定番の記事一覧
【可傾式ロータードローン】ドローンのアクロバット飛行はもはやアート
スイスVoliro Airborne Robotics社の360°自在に体勢を制御できる非破壊検査用の可傾式ロータードローン(飛行ロボット)「Voliro T」はアクロバットも得意。 まるでSF映画に登場する宇宙船のように安定して惑星を飛行するドローン「Voliro T」はやがて人類に知恵を授けたモノリスのように山頂に逆さクロスを形作る。 ホリデーシーズンの挨拶として制作されたVoliro Airborne Robotics社によるこの動画『Voliro Happy Holidays Video』はイコン(icon)さえ彷彿させるパフォーマティブアートインスタレーション(performative art installation)作品と言える。 インフラや施設・設備などの検査・点検・整備のためのチルト可能なローター機構を持つ可傾式ロータードローンは他にカナダSkygauge Robotics社の「Skygauge」がある。
【ドローンにパイロットは不要】風を学習するドローン
自律型ドローン(autonomous drone)が本当に有用なものとなるためには現実世界の天候や風の状況に適応できなければならない。 そこで、カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)Division of Engineering and Applied Scienceの大学院生Michael O’Connell、Guanya Shiらはドローンが突風などの強風にも対応して飛行できるよう学習するためのディープラーニング(deep-learning)メソッド「Neural-Fly」を開発。この度『Science Robotics』(4 May 2022)に掲載された。 "This is achieved with our new meta-learning algorithm, which pre-trains the neural network so that only these key parameters need to be updated to effectively capture the changing environment," Shi says. 実験機のオンボード「Neural-Fly」は市販の「Raspberry Pi 4」に実装されており、小型・低コストを実現している。 AI(人工知能)でドローンが風を学習し、ナウシカのように風を読んで自律飛行する時代が近いのかもしれない。気象耐性だけにとどまらない、まさしく全天候型ドローンの時代が到来しつつある。 ■『Science Robotics』(4 May 2022) 「Neural-Fly enables rapid learning for agile flight in strong winds」(DOI: 10.1126/scirobotics.abm6597) https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abm6597
【空中・水中両用ドローン】空中を飛行し、水中を潜航する空水両用クワッドコプター
クワッドコプター(quadcopter)タイプのドローンは一般消費者(コンシューマー)向けのUAV(およびそのシステムであるUAS)として近年一般的なものとなったが、雨や雪などの気象条件に弱く、水上着陸ができないという欠点を抱えている。(尚、「quad」は「クアッド」と表記することが一般的になってきたが、航空業界では「クワッド」が使用される傾向にあるため本稿でも「クワッドコプター」という表記を用いることとする。) そこで、北京航空航天大学の研究者らはインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)およびスイス連邦材料試験研究所(Swiss Federal Laboratories for Materials Science and Technology)と共同で空中を飛行し、水中を潜航することが可能で、さらに吸盤で物体にくっ付くことができる空水両用クワッドロータードローンを開発。この度『Science Robotics』(18 May 2022)で発表した。 プロペラのブレードは非動力ヒンジによって水中で自動的に折り畳まれ、スクリューへと0.35秒で変形することで水中推進を可能にしている。 また、コバンザメから想を得た吸盤を搭載しており、他の物体にくっ付いてエネルギーを節約する(バッテリーの消耗を抑える)「休憩モード」(rest mode)を使用することで他の移動体にくっ付いて移動したり、その場にとどまり続けたりすることができる。 これまでも幾つか空水両用ドローンは開発されているが、水中での操作性(操縦性)が格段に向上しているのが今回の特徴と言える。気象耐性を備えた全天候型ドローンへの応用はもちろん、水難事故など災害時における遭難者の捜索、クジラやイルカ、サメ等の海洋生物の生態調査などでの活用が期待される。 ■『Science Robotics』(18 May 2022) 「Aerial-aquatic robots capable of crossing the air-water boundary and hitchhiking on surfaces」(DOI: 10.1126/scirobotics.abm6695) https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abm6695