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能登半島地震

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がれきのはなし

がれきのはなし

「復興が遅い」「いつまで瓦礫の山なんだ」
そのようなコメントにはもうお腹いっぱいすぎて、現地の事情をまとめました。
言い訳したり時間がかかることを肯定したいんじゃない。
時間がかかっていることの背景を知ってもらって、まだまだ長期戦を強いられる能登のことを応援して欲しい。奥能登の能登町出身者がそんな思いでまとめました。
最終更新:2024.6.16

①所有権

まず以て所有権問題。解説不要。

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能登半島地震で笑うしかない感情と岸田奈美さんのだいじょうぶとの共通点

能登半島地震で笑うしかない感情と岸田奈美さんのだいじょうぶとの共通点

能登半島地震では笑うしかありませんでした。
家屋が傾き、電気が止まり、水道が出ない。自宅は高台にあったので人がうじゃじゃ集まってくる。毛布や着るものがほしいと玄関までくる人。近くの避難所は人であふれています。

感情のキャパを超える状況に、笑うしかない。ほんとに。

精神を正常に保つために、頭をフル回転させる。どこへ逃げればよいか、これからどうなるのか。17年前にも地震を経験していましたが、もはや

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【初のコレ受け】アンメットでも残る能登の記憶

【初のコレ受け】アンメットでも残る能登の記憶

大抵のことは忘れてしまうけれど、大切なことは心のどこかに残っている。私の最大の関心事は能登半島地震の風化だ。2024年1月1日直後には、24時間テレビ取り上げられ、WEBや新聞でも地震の被害で埋まっていた。

しかし、4カ月も経つと目に触れる報道量は激減する。世間の人々は、震災は落ち着いたんでしょう、と過去の事にしてしまうようだ。現地では、まだ瓦礫の山で、被災者は明日の生活にも事欠いている。まだ水

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能登への被災地観光にようこそ!

能登への被災地観光にようこそ!

被災地にボランティアに行くのは良いが、観光に行くのはよくない、という思い込みはありませんか。被災地の人たちがどう思っているのかをお話します。今回は、能登半島地震で被害が甚大だった奥能登地区(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)について考えてみます。なお、石川県でも奥能登以外の地域は復旧が進んでいるためある程度の観光が可能です。金沢市以南では通常通りです。

現地の危機意識現地には危機意識があります。

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5月になっても能登は変わっていない?地震発生からの優先順位を確認

5月になっても能登は変わっていない?地震発生からの優先順位を確認

2024年1月1日に発生した能登半島地震。4カ月経っても輪島朝市のあった本町通りの瓦礫は残ったままなことから、何も変わっていないという指摘が聞かれます。何一つ変わっていないか、地震発生から行政が取り組んできた優先順位を整理して、私なりに考えてみます。

1.道路の復旧地震直後に寸断された道路網は応急復旧され、緊急車両や地元住民以外も通行できるようになりました。

2.電力の復旧概ね1カ月後にはほぼ

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被災家屋に降りかかる公費解体と固定資産税のわな

被災家屋に降りかかる公費解体と固定資産税のわな

NHKの報道(2024年5月1日)によれば、能登半島地震で「半壊」や「全壊」となり、全額公費で解体される家屋は石川県で約2万2千棟と想定され、これまでに着手された公費解体は1%程度とのことです。

公費解体が進まない理由の1つに、被災家屋が相続登記がされてないケースが考えられます。本記事では、相続登記の難しさについて例を挙げてできるだけかみ砕いて説明しましょう。(わかりやすくするため、詳細や例外は

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YOASOBIの’’HEART BEAT’’に大火災の跡にたたずむ少女の姿がみえた

YOASOBIの’’HEART BEAT’’に大火災の跡にたたずむ少女の姿がみえた

能登半島地震以来、耳を離れない音楽がある。YOASOBIのHEART BEATだ。この歌は10代の迷いから将来への決意を扱っていて、NHKの番組「18祭」を機につくられた。

10代の若者の純粋な気持ちを歌ったHEART BEATを震災と結びつけるのかどうなのか。自分の中でどう整理すればよいか結論が出ないのだが、なぜか耳について離れない。私には5日以上続いた大火災跡の焼け野原で、少女が立ち上がって

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能登半島地震で全国の地方公務員から支援を受ける

能登半島地震で全国の地方公務員から支援を受ける

2024年1月1日16時10分に能登半島地震が発生すると、私のiPhoneは通知が止まらなかった。Facebookを愛用している友だちの8割は、地方公務員の方々だ。個別に返信できる状況ではなかったので申し訳ありませんでした。今回の記事は、心配してくださっている方のうち、地方公務員の方に特化した内容です。ほかにも自衛隊や警察・NPO・一般の方々にも多大な支援をしていただき大変感謝しておりますが、くれ

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被災しても、同情するなら金をくれと言ってはいけない

被災しても、同情するなら金をくれと言ってはいけない

令和6年能登半島地震で被災してから、多くの皆さんに声をかけていただいた。リアルでお会いしたことのない方から、SNSでご心配のメッセージが多数送られてきたのだ。

「私に出来るかとがあれば言ってください」

今は出来ることはないが心強いと思った。地震直後は通信状態が悪かったが、少しでも回復するとiPhoneの通知が鳴り止まなかった。心からありがたい。私は忘れられていない、被災地に関心を持ってくれてい

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能登半島地震とぎっくり腰

能登半島地震とぎっくり腰

不意にやって来るが、すぐに被害が直感できるもの。
私の場合は、能登半島地震とぎっくり腰だ。ひとたび起これば大惨事かどうかすぐ分かる。

能登半島地震能登半島での大地震は、令和6年1月1日午後4時頃に二度やってきた。地震が頻発する能登である。一度目はいつもの地震だなと高をくくっていたが、二度目の後はそうもいってられなかった。

あ、これは甚大な被害が出るな。

その場にいればだれでも直感しただろう。

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鼓門(北陸新幹線金沢駅)に響く御陣乗太鼓

鼓門(北陸新幹線金沢駅)に響く御陣乗太鼓

私にとって、旅に音楽は付きものだ。
すぐに浮かぶのは、ゴダイゴの「銀河鉄道999」、中島みゆきの「ホームにて」
小学生の頃、金沢駅へ向かう列車は鈍行列車だった。3時間もかかる代物でとても快適とはいえない。座席は4人掛け向かい合わせでシートは固かった記憶がある。住み慣れた町を出て、県都へ出かけていく高揚感・不安感は、映画「銀河鉄道999」の出発シーンと重なっていた。新幹線の新神戸駅のホームで期せずこ

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能登へ災害ボランティアに来て欲しいのか、欲しくないのか論争

能登へ災害ボランティアに来て欲しいのか、欲しくないのか論争

2024年1月1日に起こった能登半島地震で、石川県が発信し続けた情報だ。半島は自動車専用道路と一般道の2本で縦断されている。災害時は2系統あるので安心との触れ込みだった。自動車専用道は通行止め、一般道も何があるか分からないとなれば、正しい判断だった。

ボランティアは来ないで発災直後は、自衛隊と消防・警察車両が押し寄せ、道路は大渋滞していた。1系統しかない道路で、一方通行の箇所が無数にあったからだ

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義援金はどこへ?と思っている方へ(能登半島地震の場合)

義援金はどこへ?と思っている方へ(能登半島地震の場合)

被災した方から、たくさんの義援金はどこへ行ったの?という声を聞きます。日々の生活にも事欠き、先行き不安な状況で発せられる疑問だと思います。私も被災者の視点で、説明していきます。

義援金の申請開始令和6年に発生した能登半島地震に対する石川県の義援金は、申請受付が始まったばかりです。申請が終わり次第、順次振り込まれるものと思います。

2月26日(月)オンライン申請・郵送受付が開始されました。
窓口

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被災してわかった命の重さの違い

被災してわかった命の重さの違い

能登半島地震が起きてから、近くの小学校に避難した。母校だ。
電気が来ていた。停電している場所が多い中、ありがたい。ただし、水はない。電波状態も悪い。格安スマホをうらんだ。緊急地震速報も通知が来たり、来なかったり。娘に契約し直してと言われる。そうだね、いつか追いついたらね。いま必要な機能なのに遅いけど。

避難所には電気しかない。自宅から布団や毛布を持ち込み、体育の授業で使うマットを敷いて場所を確保

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