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青いお皿が、青い嫉妬を吸い込んでゆく。

書くぞと決めてからずっとぐずぐずしている。

〆切の仕事は割といそいそ励むのだけれど。

それ以外の書くことはどこかで、そう思って

しまう。

昔、noteに来る前はこんなに創作する人達の

そばにわたしはいなかったので。

心揺れることもなかった。

何かに挑む時はひとりで挑んでいた。

ひとりで作りひとりで悩み、ひとりで

仕上げる。

今もそうだけど、今はnoteにきたので

心がときどきざわついている。

目の前に集中できなくなっていたりする。

自分以外はすべて凄いと思ってしまうのは

昔からの癖だから今にはじまったことじゃ

ないけれど。

きっと、心の中に嫉妬をわたしは飼って

いるんだなって、そう思った。

クリエイターはみんなそうだよっていう

記事をこの間読んだ。

それでも、わたしのなかで育つその

小動物はもぞもぞと日々育っている。

じぇらしぃっていう名の生き物だ。

時になまなましく顔をだしてくる。

それを飼っていることをもうそろそろ

やめたい。

そんなことを年上の友人と話していた。

やめたらいいよって簡単に言う。

彼女は美大を出ているので、たえず

誰かの才能ということを目の当たりに

しながら若い頃暮らしていた。

美大に行く前の予備校では、教室にみんな

並んでデッサンを競っていたという。

モデルの人が前にいて、その人を描くらしい。

じぶんのすぐ前の人のキャンバスが見えるから

上手なのか下手なのか、一目瞭然だと。

で、どう思った?

そう聞くと、上手な人はそりゃいるけど。だって

美大に受かるために来てるわけだから。

そんなこと気にしてたら、美大なんて

いけないよって、笑う。

どうしたの? それで。

わたしは描きたいように描いた。

だめでもともとよ。

失うものはないのよ、ただ東京にずっと

住みたかったから、親元に帰りたくなかった。

だから美大を受けたの。

ただそれだけだっていう。

彼女といつか上野の陶器のお店に行った時

このお皿を買った。

青と日々戦ったあげくに生まれた一枚の青のお皿。

その上野のお店では、新人の陶芸作家の方が

お皿を売っていた。

沖縄の方だった。

わたしはこれが一目で気に入った。

吸い込まれるような青。

毎日試行錯誤ですって、あたりの静けさを

すいこんだみたいに静かに彼はそう言った。

ここにたどり着けるかどうかなんて、

わかりませんでしたそんな作品なんです。

真ん中のコアの部分の色はガラスを混ぜた

って仰っていたような気がする。

物を創るってことの、あたりまえの地味で

地道な時間を教わっている気がした。

その頃も書くことでダメだしばかりを

うけていたわたしは心がちくちくとしていた。

どう書けばいいのかもわからずに、へとへとに

なっていた。

みんなこういう時どうしているんだろうって。

そんな時にであった青いお皿だった。

久しぶりこれを、戸棚の奥から出してきた。

あの日の青が甦る。

今も、彼はお皿を焼いているんだろうなって

想いを馳せた。

お父様も陶芸家だといった彼は今もきっと

土に触れ窯の熱と相談しながら頑張って

いるだろうなって思う。

ままならない日々にそっとじぶんを重ねて

みる。

このお皿を見ていると、彼がここにたどり着く

までの苦渋の日々も一緒に焼かれている気が

する。

わたしはこの数日間、ひさびさ灼けるような

嫉妬を心の中に飼っていた。

みえないそれをこのお皿の上にのっけたら、

みにくい感情をこの青が吸いこんでくれる

ような気がした。

友人にみてもらったこのお皿を、彼女は

地球のようだと言ってくれた。

わたしはこの皿に嫉妬を置いてゆく。

また、あしたもなにかを書くために。

地球のあおに みんな染まって ただ染まって
単純明快な システムを ただ知るために




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