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【ドローンにパイロットは不要】全天候型ドローンの時代

ドローンに操縦者は必要ないことをTwitterや以前の記事『【ドローンにパイロットは不要】ドローンレースでもAIが人間に完勝』などで再三再四述べてきたが、同様に民生用ドローン(UAV)の全天候型への移行を慫慂してきた。軍事用ドローンは全天候型が普通であり、中国やアメリカは台風(あるいはハリケーン)の中でもドローンを飛行させている。

しかし、民間で使用するドローン機体で全天候型と言えるようなUAVはAscent Aerosystems社の「Spirit」(「Sprite」の後継機)や米国防総省Defense Innovation Unit(DIU)の「Blue sUAS」に選定されているドローン、例えばVantage Robotics社の「Vesper」などはあるが法執行機関向けのファーストレスポンダー(緊急対応者)用という印象が強かった。

自律型かつ風雨でも飛行可能ドローン

ところが今回、オランダのAvy社から医療物資のドローン物流や山火事(森林火災)監視などで使用されている民生用VTOL(垂直離着陸)固定翼ドローン「Avy Aera」(以前の記事『【ドローンが挑む気候危機】森林火災で荒廃した大地の再生』で登場)の新型機として自律型かつ風雨でも飛行できるVTOL固定翼ドローン「New Aera」が発売された。

【スペック】
最大航続距離:100km(3kg積載時)
最高速度:90km/h
可搬重量:3kg
最大飛行時間:不明(90〜100分?)

全天候型とまではいかないにしても、雨や風速45km/hまでの風の中でも運航(飛行)可能と汎用性が拡大した。高ズームRGBおよびサーマルカメラシステム、冗長化のためのセンサーと通信リンクを搭載し、EUのドローン規制と国連による医療物資の空中輸送要件を満たした設計となっている。

医薬品コールドチェーンMedkit

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医薬品コールドチェーン空輸(ドローンデリバリー)のためのMedkitが付属するのも気が利いている。容量4リットル。温度センサーが付き、外気温40℃までの環境において100分間内部を2〜6℃に保つことができる。

ドローンレスポンスネットワーク

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ドッキングステーション(docking station)と自律型ドローン(autonomous drone)の組み合わせによって機動的な運用を可能にし、緊急事態に即応する「Drone Response Network」(ドローンレスポンスネットワーク)という考え方は私たちの「救急医療ドローンプラットフォーム」(Emergency Medical Drone Platform)に通じるところがあるかもしれない。

全天候型ドローンの時代へ

医療物資のドローン物流」シリーズで書いてきたようにワクチンや検体、移植用臓器など医療物資のドローンデリバリー(drone delivery)、AEDを緊急搬送する所謂「救急ドローン」(ambulance drone)、あるいは私たちが取り組む「救急医療ドローン」(Emergency Medical Drone)などは救命救急のため悪天候でも出動することが望まれる。

もちろん、台風などの自然災害による暴風雨時の情報収集・被害状況把握や人道支援物資のドローンデリバリーのためにも全天候型ドローン活用は重要となる。そしてまた、ドローンデリバリーはエコでクリーンであることから(『【ドローンデリバリー】が環境イニシアチブ賞受賞』を参照ください)一般オンデマンド商用ドローン宅配サービスとしても悪天候時の配達運用が待望されている。

これら医療ドローン(medical drones)や災害用ドローンが暴風雨などの悪天候下でも安全かつ機動的に運航できるよう民生用ドローンも軍事グレード並みの全天候型への移行を期待したい。

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