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優しいおしごと。

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初めての小説を書いてみます。 少し私の経験も混ぜますが、基本はフィクションです。 外出自粛の世の中だからこそ癒やしが必要。 家族の優しい繋がりを表現できたらと思い作成しまし…
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#祖母

優しいおしごと。(9)

優しいおしごと。(9)

私の出来るお手伝いが増えてきた。

出来ることがあるのは、自分が認めてもらえている気がして嬉しかった。

でも、祖母はそれ以上のことを毎日行なっている。

本当に凄いなぁ。

(でも、どうやって色々なことが出来る様になったんだろう?)

幼い私は不思議だった。

(誰かに教えてもらっているのかな?)

私は疑問を祖母にぶつけてみた。

「おばあちゃんは何で色々なことが出来るの?誰かに教えてもらって

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優しいおしごと。(5)

優しいおしごと。(5)

祖母は不思議なクセがあった。

それは病院で貰った、うがい薬を麦茶を入れるビン(ピッチャー)に入れて冷蔵庫で作り置きをすることだった。

よりによって、夏場にそのクセが炸裂した。

うがい薬の色合いが麦茶にそっくりだったのだ。

幼かった私は、喉の渇きを潤したくて冷蔵庫に手をかけた。

実は今冷蔵庫に入っている麦茶は、私がお手伝いして作ったものだった。

昨晩、夕食後祖母と2人で麦茶を作った。

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優しいおしごと。(4)

優しいおしごと。(4)

私の家には中型犬がいた。

名前は「コロ」
母が名付け親だ。

コロは祖父、祖母、母の言うことは、しっかりと聞いていた。

しかし、私に対しての態度は全く違っていた。

一言で言うと「怖い」
激しく吠えるのだ。

首輪に鎖がしっかりと繋がっているけれど、引きちぎらんばかりに私に飛びかかろうとする。

確かに、私は当時幼稚園生。
コロの方が体も少し大きかったから、明らかに舐められていた。

犬は家族

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優しいおしごと。(3)

優しいおしごと。(3)

祖母の料理は絶品だった。

そして様々な料理が作れる人だった。

「今日は何が食べたい?」と聞かれ「ハンバーグが食べたい」と答えた。

次の日は「焼きそば」
そのまた次の日は「オムレツ」

まるで食堂がそこにあるみたいだった。

ある日、おやつに「ポップコーン」を作ってくれることになった。

ポップコーンなんて、初めて聞く言葉だったからワクワクした。

どんなふうに作るかみたくて、わがままを言って

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