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「メロンソーダ」No.6

スマホの通知音が、小さく鳴った。 キッチンでコップに牛乳を注いでいた私は、 小走りでリビングへ行き、 ダイニングテーブルの上に置いていたスマホを、 手に取る。 画…

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1か月前
60

「メロンソーダ」No.5

食堂に行くと、既に沢山の生徒で賑わっていた。 私の通ってる大学の学食は、安くて美味しいと評判だった。 「あ、中西さん。今日もオムライス?」 学食の調理をしてくれて…

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1か月前
78

「メロンソーダ」No.4

体がグラッと右側に傾いた。 「危ない!」 小池さんに腕を掴まれる。 「理央さん! 下駄で縁石を歩こうとしないで下さい! 顔に似合わず、子供っぽいとこあるんだから……

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1か月前
77

「メロンソーダ」No.3

朝一の名月院は、紫陽花が見頃なこともあり、 既に観光客らしき人たちが何人か来ており、紫陽花の写真を撮ったり、眺めたりしていた。 小池さんは、カメラの設定を調節し…

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1か月前
63

「メロンソーダ」No.2

「理央さーん!小池です!」 Instagramに沢山顔写真をあげてるから、 すぐ分かったのだろう。 北鎌倉駅で、大きなスーツケースを引き摺りながら、小池さんが息を切らして…

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1か月前
75

「メロンソーダ」No.1

『紫陽花の撮影の、 被写体になってくれる方募集』 カメラマンを目指している人たちの、 Instagramを眺めていて見つけた。 その人の写真をスクロールしていく。 海、カ…

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1か月前
122

「Liberty」 No.8

「grow」に行くと、仲の良さそうな老夫婦のお客さんが来店していて、水野さんは接客中だった。 水野さんが身振り手振りを交えながら、 説明をしている。 育て方を一通り話…

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1か月前
35

「Liberty」No.7

鏡の中に別人がいた。 人って、髪型と洋服で、 こんなに変わるんだ…。 今まで、目立たないようにと、 自分がしたい髪型やファッションは諦め、 わざと地味にしていた。 …

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1か月前
15

「Liberty」 No.6

「これ…どこに入れたら素敵だと思います?」 水野さんが白い小鳥のモチーフを差し出して、 こちらに見せている。 私はツリーと水野さんに近づいた。 「私だったら、こ…

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1か月前
13

「Liberty」 No.5

「grow」の前まで来て、ふと思った。 喜んで、付いて来てしまったけど、 よく考えたら、店内に男の人と2人きり…。 これって大丈夫なの? 考えてもわからず、 恋愛経験の…

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1か月前
13

「Liberty」 No.4

[本日お休みです] 「grow」の扉に、水野さんの手書きらしく、 丸文字で丁寧に書かれた紙が貼ってあった。 一気に世界が暗くなる。 一週間、この日の為に頑張ってきたの…

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1か月前
16

「Liberty」 No.3

カーテン越しに、朝日が部屋に差し込む。 瞼を閉じていても、陽の光を感じ、 自然と目が覚める。 やっぱり南向きの部屋にして良かった。 ぼんやりとした頭を起こすと、 テ…

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1か月前
14

「Liberty」 No.2

「その子が気になりますか?」 顔を上げると、水野さんが少し首をかしげ私の手元を見ている。 私が手の中には、小さな鉢があり、蜜柑の房のような形の灰色の多肉植物が植…

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1か月前
22

「Liberty」 No.1

良かった…開店してる。 店の外に並べられた沢山の多肉植物を見て、 ホッとする。 最近引っ越してきた街で見つけた、 お花屋さん「grow」は、 店主の気まぐれでの休みが…

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1か月前
41

「Perform」 No.10

「美麗さん!お疲れ様です! さっきのお客様大丈夫でした? 退室のお時間過ぎてましたが、 何かありました?」 精算しに事務所に戻ると、 真田がいつもより低いトーンで聞…

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1か月前
8

「Perform」 No.9

「真央…」 血の気が引いていった。 身も心も冷たくなった。 相沢さんは、私を抱きしめてそう呟いたのだ。 私は真央じゃない、 そう言いたかったけど、「美麗」ならお客…

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1か月前
5
「メロンソーダ」No.6

「メロンソーダ」No.6

スマホの通知音が、小さく鳴った。

キッチンでコップに牛乳を注いでいた私は、
小走りでリビングへ行き、
ダイニングテーブルの上に置いていたスマホを、
手に取る。

画面に小池さんのアイコンが表示されてるのを見て、胸が高鳴った。

『こんにちは。
先日は、紫陽花の撮影に協力してくださり、
ありがとうございました。

次の撮影は、向日葵を予定しており、
また理央さんに被写体をお願いしたいと思っているの

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「メロンソーダ」No.5

「メロンソーダ」No.5

食堂に行くと、既に沢山の生徒で賑わっていた。
私の通ってる大学の学食は、安くて美味しいと評判だった。

「あ、中西さん。今日もオムライス?」
学食の調理をしてくれている木村さんは、私が好きなメニューを覚えてくれている。

「木村さん、今日はナポリタンにします」

木村さんは笑顔で頷き、

「うちのナポリタン最高だもんね!
メロンソーダは飲む?」

「はい!勿論飲みます」

私はメロンソーダには目が

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「メロンソーダ」No.4

「メロンソーダ」No.4

体がグラッと右側に傾いた。

「危ない!」

小池さんに腕を掴まれる。

「理央さん!
下駄で縁石を歩こうとしないで下さい!
顔に似合わず、子供っぽいとこあるんだから…」

眼鏡の奥で、わざとらしく睨んでこっちを見ているが、元の顔が優しすぎて全然こわくない。

「はーい。縁石があると、
体が勝手に乗っちゃうんですよね」

撮影が終わり、近くでランチを食べようと、
お店に向かっている時の出来事だった

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「メロンソーダ」No.3

「メロンソーダ」No.3

朝一の名月院は、紫陽花が見頃なこともあり、
既に観光客らしき人たちが何人か来ており、紫陽花の写真を撮ったり、眺めたりしていた。

小池さんは、カメラの設定を調節している。

「理央さん、ちょっとこっち向いて。
うーん…まだ暗いかぁ…あ、や、明るすぎた!」

真剣にカメラを睨みながら、何やらブツブツ言っている。

じっと見ている私に気付いて、
小池さんはこう言った。

「調整に時間かかってすみません

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「メロンソーダ」No.2

「メロンソーダ」No.2

「理央さーん!小池です!」

Instagramに沢山顔写真をあげてるから、
すぐ分かったのだろう。

北鎌倉駅で、大きなスーツケースを引き摺りながら、小池さんが息を切らして歩いてくる。

透けるような白い肌に、
黒縁メガネが似合っている。
白シャツにスラックスを履いていて、
見た目も真面目そうだなと思った。

「今日は遠くまでありがとうございます。
しかも、こんなに朝早くに…どうしても、
朝一で

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「メロンソーダ」No.1

「メロンソーダ」No.1

『紫陽花の撮影の、
被写体になってくれる方募集』

カメラマンを目指している人たちの、
Instagramを眺めていて見つけた。

その人の写真をスクロールしていく。

海、カフェ、イルミネーション…
どれも広範囲にぼかしが入り、
どこかメランコリーな雰囲気が漂っていた。

どんな風に被写体を入れているのか、
見たかったが、
どの写真にも人が写っていなかった。

余計に気になったので、DMしてみる

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「Liberty」 No.8

「Liberty」 No.8

「grow」に行くと、仲の良さそうな老夫婦のお客さんが来店していて、水野さんは接客中だった。

水野さんが身振り手振りを交えながら、
説明をしている。
育て方を一通り話した後、ふと笑顔になり、

「そうそう、赤のシクラメンの花言葉は、
『愛情、絆』なんですよ」

そう言うと、老夫婦は顔を見合わせた。

「私たちにぴったりね」

そう言って、2人で幸せそうに笑っていた。

老夫婦が帰ると、

「片瀬

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「Liberty」No.7

「Liberty」No.7

鏡の中に別人がいた。

人って、髪型と洋服で、
こんなに変わるんだ…。

今まで、目立たないようにと、
自分がしたい髪型やファッションは諦め、
わざと地味にしていた。

まずは、いつも行っている美容院に行き、
なんとなく伸ばしていたロングヘアを、
顎までバッサリ切ってもらった。
髪色もだいぶ明るくした。

「片瀬さん、どうしたんですか?
ずっと髪型は変えたくないって、
言っていたのに」

担当の美

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「Liberty」 No.6

「Liberty」 No.6

「これ…どこに入れたら素敵だと思います?」

水野さんが白い小鳥のモチーフを差し出して、
こちらに見せている。

私はツリーと水野さんに近づいた。

「私だったら、このてっぺんの星の近くにするかな。小鳥がすぐに飛び立てるように。」

水野さんはうんうん、と2回頷いた。

「それは素敵な案ですね。
小鳥は自由に空を飛んでいた方が、きっと、
幸せです」

私は幼い頃に、母とクリスマスツリーに飾り付けを

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「Liberty」 No.5

「Liberty」 No.5

「grow」の前まで来て、ふと思った。
喜んで、付いて来てしまったけど、
よく考えたら、店内に男の人と2人きり…。

これって大丈夫なの?
考えてもわからず、
恋愛経験のない自分を恨んだ。

「どしたんですか?」

水野さんは、何も気付いていないみたいに、
鍵を開ける。

店内に入ると、レジ横の台の上にドサっと段ボールを置いた。

「さっきから気になっていたんですけど、
何が入っているんですか?」

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「Liberty」 No.4

「Liberty」 No.4

[本日お休みです]

「grow」の扉に、水野さんの手書きらしく、
丸文字で丁寧に書かれた紙が貼ってあった。
一気に世界が暗くなる。

一週間、この日の為に頑張ってきたのに!

トボトボと家に向かって引き返す。
行きの高揚感とは打って変わって、
心も足も重い。

ぼんやりとただ、足を右、左と交互に
前に出すだけだった。

「あれ?片瀬さん?」

急に呼ばれたので、びっくりして立ち止まり、
声の方を

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「Liberty」 No.3

「Liberty」 No.3

カーテン越しに、朝日が部屋に差し込む。
瞼を閉じていても、陽の光を感じ、
自然と目が覚める。
やっぱり南向きの部屋にして良かった。

ぼんやりとした頭を起こすと、
テレビ台の上のリトープスが朝日を浴びて、
「grow」にいた時と同じように、
幸せそうに見えた。

「ねぇ、水野さんは、
キミが石ころみたいだって、
キミのことをちゃんと見てくれていたよね」

私は今までずっと、自分を抑えて生きてきた。

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「Liberty」 No.2

「Liberty」 No.2

「その子が気になりますか?」

顔を上げると、水野さんが少し首をかしげ私の手元を見ている。

私が手の中には、小さな鉢があり、蜜柑の房のような形の灰色の多肉植物が植えられていた。

「この子も多肉植物なんですか?
なんだか、小さくって石ころみたい」

小さくて目立たない筈なのに、
何故か惹きつけられた。

水野さんは、
しゃがんでいる私の隣にしゃがみ込む。

「そうですよ。
この子はリトープスとい

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「Liberty」 No.1

「Liberty」 No.1

良かった…開店してる。

店の外に並べられた沢山の多肉植物を見て、
ホッとする。

最近引っ越してきた街で見つけた、
お花屋さん「grow」は、
店主の気まぐれでの休みが多く、
足を運んだのにお店が開いていなくて、
落胆したことが何度もあった。

お店の前まで行くと、奥で忙しそうに動いている店主の水野さんの頭が見えた。

挨拶は後にしようと、台の上に並べられた沢山の多肉植物を見ることにした。

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「Perform」 No.10

「Perform」 No.10

「美麗さん!お疲れ様です!
さっきのお客様大丈夫でした?
退室のお時間過ぎてましたが、
何かありました?」

精算しに事務所に戻ると、
真田がいつもより低いトーンで聞いてくる。

NGでと、言いたかったけど、
喉まで出かかって飲み込んだ。

もう2度と会わなかったら、
後悔すると思った。

じんわり、手に汗をかいていた。

「髪乾かすのに、時間かかっちゃっただけなので、大丈夫です」

嘘をついた。

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「Perform」 No.9

「Perform」 No.9

「真央…」

血の気が引いていった。
身も心も冷たくなった。

相沢さんは、私を抱きしめてそう呟いたのだ。

私は真央じゃない、
そう言いたかったけど、「美麗」ならお客さんの求めることを演じなければならない。

私は、心を殺して相沢さんを優しく抱きしめた。

そして、心に決めた。
もう会うのはやめよう。
真田に頼んでNGにしてもらおう。

「美麗さん…」

相沢さんが顔を覗き込んでくる。

「これ

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