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ハードボイルド書店員が「雑誌の休刊ラッシュ」に思うこと

月刊の芸能誌「ポポロ」が22日発売の9月号をもって休刊。

↑いわく、月刊の女性向けファッション誌「steady.」も来月7日発売の9月号で休刊し「mini」が9月号から偶数月発行の隔月刊になるとのこと。

連日レジに立つ身からすると、いずれも毎月そこそこ売れていました。にもかかわらず。特に女性ファッション誌は休刊が相次いでいる印象があります。

一方、ここ数年で息を吹き返してきた、パイをじわじわ広げてきたと感じるのは文芸誌です。

かつてはほぼ年配の男性しか手に取らなかった「文學界」や「文藝」「群像」などを若い女性が買っていく。「MONKEY」(2月・6月・10月の15日ごろ発売)や2年前に創刊された「スピン」(3月・6月・9月・12月の下旬発売)も気がつくと減っています。

※正確にいうと「MONKEY」は書籍ですが、ここでは雑誌として扱います。

「MONKEY」は翻訳家・柴田元幸さんの責任編集で、様々な海外文学に出会えます。オススメを一冊挙げるなら、柴田さんの訳したサリンジャーを堪能できる↓でしょうか。

大学時代、ロシア料理好きの友人が「ボルシチとピロシキだけじゃありませんぞ!」と話していました。それに倣って「『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と『ナイン・ストーリーズ』だけがサリンジャーじゃありませんぞ!」と叫びたいです。

一方「スピン」は2026年に創業140周年を迎える河出書房新社がカウントダウン企画として刊行しており、16号限定を公言しています。こういうやり方もあるのだなと感服しました。

最新号は↓。最果タヒさんの「新世紀エヴァンゲリオン詩集」が気になって仕方ない。

「出版不況の象徴」みたいに評されがちな文芸誌がしぶとく生き残り、むしろ読者を増やしている。この事実があるいは「紙に適した本&雑誌のジャンル」を見極めるヒントに繋がるかもしれません。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!