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履歴は問いません、今のあなたがみたいんですと言ってくれた人。

こういう返事が返ってくるだろうなって

どこかで人は想像しながら話しかける

ことってあるけれど。

想いもよらない返事を頂いて、そのことが

忘れられないことってある。

わたしは、むかし1冊だけ短歌集の本を

出版したことがあった。

その時、とある方からお声をかけて頂いて、

ぼくたちのサイトで、もしよろしければ

書いてみませんか? と、お誘いを受けた。

今お誘いを受けたと、しれっと落ち着いて

書いているけれど。

うれしくて、え? マジすか?

みたいな反応と似たり寄ったりの

リアクションを心の中でしていた。

そして、なにか間違いがあったらいけないので

その方に、書く上でなにかアドバイスは

ありますか?

と、メールで問いかけをさせて頂いた。

大好きな憧れの方からのオファーだったので

失敗したくなかったのだ。

それ聞いときゃよかったんだよ、最初にね!

みたいなことは避けようと。

準備万端、仕事に臨みたかった。

そうしたら、その方のメールには

まず、わたしが承諾したことへのお礼の

言葉がつづられていた。

何処の海の者とも山の者ともわからない

ぼくたちの提案に乗って頂き感謝

申し上げます、と。

そしてそのことばに続いて

「アドバイスはありません」

と、書いていらっしゃって。

あちゃ、やっちゃいましたかね? って

ちょっと聞いたらいけないことをお聞きした

みたいな気持ちで読ませていただいていたら。

「ぼくはアドバイスはどなたにも
しないんですよ」

と。そしてそのあとの言葉には

「ぼくは今の○○さん(私)がいいと
思ったので、

お誘いしたわけです。なので履歴も
問いませんし。

過去はいいんです。なにをしてきたかとかもあまり関係ない。

それよりも今○○さんが何を考えてなにを思ったり感じたりしているのかを書いて頂けたら」

そんなふうにお返事をしてくださった。

わたしはその言葉をなんども眺めていた。

声も存じ上げているので、その方の声を
変換し、その方が喋っているかのように、
そのメールの言葉を目で追った。

スペックが、わたしには圧倒的に足りなかった。

それはある種のコンプレックスだったし、

履歴書が埋まらないようなすっかすかの

人生を歩んできた気がしたので、彼が

おっしゃった履歴は問いませんという
言葉は、わたしをどこか沼の中からでも 
救い上げてくれたような気持ちがした。

よく、わたしここにいていいですか?   って問いかけを聞くたびにちょっと違和感があったのだけど。

アドバイスをしない理由が、履歴は問わない故だったことをしみじみとかみしめていた。

まんまでいいんやなっていう安堵感と言うか、そのままそこにおりぃって関西弁で言うとそんなふうに聞こえて。

憧れていた温かい方とご縁ができたことが
心底うれしかった。

過去があって今があるけれど。

今だけを見ていますからって、声を掛け られるということは、どれほど様々な方の勇気になるだろうか、今にしてもそう思う。

わたしは今も、時々そのことばを想いだすことがある。

わたしがnote書いていることは、もちろん
ご存知ないと思うけれど。

今何を感じて今何を思ってじゃあ今何を 
書けるのか

その問いかけは、書く時にいつもどこかで自分の中で問いかけているようなそんな気がする。


信じるって 不確かですが おぼろげですが
片隅で 抱えたこころ ほどいてくれた






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