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イチ書店員が「FAX」を現場に残したい理由

なるほど。

お店によると思いますが、書店ではいまもFAXが活躍しています。新刊案内の多くはFAXで来るし、リミットを過ぎた雑誌や書籍の返品了承をもらう際も基本はFAXを使います。

「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」を補充する場合は専用の用紙に数を記入し、番線印を押してFAXします。NHKテキストの追加も同様。不便とは感じません。

コストを考えたらEメールが望ましいのでしょう。でもFAXの方が内容をすぐにチェックできます。メールはあれこれ入力し、各々の目的に応じた従業員用のページを開かないと見られない。人手不足でしょっちゅうレジに呼ばれる職場だと、けっこうまどろっこしいです。

オンラインで注文できるのはもちろん助かります。ただFAXにはFAXの良さがある。紙に記録を残せるし、システム障害の懸念もない。どこの書店でもネットに繋がらなくなるトラブルが年に数回発生しますが、電話とFAXが活きていればどうにかなることもあるのです。

先日「なぜ電話に出ないのか」問題に関するnoteを書きました。

いまのご時世、電話に頼る頻度を減らすことは必要でしょう。より正確に言うと、代替手段がある場合は極力そちらを用いる。しかし他の方法ではどうにもならないケースがあるのも事実です。リアクションの速さと情報の確実さを考慮したら、電話で問い合わせるのが最適な事例も。

現金とキャッシュレス決済の関係性に似ているかもしれません。合理主義で成功を収めた人ほど後者だけでいいと断定しがち。しかし真の合理性は必ずしも目先の利益だけでは測れない。

「ムダを排除した効率性にもとづくシステムはいざというときに脆い」

松村圭一郎「くらしのアナキズム」ミシマ社

双方のいいとこどりをしつつ、緩やかにデジタルへ移行。白か黒かではなくファジーにいきたいです。

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