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恥ずかしいだけのガチポエム

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素敵な写真とセンチなポエム。現実の厳しさに疲れた心を癒やされたいあなたに贈る、こつこつと積み上げていく世界。 心のどこかがほんのりとあたたかくなれば幸いです。 がんばって、だいた…
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2021年2月の記事一覧

未来を選べ

未来を選べ

後悔している、という言い方は好きではない。自分が生きてきたことがむだになってしまう気がして。
なにがあっても、そこから自分は成長していく。
とはいえ、たまにはこう思う時もある。
大学時代にもっとがんばればよかったな、なんて。
でも、そんなこと考えても仕方ないのだ。時間は戻せない。好きな映画の好きなセリフを思い出す。
未来を選べ。

ずっと待ってた

ずっと待ってた

彼女とは高架下で待ち合わせることが多かった。
ふたりの家のちょうど真ん中。
待ち合わせ場所には、いつもぼくが先についた。彼女はぎりぎりにくることが多かった。遅刻はしなかった。
ぼくは高架下でじっと待っていた。
ある日、ぼくらは喧嘩をした。
翌日、高架下で待っていたけれど、彼女は現れなかった。ぼくは頭上を電車が10回駆け抜けて、ようやくあきらめた。それから1週間。ぼくは毎日電車の音を聞いていた。

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コンフォートゾーン

コンフォートゾーン

なんだかんだで都会から離れられない。
良くも悪くも。
都会には仕事があって、生活を変えなきゃいけない理由もない。
つまり、楽なのだ。
コンフォートゾーンにとどまってはいけない、とはいう。
だけど、ぼくも彼女も必死に働いていて、コンフォートゾーンってことはない。
つまり、住む場所のことはまた考えよう。
いつもそういうオチになる。

新宿駅の切り株

新宿駅の切り株

これはぼくと彼女のつまらない冗談で、ほかの人には面白くもなんともないだろう。
実際、この冗談を愛用しているぼくらだって、おもしろいとは思っていない。
むしろ、面白くもなくて、他人に言いたくもないのがいい。
ふたりだけの合言葉なのだ。

昭和なんで

昭和なんで

ぼくらは昭和生まれだ。
年号でいうと、3世代生きている。その事実に驚く。
「思ったより、ぼくはしぶといな」
ぼくがいうと、彼女も笑う。
「わたしもだよ」
お互いに歳を重ねてきた。人生は奇妙で、楽しい。

強い花

強い花

椿って女性的だ。
これはぼくが勝手に想像しているんだけど。男性的な花は、といわれると、すぐに出てこない。思考が浅い。
それはともかく、椿は強い女って感じがする。独立していて、言ってみればキャリアウーマンみたいな。
なにかのイメージに引っ張られてるかな。
世の中ってそんなもん。

好きな建物

好きな建物

ある種の建物にはとても魅力があり、ぼくらは思わず足をとめてしまう。彼女とぼくは建物が好きという点では意見の一致を見るんだけど、実際に好きな建物の趣味は一致しない。困ったことに、もしくは幸い、ぼくらは特定のジャンルに偏ってはいなくて、古いビルが気に入ったり、洗練された新しい美術館が気に入ったりする。
意見は合わないけれど、おたがい、相手が好きなものは尊重できるから、いいのかな。

子どものように

子どものように

市場というと築地市場という世代だから、青物市場とか聞くと軽く驚く。
「市場に失礼じゃないの」と彼女はいうが、そんな自分も京都西市場なんかも知らないんだから、いいかげんなものだ。
「この世界は知らないことばかりだ」
ぼくは実感する。
「知ってることばかりじゃつまらないよ」と彼女が言う。
そう。ぼくらはいつまで経っても無知のままで、新しいものを見つけては子どものように目を輝かせるのだ。

不思議な看板

不思議な看板

どうみても裏口なのに立派な看板。入り口は路地に面しているから、裏側に看板をつけたのだろう。ぼくと彼女は感心した。人に知らせるのが看板だ。店の入り口につけなくてもいい。
常識を疑え。そんな言葉が聞こえた気がした。

パクりマクり

パクりマクり

堂々とパクるね、と彼女が笑った。
「よほど好きなんだね」とぼく。
「店主の名前が達也なのかも」と彼女。
著作権がらみのルールについてはよくわからないけれど、ぼくらは楽しんだ。
「楽しい看板はいい看板」とぼくが言うと、「それはそれでパクりだから」と彼女は笑った。

ごきげんな洋食

ごきげんな洋食

たまには美味しいものを食べたいというとき、ぼくらの意見は食いちがう。食べ物の話だから食いちがうわけじゃないけど。
ぼくは、しゃれたレストラン。彼女はこぢんまりした居酒屋。
結局間をとって、洋食屋。
でも、これを提案したのは彼女。結局彼女の行きたかったのはここだったのかも。

なぞなぞなぞ

なぞなぞなぞ

謎の家を見つけた。
ぼくが報告すると、「古いだけじゃないの」と言った。
「謎って響きだけで十分美しいんだ」とぼくは言った。昔、ある映画監督がインタビューで言っていた。
「響きは美しいけど、あの家が謎かどうかは、疑問の余地ありだな」と彼女は言った。
それはぼくも認めざるをえない。

春がきた

春がきた

ようやく花が咲いた。
ぼくらの散歩道で、梅が咲いていた。
他にも花が咲いていたはずなんだけど、ようやく風が開けたという実感がわいた。
彼女と手をつないで花を見上げる。この温もりは、彼女のぬくもりなのか、春のぬくもりなのか。どちらでも良い。ぼくらは微笑んだ。

気温、湿度、ノスタルジー

気温、湿度、ノスタルジー

気温は16℃、湿度は60パーセント。ちょっと曇っていて。ぬるい風がノスタルジックな気持ちを運んでくる。
ぼくはそんなとき、泣きたいような、嬉しいような気持ちになって。
きみといられることに感謝して。