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北欧が心の中に住んでいる

なんとなく北欧に憧れがあって、「海外行くならどこ行きたい?」という話題になったときは、だいたい「北欧」と答える。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド。バルト海を覆うようにひょっこり飛び出した3つの国には、気候的な寒さを凌ぐなんらかの高潔な温かみが底辺に流れている気がするのだ。

考えてみれば、ニトリよりもIKEAの方が見ていて心ときめくし、「北欧、暮らしの道具店」の雰囲気も好き。ごちゃごちゃしていないシンプルさ。
北欧だから眺めていたわけではなくて、いいな〜と思っていたら北欧ベースのお店だったというわけだ。

とりわけ心のどこかで無意識に北欧を求めているんだな、というのを強く感じたのは、アメリカの食べ物だと思っていた「シナモンロール」が、スウェーデン発祥であるのを知った時だ。
なるほど、だから私は数ある菓子パンの中でも、シナモンロールに惹かれていたのである。日本生まれのメロンパンやあんぱんにはない、やはり高潔さが漂うパンなのだ。

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シナモンやカルダモンなどのスパイスが巻かれ、アイシングがたっぷりかかったあの見た目。パン屋さんにずらっと並んでいるのを見ると愛おしくて、つい買ってしまう。
それは単に好きなのではなくて、恋しているあの人の仕草すべてにときめいてしまうような、思考の制御外の領域の話。気づいたらパントレイの上に乗っている、と言った方が正確かもしれない。

ちなみに、シナモンロールのスウェーデンでの名称は「カネルブッレ」というらしい。フィーカと呼ばれるおやつタイムには、コーヒとカネルブッレを。(現地に行ったことはないので実際の生活はどうなのかわからないけれど)
10/4には「シナモンロールの日」が制定されていて、日本でいう「和菓子の日」みたいなものなのかも。
いずれにせよシナモンロールが日常と共にある暮らしって、幸せにしかならない気がする。それを日本でやるのはまた別の話で、北欧という地でやるからいいのだろう。

さて、シナモンロールの形にはさまざまある。
よく見かけるくるくるタイプは、層のように渦巻いている生地をペラペラと外側から剥がしながら、中心に向かって食べていく。真ん中には生地の柱が立っていて、そのシナモンをたっぷりまとったふわふわ部分を、最後にパクッと食べる瞬間がたまらない。

形が違うだけで味は変わらないのに、「かもめ食堂」を見て、どうしてもあの形のシナモンロールが食べたくなって、売っていないから自分で作ったことがある。
これはこれで生地を剥がして食べることもできるけれど、クロワッサンのように横からパクッと、かぶりついた。

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基本的に面倒くさがりの私が、なぜあんなにも強い衝動に駆られたのか。

北欧が、私の心の中に住んでいるからなのだ。

これでおいしいものを食べます🍴 ありがとうございます!