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散文

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2022年2月の記事一覧

風が吹かなくても

風が吹かなくても

昨年のものですが、
ねこちゃん描きました((Ф(..  )

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図書館で手元の本に熱中していたときのこと。突然「感染対策のため、消毒と換気を行います」という館内放送が流れ、しばらくして、本棚と本棚のあいだを冷たい風がさあっと吹き抜けていった。図書館で風を感じることってあんまりないような気がするから、風がやってきた方向を見てついにっこり。本

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死にたいときは死にたいなりに

死にたいときは死にたいなりに

死のうと思って死ぬことができたら
あの人はほんものの人間だったんだって
だれかに認めてもらえるような気がしてた

小さなころから
ずっと前から

こんなに弱い人間だけど
これ以上はもう 強くなれない

だから天国で生きるんです

だれも悪くなかったあかしに
だれも恨んでなかったしるしに
死のうと思って死ぬことができたら
自分を許せるような気がしてた

「彼女は死んで幸せなんです」
「だから彼女はも

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夢のこころ

夢のこころ

あなたが泣いてる夢をみた

どんなにどんなに嫌われても

こんなにこんなに嫌いでも

夢のなかでは今もまだ

あなたを抱きしめたいわたし

あなたの罪を背負って死ぬこと

萩尾望都「トーマの心臓」のあらすじです。

シュロッターベッツ・ギムナジウムの優等生、ユリスモール・バイハン(ユーリ)。彼はある朝、一学年下の美しい生徒、トーマ・ヴェルナーが足を滑らせて陸橋から落ち、亡くなったことを耳にします。素直で可愛いトーマは、学校の生徒たちにとって、恋神・アムールのような存在でした。

誰もが不幸な事故としてトーマの死を悼むなか、ユーリは友人のオスカー・ライザーから、トーマ

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天国のラジオ vol.2

天国のラジオ vol.2

毎週土曜日 AM9時
天国で放送中のラジオ番組

タイムチャンネル

あらゆる優しさと幸運が重なったとき
まれではあるが地上の人も
その放送を聞くことがあるという

窓辺のソファに腰掛けて
窓を流れてく雨を見ていた
通りを走る車を見ていた

悲しい夜 どうしようもない悲壮感

今日ぼくは
愛も金も夢も希望も失って
なにもかもを無意味に思う

だからこそいま
自分を棺桶にしまうみたいに
この店に足を

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