「メロンソーダ」No.5
食堂に行くと、既に沢山の生徒で賑わっていた。
私の通ってる大学の学食は、安くて美味しいと評判だった。
「あ、中西さん。今日もオムライス?」
学食の調理をしてくれている木村さんは、私が好きなメニューを覚えてくれている。
「木村さん、今日はナポリタンにします」
木村さんは笑顔で頷き、
「うちのナポリタン最高だもんね!
メロンソーダは飲む?」
「はい!勿論飲みます」
私はメロンソーダには目がないのだ。
毎日でも飲みたいくらい。
ナポリタンとメロンソーダを持って、
窓際の席に座った。
「理央!お待たせ!」
親友の結衣が向かいに座った。
「理央、メロンソーダほんとに好きだね」
「メロンソーダ見ると、
先週の撮影思い出すなぁ…」
シュワシュワとした泡を見てると、
小池さんがカメラを覗き込んでいる姿が浮かぶ。
「あの、この間言ってた紫陽花の?
どうだった?」
結衣が目を輝かせて聞いてくる。
「なんか世界観がね、好きだったな。
背景をすごくぼかすの」
「ふーん?どうして?」
小池さんが、
一生懸命に説明してくれたことを、
同じように結衣に話す。
結衣が、きょとんとして、
「なんか理屈っぽいね?」
と言ったので、笑ってしまった。
確かに小池さんは生真面目で、
理論的に話をするようなタイプだった。
だけど普段のその冷静さとは真逆に、
写真を撮っている時は情熱的で、
両方に揺れ動くアンバランスさが魅力的だった。
ーーーーーーーーNo.6に続くーーーーーーーー
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