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ほどよく食べる。

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四六時中食べもののことばかりを考えている私の食エッセイ。食にまつわる体験をつづります。日々の食事が日々を彩り、人生の軌跡となる。
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記事一覧

沖縄のバナナ4品種を食べ比べてみたよ

沖縄のバナナ4品種を食べ比べてみたよ

沖縄旅行の際、道の駅などにはたくさんの沖縄産バナナが売られていました。
普段はバナナの品種を気にしたことがありませんでしたが、いろいろな名前があったので食べ比べてみました。それぞれに特長があって、バナナの奥深さを実感しました。

ちなみに、一般的に出回っているものの多くは「ジャイアント・キャベンディッシュ」という品種らしいです。沖縄で手に入れたバナナは、全体的にこれよりも小さく、食感も独特で、甘い

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特技はキレイに食べること

特技はキレイに食べること

履歴書の特技欄にタイトル通りのことを書いたことがあるほど、私はキレイに食べるのがうまいと思っている。たまに周りからも「え、めっちゃキレイじゃん」と言われることもある。

使ったかどうかもわからないくらい、お皿をキレイにして食べ終わりたい。かといって、かなり意識してキレイに食べようとしているわけでもなく、自然とそうなっている。

米粒も残したくないし、パンくずも残したくないし、本当にまっさらな状態に

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意図せずパンに入ってしまった、バターの塊は偉大

食べ物の中に入っている塊って、あまりいいイメージありませんよね。

お店に行って、あんかけ焼きそばを頼みました。あんかけご飯でもいいです。なんなら、麻婆豆腐でもいいです。

とにかく、とろみがあるものを頼みます。

見た目は特になんともありません。でも食べ進めていたら、餡の塊に出会うこと、ありますよね。

片栗粉がうまく溶けきれてないやつ。

害があるわけではないからいいんですけど、けど、けど、「

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人間、お菓子を指にはめたがる

人間というものは、やたらお金を投げたがる習性があるらしい。
神社の水辺に行くと、お金がゆらゆら。
あの有名な夢の国に行っても、ジェットコースター待機列の水辺にはお金がゆらゆら。

夢の国に行っても、現実のことを考えている。
結局、人間なんてそんなもんなんだ。

そうそう、人間なんて大したことないんだよ。

指にお菓子、はめがちだしさ。

はめられるものは、すぐはめたがる。

「とんがりコーン」は1

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パスタとソースの別添え論

パスタとソースの別添え論

家でパスタを食べるときの話。

何味のパスタが好きかと言われれば、バター味かもしれない。

いやそれは厳密には”意図された味”ではなく、茹で上げたパスタが絡まないようにするために入れたバターの、”結果論としての味”に過ぎないのだけれど。

でも、塩茹でした麺にはほんのり塩味がついているわけだし、バターだけで十分なおいしさがある。

そこにミートソース?
カルボナーラ?

もちろんおいしいけれど、な

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私にとってのプルーストのマドレーヌ③ 「五穀米の香りで、今は亡き祖父母の家へ」

五穀米をあけて香りを嗅ぐ。
穀物の香りがする。

なんだかかいだことのある香り……と思って迷子になりながら記憶を辿ると、祖父母の家で食べたひまわりの種にたどりついた。

奥深くに眠っていた記憶が、蘇ってくる。
探して諦めてもう一回探してようやく探し物を見つけた時のような、「おうおうここでしたか」という喜びの再会。

祖父母の家は自宅から車で1時間くらいのところにあって、たまに遊びに行っていた。

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北欧が心の中に住んでいる

北欧が心の中に住んでいる

なんとなく北欧に憧れがあって、「海外行くならどこ行きたい?」という話題になったときは、だいたい「北欧」と答える。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド。バルト海を覆うようにひょっこり飛び出した3つの国には、気候的な寒さを凌ぐなんらかの高潔な温かみが底辺に流れている気がするのだ。

考えてみれば、ニトリよりもIKEAの方が見ていて心ときめくし、「北欧、暮らしの道具店」の雰囲気も好き。ごちゃごちゃし

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私にとってのプルーストのマドレーヌ②「炙りチャーシューと夏祭り」

私にとってのプルーストのマドレーヌ②「炙りチャーシューと夏祭り」

炙りチャーシューを食べたとき、こんがりと鼻に抜けるスモーキーな香りが、昔懐かしい夏祭りへと私を連れ出した。

完全なる、屋台の香りだったのだ。
ヨーヨーを片手に提げて、お小遣いで味わうちょっとした贅沢。
焼き鳥か、焼きとうもろこしか。

焼き鳥と女の子焼き鳥といえば、友達と一緒に買いに行った時のエピソードがある。
その友達は身長が高くて可愛くて、焼き鳥のおじさんに「一本おまけしてあげるね」とおまけ

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結論:キッシュは買うのが一番

結論:キッシュは買うのが一番

サクッという音とともに切れる、キッシュのパイ生地。
中身はふわっと、乳製品のミルキーさが香る。

美しき断面と、表面を覆うこんがり焼けたチーズに、食欲はそそられることしか知らない。
パン屋さんのショーウィンドウで姿を見かけると、買わずにはいられなくなる。
レストランのランチメニューに「キッシュプレート」があると、迷わずそれを選んでしまう。

生まれは、フランスのロレーヌ地方のようだ。
卵、牛乳(生

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私にとってのプルーストのマドレーヌ①「よもぎと通学路」

私にとってのプルーストのマドレーヌ①「よもぎと通学路」

前書きマルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」は、マドレーヌの香りをきっかけに、主人公の過去の記憶が蘇ってくる物語だ。

食べ物の香りと記憶は密接に結びついている。
なんなら香りだけじゃなくて、見た目や食感からも過去の記憶が蘇ってくることがある。

その時の状況や話した内容などが、イメージとして一気に自分の中に入ってくる。
食べ物の力って偉大だな、と思うのである。

さて、自分にとっての「

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残せない魚の皮、断捨離できないわたし

残せない魚の皮、断捨離できないわたし

生まれ育った環境ってこわいな、と思うことの一つに、「鮭の皮が食べられることを知らなかった」ことがある。

我が家では鮭の皮を食べる文化がなくて、いつも残していた。

しかしあるとき幕の内弁当を食べていたら、友達が
「え、鮭の皮食べないの? ちょうだい!」
と皮だけをおいしそうにむしゃむしゃするのを見て、かなり衝撃を受けた。その時は正直、なんて野蛮なんだこの子は……と思ってしまった。

でも、他人の

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食べること。楽しいけど、難しい。

今となっては食べることにしか興味のない私だけれど、昔は給食の時間が嫌いだった。

なぜか緊張してしまって、食べ物が喉を通らなかった。

学校の給食は残さず食べることが美とされていたから、それがプレッシャーになっていたのかもしれない。
毎日「残していいですか」というものだから、先生もだんだん呆れ顔になってくる。
仕方ないから、私の給食は毎日ベランダに放られ、鳥の餌になっていた。

お腹がいっぱいなわ

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ラーメンよりも、イケメンよりも、私はつけ麺。

ラーメンよりも、イケメンよりも、私はつけ麺。

ラーメン、つけ麺、僕イケメン。
この3つが目の前にあって、「どれか一つだけ選んでいいよ」と言われたら、私は迷わずつけ麺に手を伸ばすだろう。

ラーメンよりも、イケメンよりも、つけ麺。
もちもちとした歯ごたえのある太麺を、好みの量だけスープに浸して食べる。
太い麺を見ただけで、細い麺の10倍はテンションがあがる。

中華そば「うゑず」の味玉つけ麺

一口目。
何もつけずにそのまま食べて、麺の味を堪能

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綱渡り 黄金バランスの ナボナかな

綱渡り 黄金バランスの ナボナかな

ぶどうの摘粒は頭を使う。きれいな房の形をつくるために、ゴツゴツしている粒を抜く作業だ。
上の方を多めに、下の方を少なめに残して、粒が張った時のバランスを考えながら抜いていくのでまあまあ頭を使う。空間認識力が試される作業ともいえる。

摘粒 Before→After

農家さんはだいたい、10時と15時に休憩をとる。そんな摘粒作業で頭を使った私はずらっと並んだお菓子を眺め、糖分を摂取しようとした。そ

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