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27年前のあの日、わたしを救ってくれた花束。

今日は1月17日。

カレンダーのたくさんの日付の中の

一日ではあるけれど。

阪神淡路大震災が起こったあの日、

わたしは大阪の北摂に住んでいた。

そして、あの日は祖母が他界して

しまってから25日目でもあった。

ニュースを見ていたら、あれからもう

27年だという。

わたしにも27年前がしっかりあって。

あの頃のことどう思っていたのか

少しだけ日記を引っ張り出していた。

父が母と別れる前に贈ってくれた1995年の日記帳。


地震直後の気持ちがそこにちいさな

文字でびっしりと綴られていた。

多分、書いて気持ちを整理した

かったんだろうと思う。

揺れた直後の気持ちが記されていた。

階段を降りていた。きしむだけきしんでるところへ。
わたしはとても危険すぎる遊具に乗っているよう
だった。とてつもない運命の渦を感じた。
黒い大きなテントが家の上にかぶさってきたみたい
だった。
おばあちゃまの遺影が、濡れているのやら、
灰が床に零れているのを見た時、ほんとうに祖母が
死んでしまったことを感じた。神戸の街が嘘のように
粉々になってやるせない涙がなんどもでました。

1995年1月17日の日記より

家が被災したわけでもなく、物理的な

被害の大きさでいうと、何もなかったに

等しいけれど。

部屋にはまだ祖母の遺影と位牌がそのままに

白い祭壇にしつらえられたままだったので

そこが部屋の中で一番、形を変えて破壊されて

しまっていることがその頃のわたしは呼吸が

くるしくなるような想いがした。

ひとりになるのが怖いってなんども日記に

書いてあった。

そんな日から一日経った昼下がり、家のチャイムが

鳴った。

淳ぺいちゃんだった。

淳ぺいちゃんはわたしよりも年上の

フラワーショップを経営しはじめた

ばかりの先輩の方だった。

起業して生きて行こうという志の

強い人だった。

淳子ちゃんだけど、いわゆる女子っぽく

なかったのでみんな淳ぺいちゃんって

呼んでいた。

祖母が亡くなった後、母がお花を切らさない

ようにしないといけないけれど、

どうしようって言った。

淳ぺいちゃんがお花屋さんはじめたばかり

だってことを知っていた母は、彼女の最初の

お客さんになろうって言って、四十九日までの

お花を予約した。

それを決めたのは年末だったので。

わたしは淳ぺいちゃんがお花を持ってきて

くれることを忘れていた。

玄関で淳ぺいちゃんがありったけの

花束を持って立っていた。

昨日の地震の翌日だったので。

彼女を玄関先で見た時に無事だったんだねって

声を上げて言ってふたりして感情がこみあげて

しまって涙声のままハグをした。

淳ぺいちゃんとハグした時花の匂いが

したような気がする。

その時今も頭の中にある映像の花束はフリージアや

黄色いフリージアのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20111155320post-901.html


水仙や


水仙の花のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20140349066no.html

ラナンキュラスなど

ピンクのラナンキュラスのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20120421098post-1356.html


どれも、祖母が好きな花々だった。

お供えのお花は祖母に捧げるものだった

けれど。

生きているわたしたちの心に

飛び込んでくる鮮やかさでそこにいた。

祖母がいなくなったことにまだ

慣れていなかったけど。

わたしはひとりで2階で眠るのが

こわくてずっと祖母の遺影のある

場所で花に囲まれて眠っていた。

これから世の中がどうなってゆくのか

わからない不安の中で。

それと比例するように家族が解体して

ゆく音までもが聞こえるような日々だった。

あの震災で近しい人の奥様が亡くなって

しまったことを知り、学校の先生が亡く

なられた連絡を受けたころだったので

なおさらだった。

わたしは心をずっと病んでいたこともあって

イキイキとした香りや色を放つ花がそれほど

好きじゃなかった。

でもその日の夜、祖母の祭壇のまわりの

花たちに、守られているみたいな気持ちでいた。

日記にも小さな字で

ぐっすり眠れたって書いてあった。

花は何も言わないけれど人々の心に

そっと届いてくることがあるんだなって

27年前の今日を日記を手繰りながら

思いだしていた。

あの震災でお亡くなりになられた方々の

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

今日という日が あったこと ありがとうなのに 
生きている 生きてゆけるかな 意味とかじゃなくて 
ありがとう




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