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短文『死は詩では無い』

嘔吐く様な朝が来た。
逃げることも出来ず、ただただ向け合い共存するだけの関係であった。
強い風に吹かれても吹っ飛ばされることの無い人間はしょうもなさそうに歩いていく。
他者がいることで形成されている世界の中で、自分をイヤホンで塞ぐ。
快適とはいえないことがもはや気持ちいいのだった。
苦しまずに死ねることを最大の願いとしておいて、心のどこかでは悲劇の死をやりたくて仕方がない。
些細なことで死ねない時代は生きることが容易くはない。
ずっと不愉快に愉快を重ね、
ただ笑う。

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