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あの人たちは少女漫画を読まない

「僕はいまのJ-POPを聴かない」Y2K☮です。そんな偏屈でダサい中年が人生で初めて「あいみょん」を聴きました。

シンプルなメロディに多様な解釈を受け入れ得る歌詞。素晴らしいです。失恋した片思いの相手を慰める友人説や歳の離れた部下を励ます上司説、あるいは娘との距離を縮めたい父親説など。どれもピッタリ賞ではない代わりに的を外してもいないような。

ふたりが異性か同性かでも、頭に浮かぶ景色が変わってきます。一人称で「僕」を使う女性もいますし。「どちらも女性」という設定で聴くと森博嗣「スカイ・クロラ」の世界観が脳裏を過ぎり、「どちらも男性」だと萩尾望都「トーマの心臓」のオスカーとユーリが蘇りました。

ちなみに森さんは萩尾さんの大ファンで「トーマの心臓」の小説版を書いています。

「トーマの心臓」は学生時代、WOWOWでスタジオライフの公演を見て関心を持ちました。野田秀樹さんが渋谷のシアターコクーンで舞台化した「半神」も見ました。99年かな? 深津絵里さんに感激しました(観劇で感激)。しかし原作を読んだのはほんの数年前。少女漫画というカテゴリーに躊躇していたのです。

女性が「週刊少年ジャンプ」を読むのと男が「月刊フラワーズ」を買うのでは世間の反応が異なります。でも萩尾さんの本を読むようになってからは「ポーの一族」の新シリーズが載った「フラワーズ」を書店で買うようになりました。全然恥ずかしくない。コミックスも文庫版や新刊を少しずつ集めています。

もし「トーマの心臓」を知らずに人生を送っていたら「君はロックを~」を聴いたときに「どちらも男かもしれない」という発想が自分の中に生まれなかった可能性が高いです。恋愛対象が異性であることとは別に、そういう発想を持てない人間ではいたくないという思いがあります。萩尾さんの漫画が教えてくれたのです。

昔、新日本プロレスの邪道選手が「ももクロを聴いていれば世界から戦争がなくなるんだよ!」と発言していました。私は「萩尾望都を読んでいれば世界から差別がなくなるんだよ!」と言いたい。ぜひ学校の図書館に「トーマの心臓」を。


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