すごい本を読んだ【3】

ステイホームは、待つ時間。本を読むのに最適です。

優しい鬼窓辺に立って風のかけらを齧るのは気持ちがよかった。それはじっくり噛んで、よくかんがえてから飲みこむべき風だった。

ある日『優しい鬼』を図書館の書棚から手にとったのを最初として、『インディアナ、インディアナ』『ネバーホーム』と続けてレアード・ハントの小説を3冊読んだ。言葉が飛びぬけて美しかったから。

レアード・ハントという作家は、初めて

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ありがとうございます。
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衣替えをしていたら、衣装ケースの奥深くからこいつが出て来た。

“なぜに衣装ケースに文庫が?新しそうな雑誌まで!”、と家人。         
うーん、ぼくにもよく解らない。

出て来たのは季刊文芸誌『MONKEY』の新創刊号。

あとはジャンルばらばらの文庫本数冊と、淡路島の山肌に埋まる美術館建設の企画書の入ったファイル一冊。遠い昔の夢といっしょに。

新創刊(『モンキー・ビジネス』の進化系、あるいは新装開店)されたのは、2013年10月7日(表四にそう明記

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ありがとうございます。これからもながーい目でひとつ。
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J.D.サリンジャーについて/『バナナフィッシュにうってつけの日』は『サリンジャー入門にうってつけの書』

ちょうど去年の今頃、蔦屋で発見して即買いした
「しししし3 特集:J.D.サリンジャー」

サリンジャーなんてものは、昨今の若者からは敬遠される存在
(流行ってすぐくらいの頃の『アキネーター』ですら「サリンジャー」を当てられなかった)
であると思っていた。

「サリンジャーに傾倒した時期がある」
などと言うと、色々な意味で、
「ある種の人間」としてカテゴライズされてしまうのではないか
という自意識

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自分に合う「音」を見つける

きっと文芸翻訳者にとって一番幸せなことは、自分に合う作家を見つけることだ。

柴田元幸さんがポール・オースター、岸本佐知子さんがミランダ・ジュライを見つけた(見つけられた)ように。

20年間にわたり、村上春樹作品をデンマーク語に翻訳しているメッテ・ホルムさんは、翻訳を通じてその人の「音」を探していると語っている。

↑翻訳を織物に例えていたり、面白いので興味のある方はぜひ読んでほしい

そしてそ

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ありがたき幸せ!
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削るセンス

先日同僚とやり取りしていて

「意味を明確に伝えながら表現を短くするのって本当に難しいね」

という話になった。

親切心から内容を正確に伝えようとすればするほど文章ってどんどん長くなるし、その分リズムが損なわれ魅力も減ってしまうことが多い。

特に漫画翻訳で中心となる会話表現は、リズムよくスムーズであることが重要。

しかし英語には文字の種類がアルファベットしか無いため、日本語から英語に翻訳する

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宝くじ100万円
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雪のふる街 ポール・オースター『ニューヨーク三部作』

京都も今週は雪になるそうで。最近結構暖かかったからいよいよやってきちゃうのかあ……底冷えの厳冬。とぼやきながらこの記事を書いている(追記:この記事書くのをいったん中断していたので今はもう春が目覚めている。梅が綺麗だ)。

今回の記事表紙に使用させていただいたのは(嬉しいことにご了承頂きまして)絵本作家たなか鮎子(Tanaka Ayuko)さんが2014年ギャラリーハウスマヤTwo Window展に

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あなたにも花を
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21. ユリイカ 2003年9月号 特集ブックデザイン批判 青土社



たしか矢口書店かアットワンダーの屋外の棚を見ていたら、横に女子大生らしき二人組が来て棚を見ながら、「クローニンだって。私の方が苦労人だわ」と言ったのを聞いたことがある。思わず上手いと言いそうになったけれど、読んだことのないクローニンはそのとき、ロシアの厳しい冬を乗り越える苦労人のイメージが植え付けられた。もうこれから一生、クローニンを見て苦労人を連想しないときは無いだろうと思う。
そういう強い

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写真家 Saul Leiter 雨なのでソール・ライターのお話

ソール・ライター (Saul Leiter) は、1923年にアメリカのペンシルベニア州ピッツバーグで生まれ、2013年にニューヨークで亡くなっています。

【アンチセレブリティ・フォトグラファー】【地位も名誉も捨てた伝説の写真家】なんて触れ込みで紹介される事が多いですが、とにもかくにも写真が素敵です。

ハッとして、じいっと見入ってしまう。

彼は画家志望でもあったようですが、25歳前後でファッ

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良い春になりますように(^-^)/
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訳書の紹介だけでなく、訳者の紹介まで!

本日の朝日新聞夕刊です。

『中国・アメリカ 謎SF』を紹介いただきました。

本日、ちょうど重版が出来上がったところなのですが、注文が殺到していて、ほぼ在庫切れに近い状態です。数日後には重版が店頭に並び始めると思いますので、読者の方はそれほど慌てなくても手に入ります。

それに第三刷も進んでいまして、来週3月3日にはそちらも出来上がってまいります。

今回は、この書籍紹介欄の左隣にこんな記事も載

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『孤独の発明』ポール・オースター 生と死の感覚

ふと頭に浮かぶ。「自分は本当に生きているのだろうか」と。でも、そう思うのは、私だけではなさそうだ。

『柴田元幸ベスト・エッセイ』の「死んでいるかしら」に、次のような文がある。

自分はもう死んでいるのではないだろうか、と思うことがときどきある。

この感覚は、次のように述べられている。

・・・生に対する根源的な疎隔感とかいった高級な感覚があるわけではないが、さりとて、「僕はいま、ここで、こうし

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