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小柳とかげ
2021年8月24日 20:20
もう終わるらしい夏休みの空を見ることなく部屋の中ひとりぼっちで吸う息にとくとくと輝いた愛のなさめぐる命の空き箱は何かを思わすことも無いさおさおさお竹の音がどこからか聞こえるのさおさおさおまた聞こえるそれは猫の悲鳴をかき消すためにマスクから開放され入ってくるのは青の音侵食していくその色はまぶたの裏に焼き付いた
2021年3月19日 19:21
消えゆく私は赤の中。明後日を泳いだあの子はもうずっと後ろに。10年後に落ちる葉っぱの鋸歯を見た。彼は振り返ることなく、落としたものになる。揺れて揺れて巻き上がる。夏の日に見た道路の蜃気楼なんてあいつの人生を語るよりずっとできっこない。猫になる。指が白く伸びていく。黒にはなれずにいる影はもっと先を進む。またあの日を懺悔する。消えてなくなる。消えたら存在がわかるもの。大事な人な
2021年2月24日 21:53
点々と光る灯りを一面に電車は走る揺れる私と揺れない街生き急ぐスマホを眺め落ちる世界私は孤独ではない私は遠くではない見慣れた路地の見慣れぬ猫は裏の天から落ちてきた呆れた文字の読まれぬ音は今の瞬間現れた赤いライトが走る夜の昼間にただただと
2021年1月19日 21:29
眠れない時に感じるこの感覚はなんなのだろう。何か自分の中にぽっかりと穴が出来、それを必死に埋めようとしているような。 息もできている。心臓も動いている。脈だって。なのに自分はここにいないと感じる。 世界から音が消えたよう……、なんてロマンチック過ぎる。実際は家族の生きている音がする。虫の音がする。夜の音がする。 ひとりぼっちじゃないのに埋まらない穴は、朝になると存在自体忘れ去られる。忘
2021年1月5日 21:08
嘔吐く様な朝が来た。逃げることも出来ず、ただただ向け合い共存するだけの関係であった。強い風に吹かれても吹っ飛ばされることの無い人間はしょうもなさそうに歩いていく。他者がいることで形成されている世界の中で、自分をイヤホンで塞ぐ。快適とはいえないことがもはや気持ちいいのだった。苦しまずに死ねることを最大の願いとしておいて、心のどこかでは悲劇の死をやりたくて仕方がない。些細なことで死ねない時