記事一覧
【詩】二度とないもの
指先に糸を縫い付け
記憶を辿る
割れた鏡のどれかに
隠れた私がいる
追いつけずに
諦めた塵の中に
私に触れるものがある
わがままな虹の先に
色の濃い糸を通す
私の世界と貴方の世界に祝福を
二度とないものより
【詩】メトロノームの曲線
ウランが共鳴すると月と地球が同時に鼓動を始めた
太陽系の軌道は銀河系のとある軌道に追随し
やがてあるものを避けて行く
曲線に沿う感情を束ねながら
幼かった私は笑顔の意味だけを
廃棄していきました
ただ、笑える様に
多様な色をたずさえた砂時計は
今も刻を落とし続けています
【詩】支配と隷属の終わりの日に
山肌が雪を被り
木々が白くなる
空気が透き通ると音が止まる
目の前に広がる景色に
二人で規則正しく音を紡ぐ
寝ても寝ても眠いと君は言うから
冬だからね、陽の光を浴びないからね
と、僕は答える
夜だけの世界は誰も起きていない
みんなが眠り続ける
磁力を見せつける誇らしげな月の
裏側にある世界
エメラルド色の冥王星の音を聞きながら
またとない輝きを放つ太陽は
気になってしょう
【詩】黒々としたゲーム
人は噛む
太陽に気高く叫ぶ勇気を持つために
風と仲良くできる優しさを欲するが故に
人は噛む
とても強力な中心
存在と存在の間の空白
緩衝材としての躊躇い
寝つきの悪い余白
臆病な希望に
黒々としたゲーム
アミダラの名物
とある静寂を招き入れ
必然を張り合わせて出来上がったもの
人は噛む
私は興味はないから
無心で立ち上がり
野山を駆け巡る
【詩】私とつがいのぬくもり
貴方の視線を吸い込みすぎて
私は沈黙と共に溺れる
四百年あとの約束なのに
回遊し続ける過去は
間違いを起こしたの?
これは飲み込まれた未来なの?
吐き出された未来なの?
それとも思い出した未来なの?
嘘と感じる鈍さと筋張った影の味
朽ちてゆく標準形式の生命には
雲と氷とオイルの匂いが残る
私はその夜
暗闇で立っていることが
できなくなってしまいました
取り返しのつかないこと
なのでしょうか
大丈