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「Liberty」 No.8

「grow」に行くと、仲の良さそうな老夫婦のお客さんが来店していて、水野さんは接客中だった。

水野さんが身振り手振りを交えながら、
説明をしている。
育て方を一通り話した後、ふと笑顔になり、

「そうそう、赤のシクラメンの花言葉は、
『愛情、絆』なんですよ」

そう言うと、老夫婦は顔を見合わせた。

「私たちにぴったりね」

そう言って、2人で幸せそうに笑っていた。

老夫婦が帰ると、

「片瀬さん!髪、バッサリ切ったんですね。
すごく似合います。服も素敵ですね」

と、水野さんは太陽みたいな笑顔で言った。

「水野さんと出会って、今まで、
自分を自分で縛っていたことに気付いたんです。
これからは自分のしたいことをしたり、
思ったことを伝えたりして、
もっと自分らしく生きたいです。」

私が言うと、水野さんは頷いて微笑んだ。

「最近の片瀬さんは幸せそうで、
見ている僕も幸せな気持ちになります」

私は水野さんの目を見た。
自分の心臓の鼓動がドクンドクンと、
全身に伝わっていた。

「私は…水野さんのことが好きです」

生まれて初めての告白をした。

水野さんは、少し驚いた顔をしたけど、

「ちょっと待ってて」
と小走りで店の奥に入っていった。

戻ってくると、手にはピンクの胡蝶蘭を持っていた。

「これ…次に片瀬さんがお店に来てくれた時に、
渡そうと思っていたんです。」

嬉しかったが、不思議な気持ちだった。
なんで胡蝶蘭を私に…?

水野さんは、
そんな私を見て恥ずかしそうにこう言った。

「これは、伝えるか迷っていたんですが、
ピンクの胡蝶蘭の花言葉…片瀬さんに送りたくて」

「花言葉…?」

「そう、胡蝶蘭の花言葉は…あなたを愛します」

茎の先で、
ピンクの花びらが、ゆらゆら揺れていた。

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