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日記

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#秋

発熱途上

発熱途上

熱が出て、ぼーっとしている。
からだはだるくて、あたまが重い。目をすこし動かすだけで、じん、と痛みが澱のように沈む。

涼しい風が入ってくる。
間接照明の灯色が睫毛に影をつくる。喉が渇いた。からだを起こしているのがつらくて、やっぱり体調が悪いのだと思う。薬を飲み込むのが苦手だ。けれどがんばって飲んだ。

目に入った睫毛を他人がとってあげている図はなんだかグロテスクだと思う。
昔、そろばんの先生が大

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青く沈む

青く沈む

 夜に沈む街だ。
 曇天に、背の高いクレーンがひとつ、そのてっぺんが赤く光る。それから帰路につく人々の波。

 青い街だ。
 信号のあざやかなみどりが無数の光を流してゆく。車。そして一気にとどめられる赤の、その群れに、今日が遠くなる気がした。

 短めのバス、大きめのプードル、清涼な風、すれ違うたびに切ったばかりの髪が頬に寄り添ってくるがわかる。しらない街でしらないからだでしらない人達と同じ時間を

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いちめんの鰯雲

いちめんの鰯雲

 音楽ってすごいと思う。その曲を聴いている間、教えてくれた彼のことをどことなく感じる。繰り返すたびにからだに馴染んでいくメロディーになんとなく夕暮れが寄せてはかえすようで、やさしくなれる。

 ということで、最近はずっとoasisの、champagne supernovaを聴いている。部屋を真っ暗にして夜に聴くと心の底をゆっくり揺らされるみたいな心地になる。そう言っていたからわたしもそうやって聴く

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