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2020年6月の記事一覧
芒種;第25候・螳螂生(かまきりしょうず)
冷房が効かないので
窓を開けて車を走らせていると
どこからやってきたのか
蟷螂の子がフロントガラスを斜めに翔けていく
たった一匹
梅雨入り前の途方も無く広い空を眼下に
二つの鎌を立て
身を反らせて
三角まなこはみどりの粒で
あんなにも軽々とあらわれて
もう会えない
花を活ける仕事をしていると
稀に蟷螂の卵が付いている枝がある
捨てられないのでバルコニーなどに保管しておくと
小満;第23候・紅花栄(べにばなさかう)
中東あるいはエジプト原産と言われるベニバナ、本紅で有名な紅花の咲くのはまだ先。
「半夏ひとつ咲」ともいうから咲きはじめは夏至の末候。
まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花(芭蕉)
行く末は誰が肌触れむ紅粉の花(芭蕉)
と奥の細道巡礼で芭蕉が詠んだのは、今の日付に換算すると7月中旬となるようだ。
まゆはきは「眉掃き」「眉刷毛」で、おしろいを叩いた後 眉についたそれを払
小満;第22候・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
生まれ育った地域はかつて養蚕がとても盛んな土地柄で、小学生の頃は隣もお向かいも裏の家も田畑と養蚕を営んでいた。
隠し部屋のようになっていて使うときだけ降ろす階段が、土間続きに設えられていて、それを不思議な感覚で登った記憶がある。登ると蚕室は囲炉裏や寝室のある一階の上ほぼ全てという広さで、そんな板張りのガランとした「お蚕さん」の蚕室に何度か入れてもらったことがあるけど、何百匹といる蚕が草を食む音に
立夏;第20候・蚯蚓出(みみずいづる)
分解者の代表 蚯蚓。特にこの時期、彼らの役割を改めて思い出す。
場所は世田谷ものづくり学校。
ぽくぽくと土を耕してくれて、年々土は豊かになっていく。
人の手は最小限にしている都市では珍しい場所。足元に広がっている見えない営みが命を支えている。
蚯蚓もまた死んだら次の命の場所になる。