悲しい報告。春ぐらいから調子が悪かったけど病院には行ってなかったらしい。
僕の父と野球のバッテリーを組んでたこともある竹下さん。小学校1年生から竹下3兄弟ともども楽しい時間を過ごさせてもらいました。ありがとうございます。ご冥福を。

翌朝、吉祥寺のユニクロに喪服的な黒のセットアップを買いにいった。感動ジャケットと感動パンツというやつ。上下で1万円ぐらいだったけど、人の死に感動はないな、と苦笑した。

夜、竹下さんの次男に電話すると、葬儀は家族のみとのことなので、喪服の出番はなくなった。この何年か、コナカとか青山の前を通る度に、喪服を買わなきゃと嫌な予感と共になんとなくの切迫感があったので、とりあえず着るものを持っている安心が得れた。コナカの前も清々しく歩けるようになる。

翌日の6月15日、店。
しばらく来なかった60歳の男性客が来た。身なりがボロボロなアートと読書が好きな人で、しわしわなお札と交換にかっこいい本を買っていく。見るからに調子が悪そうな久々の姿に、一ヶ月前から胃が痛いとのこと。胃がんの訃報直後だったので、検査を強く勧めると、60歳になって年間雇用から月間雇用に変わり有給がなくなったので検査のために休めない。要するに、日々をカツカツで生きていて、休めば一円も給料が出ないため一日足りとも休めない。カネがない。

聞けば、身寄りは新潟にひとりいて、友達はいないという。彼とは一年に一回ぐらい会うぐらいで、店以外で会ったことはない。生き様や思考には興味あるが、お客さんの一人である。僕が余計な関わりを持つには遠すぎる存在で線を跨いでいいのか迷ったが、弱っているひとりぼっちの男を看過できなかった。カネは返せる時でいいです、これで検査行ってください、と1万円を渡した。カネより命ですよと強く言ったら、1時間後ぐらいに「検査予約しました」とショートメールが来た。

その後、友達のたっくんが来た。1年ぶりぐらいのたっくんは痩せていた。食欲はあって食べてはいるけど、体重は減り続けているらしい。怖くて体重計に乗れないと強心臓が女子高生のようなことを言っていた。メンタルも落ち気味で、呑みにいこうと誘うと、元気があるときな、と無類の飲み屋好きが小さな声。近日中にわかる検査結果で、原因がわかってほしい。クルマ買ったら、どっかに行こうぜと別れた。

店をやっているとおのずと知り合いが増える。それは楽しいことだけど、重たい報告も増える。ネガティブの衝撃は、コツコツ積み重ねてるポジティブな喜びを圧倒的に凌駕する。人間のみならず猫の不調もたくさん聞くので抜け毛が増える。

みんな、検査いけ。元気でいやがれ!
(写真はサジロのスビン。道で偶然会った。元気そうw )


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