「Perform」 No.10
「美麗さん!お疲れ様です!
さっきのお客様大丈夫でした?
退室のお時間過ぎてましたが、
何かありました?」
精算しに事務所に戻ると、
真田がいつもより低いトーンで聞いてくる。
NGでと、言いたかったけど、
喉まで出かかって飲み込んだ。
もう2度と会わなかったら、
後悔すると思った。
じんわり、手に汗をかいていた。
「髪乾かすのに、時間かかっちゃっただけなので、大丈夫です」
嘘をついた。
外に出ると、湿気が肌にまとわりついた。
パラパラと雨が降ってきた。
さっき、別れ際にホテルの前で、
相沢さんが言った言葉を思い出す。
「次は、優美に会いに行くから。」
それで、いいのだろうか…。
だけど、もう何かが始まっていて、
きっともう元には戻れない。
甘く苦しく胸が疼く。
雨が強く降り出した。
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