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「Liberty」No.7

鏡の中に別人がいた。

人って、髪型と洋服で、
こんなに変わるんだ…。

今まで、目立たないようにと、
自分がしたい髪型やファッションは諦め、
わざと地味にしていた。

まずは、いつも行っている美容院に行き、
なんとなく伸ばしていたロングヘアを、
顎までバッサリ切ってもらった。
髪色もだいぶ明るくした。

「片瀬さん、どうしたんですか?
ずっと髪型は変えたくないって、
言っていたのに」

担当の美容師の小山さんが、驚いていた。

「実は、ずっと変えたかったんですが、
今まで勇気が出なくて…」

と言うと、

「勇気を出した甲斐があったじゃないですか!
すごく似合ってますよ」

ワックスをつけながら、
小山さんが鏡越しに笑顔を向ける。

確かに、自分の目も肌も、
なんだか輝いて見えた。

あとは、服だ。
いつも黒やグレーの地味な服を選んでいた。

今日は、憧れていたブランドに足を踏み入れる。
一番好きな服を着るのだ。

明るいイエローのニットワンピースを選んだ。
そう、リトープスの花みたいな美しい黄色。

心も身体も軽くなった感じがした。
自ら鎖を外し、
私は、やっと私になれた気がした。

この足で自由に何処へでも行ける。

一番に見て欲しい人に、会いに行こう。
そう思った。

ーーーーーーーーNo.8に続くーーーーーーーー


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