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「チャンピオンになるチーム」と「平凡なチーム」の決定的な違いは【コミットメント】にあり

「チャンピオンになるチーム」と「平凡なチーム」で決定的に違うことって、何だと思いますか?

それは『コミットメントの徹底度』だと言われています。これは世界250以上のプロスポーツチーム、大学チーム、高校チームのチームビルディング、リーダーシップ開発、メンタル、コーチングの実績を持つジェフ・ジャンセン氏が、著書「最強をめざすチームビルディング」で示しているんです。

 私はぶっちゃけ「コミットメント」っていう言葉は、選手・指導者のときあんまり馴染みがなくて、ちゃんとわかってなかった。。。(汗)なので、「コミットメントってなんだっけ?ジェンセン氏がそんなに豪語するなら、ちゃんと理解しなきゃ。」と思い読み進めたら、気付きの嵐。そこで、この本から私が重要だと思う部分をピックアップしてまとめてみました。スポーツだけでなく、ビジネスにも通じると思いますよ!!

 ちなみに、チャンピオンになる強いチームの共通点「7C」については、前回の記事でまとめたのですが、「コミットメント」はその中の最重要項目の一つです。


コミットメントとは

まずは、この意味をちゃんと理解しておきたい。ジェンセン氏はこう定義しています。

 コミットメントとは
 ・決意を持って、本気で取り組むこと
 ・責任を持って関わること

 です。前述した「チャンピオンになるチーム」と「平凡なチーム」の決定的な違いが「コミットメントの徹底度だ」と言っていることについて考えてみると、もちろんチームによって「スキルやフィジカル」の差もありますが、その差を生み出している要因として大きな影響を与えているのが目標に対する『コミットメントの徹底度』だと言えると思います。

「優勝したい」と口にするのは簡単だが、それを達成するためにどれだけの時間を費やし、どれだけ本気で取り組むことができるかということは別問題である

 これ、納得しかないです。

 そして、チャンピオンとなる強いチームのメンバーはコミットメントに関わる二つの意識が徹底されているそうです。

<目標に対する「コミットメント+苦労」が当然のこととして受け入れる心構えがある>
↓なぜ?
◆他人の命令や指示で決めたことでなく、自分で決めたことだから

<自分のこととして考える【当事者意識】と責任ある行動をする【アカウンタビリティ】を持っている>
 ↓なぜ?
◆チームの中で一人でも足並みを乱せば、それがチーム全体に影響を及ぼすことを認識しているから

 最強を目指すチームをまとめる指導者・リーダー・マネージメント層は、さまざまな工夫を凝らしてこの意識をチームに徹底することが、大切な仕事ですね。


選手のコミットメントのレベルを上げる方法

 いやーコミットメントが大事なのはわかったけど、どうやってコミットメントのレベル上げていったらいいのかわからない(><)ってのが現実じゃないでしょうか。なんとなく目標を諦めちゃっている選手や、なんとなく本気になれていない選手、それこそ口だけになってしまって、ぜんぜん行動が伴わない選手も実際いると思うんです。この選手達をなんとかしないとですよね!

 ありがたいことに、ジェンセン氏は指導者・リーダー・マネージメント層が、チームメンバーのコミットメントのレベルを上げるために必要な3つのキーポイントを挙げてくれています。

①メンバーをチームの目標の決定に関わらせる
②コミットメントを強いるのではなく、励まし、感謝することで醸成する
③シーズンを通して絶え間なくコミュニケーションを取れる時間(メンバー同士・メンバーと指導者)をつくる 

 特に①はとても重要だそうです。コーチやリーダーから与えられた目標だとやらされてやる状態になりがちで、強制されることってやる気がでません。だから、メンバー自身が具体的な目標の決定に関わることが【当事者意識】と【アカウンタビリティ(責任意識)】が湧き上がるカギになるそうです。

 これは、ジェンセン氏からの刺さる一言です。

 チームづくりは、コーチだけの仕事ではなく、すべてのメンバーがチームに関わることが重要であり、うまくいくかは選手次第である。 チームの目標決定に全員が関わり、コミットすると、そのチームは「コーチのチーム」から「自分達のチーム」に生まれ変わる。

大事ですね!!!

「成功の柱」ワーク(パフォーマンスプロファイリング)を定期的に実施しよう

 とはいえ、メンバーのコミットメントレベルを高いレベルで継続させることって難しそうだと思いませんか?目標立てて盛り上がって一瞬だけコミットメントレベルが上がってもだめ。年間を通して高いレベルをキープしたいですよね!

 それを実現するための手法として、ジェンセン氏がおすすめしているのが、【成功の柱】をつくる『パフォーマンスプロファイリング(Butler&Hardy,1992)』という手法なんです。

 これ紹介してくれてるのがありがたすぎる!!チームメンバー全員で、毎月、もしくは数か月に1度のペースで定期的に実施することが効果的だと言われています。具体的な方法9ステップを簡単にまとめるとこんな感じです。

①チームメンバーで、目標を達成するために、必要なことやあらゆる要因をブレストし、すべて書き出し列挙する
②全体を見て似たような項目をカテゴリにまとめ、成功するチームに欠かせない要因は何か議論する。まとまったカテゴリを【成功の柱】と呼ぶ
③【成功の柱】の特徴は何かを話し合い、それぞれの柱の意味すること明確に定義する
④定義した【成功の柱】が、練習中、試合中、トレーニング中、日常生活、学校生活の中でどのような、行動や思考に結び付くのか具体的にする
⑤個人ワークとして、それぞれの【成功の柱】が現在のチームではどれくらいのレベルに達していると考えられるか10点満点で評価する
⑥小グループにわかれて、グループ毎に【成功の柱】の評定結果を出す
⑦各グループから出た評定を全員の前で全て並べると、グループ毎の違いがわかるので、特に評定が2.0以上の開きがあった項目について、なぜそうなったのかを話し合う
⑧8.0以上の項目は強みとして認識できるため、「なぜ高くなったのか」理由を話し合う。6.0以下の項目はチームが向き合わなければならない項目なので「なぜ低くなったのか」「どうしたら改善できるのか」を話し合う
⑨各自で、【成功の柱】の評定を上げるための「具体的な行動」を書き出す

ちなみに成功の柱は、最終的に一貫性を持った不動のものにしていきますが、その過程では都度修正や変更を加えて進化させる必要があるそうです。

 実際、全米トップクラスの成績を収めたスポーツチームがこのワークを実施していたときの、成功の柱には、このようなものが出てきていたそうです。一部ご紹介します。

「役割の受け入れ」「情熱」「毎日の目標確認」「自分達への鼓舞」「最善の努力」「コミュんにケーション」「前向きさ」

成果を出すチームは、成功の柱の評定がだんだん上がっていくそうです。


それでも、コミットレベルが低いメンバーにはどうしたらいい?

 いろいろ取り組んでも、、、「あかん!この選手は全然コミットしていないぞ!」と思われる、見せかけコミット選手や、努力しない選手もたまにいるんじゃないかと思います。

 コミットレベルが低いメンバーをそのままにしておくと、いつの間にか、コミットしている選手のコミットレベルを落とすような「チームに対する不平不満」「チームから気持ちを遠ざけるように仕向ける行動」に出る危険性があるとのこと。

 でも実はコミットレベルが低いメンバーも、チームに入ってきた当初は何らかのモチベーションがあったはずなので、以下の5つのポイントを抑えて、コミットを引き上げられるように、接していくことが重要だそうです。

①何がコミットの妨げになっているか、じっくり話しを聞く
②丁寧にコミットする重要性を説明し、理解させる
③選手がその種目が好きな理由や将来の目標を把握する
④いま全力で取り組むことが長い目で見た時に、成果に結びつくことに気付かせる
⑤将来に向けた活動にどう取り組むかは、自分で決断しなければならないことを伝える


まとめ

 今回は、強いチーム、成果を出すチーム、チャンピオンチームになるためのチームづくりにおいて、「コミットメント」のレベルを上げる重要性とその方法を具体的にご紹介しました。

 チームづくりって何から手を付けたらいいのか悩ましいと思いますが、まずこの「コミットメント」について取り組んでみるのは、チームの基礎を固める上で効果的なのではと思います!

 あ~、キャプテンだったころの自分に、これ伝えたい( ;∀;)


<参考・引用>
ジェフ・ジャンセン(2017)最強をめざすチームビルディング
Richard J. Butler and Lew Hardy(1992)The Performance Profile: Theory and Application. The Sport Psychologist.Vol,6(3).p253–264.