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椅子それともバランスボール?

普段あまり星占いは見ないのですが、インテリア専門雑誌の巻末に『インテリア星占い』なるものを見つけ、興味をひかれてのぞいてみました。

それぞれの星座ごとにインテリアの“やりがち”やおすすめが紹介され、自分の星座の欄には、こんなことが書かれています。

「時々、どうやって暮らしているの?と疑問に思われる。家に椅子がないことも。あってもスタイルはばらばらで、全体のセンスもかなりの不思議系」

まさに私のことだ、と笑ってしまうほどに当たっていました。


私の家にはさすがに椅子はありますが、そういえば一脚として同じものがありません。
普通はテーブルとセットで揃えるはずのダイニングチェアも不揃いですし、そもそも私は椅子にはほとんど座りません。

では一体どうしているのか、いつもベッドや床に座り込んでいるのかというと、それも違い、私が腰掛けているのはもっぱらバランスボールです。

スポーツクラブなどでよく体幹トレーニングに使われる、直径70センチほどの大型のゴムボール。私はその上に座って何でも済ませてしまいます。
食事も、お茶も、仕事、読書、映画鑑賞、アクセサリーの細かい修復作業まで。
もちろんこの文章も、バランスボールに乗って書いています。


「いや、無理でしょ、危なくない!?」
ヨガレッスンで会う、私よりよほど運動神経の良い知人にも後ずさりされましたが、結論としては、何の問題もありません。

座ると体重がかかってボールがたわみ、床との接地で安定しますし、両足が床についてさえいれば、いきなり転倒するようなことは起こりません。
体幹を鍛える道具として使われていることからわかるように、お腹周りの深部筋が働くため、意識せずとも意外に安定して座れます。

私の知る70代のご夫婦も、やはりご自宅でバランスボールに座っていますが、一度も危険な思いをしたことはないそうです。


私がこんなことを始めたきっかけは、シリコンバレーの企業でバランスボールを椅子がわりに使っている、というニュースを聞いたためです。
元より家にバランスボールはありましたし、調べるほどに身体に良い影響があることがわかってきたので、好奇心にかられて試してみた、というわけです。

実践するうちに感じたのは、無意識の体幹トレーニングができるほか、姿勢の改善、腰痛や肩こり対策にも効果てきめんということです。

何しろ、普通の椅子でしてしまいがちな“悪い座り方”が、バランスボールではできません。


何かに腰掛けようという場合、解剖学の観点では、仙骨という背骨の下の骨を立て、坐骨(お尻の骨)に体重を預けることがベストです。
そうするとどこも痛めることなく、楽で綺麗に座れます。

けれどこの姿勢は多くの人にとって困難で、筋肉のくせや歪み、背もたれの使い方、柔らかすぎる座面や椅子の高さなどで、意識しても簡単に崩れてしまいます。

すると骨盤が後ろに傾いて猫背になる〈骨盤後傾〉、もっとひどいと〈仙骨座り〉になってしまいます。
電車の中でされると迷惑な、脚を前に投げ出して身体を下に滑らせ、腰で体重を支える座り方が〈仙骨座り〉の典型です。

見た目こそそこまでいかずとも、カフェの席や乗り物で、坐骨よりも腰の後ろに体重をかける座り方の人はよく見かけます。
この座り方がくせになると、背中や腰、骨盤周りの筋肉が凝り固まって、内側の筋肉は怠けてゆるみます。
そうしてそこから身体の各部位の痛みや不調に発展する、という嫌な展開が待っています。


椅子なら油断すると出てしまうこの仙骨座りが、バランスボールでは絶対に出来ません。
もし無理に試してみても、後ろに転びそうになるだけです。

実際に、私にすすめられて半信半疑で試した友人は、しつこい腰痛も治ってしまい、今では在宅での仕事中ずっとバランスボールに座っています。

こんな素晴らしいバランスボール、今ならお値段なんと…などと続きそうですが、タイアップやアフィリエイトの広告はつきません。
なんだか良さそう、で始めた習慣はやっぱり良かった、という身辺雑記に過ぎませんし、もしご興味がおありなら、量販店やネットショップで購入できる安価なものを、まずは遊び半分に試してみては?
日常の小さな革命のきっかけになるかもしれません。


それにしても、指摘や洞察が的確すぎるインテリア星占い。
次号もまたページをめくってしまいそうです。

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