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Photo by
masuno_shota
「Liberty」 No.3
カーテン越しに、朝日が部屋に差し込む。
瞼を閉じていても、陽の光を感じ、
自然と目が覚める。
やっぱり南向きの部屋にして良かった。
ぼんやりとした頭を起こすと、
テレビ台の上のリトープスが朝日を浴びて、
「grow」にいた時と同じように、
幸せそうに見えた。
「ねぇ、水野さんは、
キミが石ころみたいだって、
キミのことをちゃんと見てくれていたよね」
私は今までずっと、自分を抑えて生きてきた。
意見を主張すると悪いことが起きる気がして、
目立たないように、日々を過ごしていた。
好きな人に、好きと伝えたこともない。
いつも、諦めていた。
だから、25年間恋人ができたこともない。
そんな自分と、リトープスを重ねていた。
誰かに、見て欲しい。
愛されたい。
だけど、誰でもいい訳じゃない。
目を瞑ると、
線の細い体のラインと
くしゃくしゃの黒髪の、
水野さんが浮かんだ。
ーーーーーーーーNo.4に続くーーーーーーーー
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