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「○○」一択の理由

子どものころ、ビートたけしさんがバイク事故を起こしました。

メディアが「ポストたけしは誰?」と騒ぎ、松本人志さんは「そんな奴いるわけない」と著書に書きました。たけしさんのキャラクターは彼だけのもので他の人に同じ何かを求めるのは間違いだと。

あの辺りから私の中で「いちばん面白い人」が「たけし」から「松ちゃん」に変わりました。頭の回転の速さや芸術家肌のセンスは近い。でも笑いの取り方は別物。たけしさんは早口で毒を吐き、松本さんはボソッと想定外なことを呟くタイプでした。

同じような事例はプロレス界でも見られます。「ポスト棚橋弘至」と言われた内藤哲也選手が大関ポジションで足踏みし、棚橋選手とは異なるタイプのオカダ・カズチカ選手に先を越されたのです。内藤選手がスターになったのは「制御不能」キャラに変わって棚橋色を消してからでした。

さてスアレス投手退団の件。あれだけの活躍をした以上、同じような人を後釜にと考えるのもわかります。そしてクローザーは彼みたいな真っ直ぐが速いパワーピッチャーが適任と言われています。「ハマの大魔神」佐々木主浩さんや「火の球ストレート」藤川球児さんなど。

でも名クローザーの全てが同じタイプというわけでもない。たとえば東京ヤクルトスワローズの高津監督。彼はアンダースローでシンカーを投げる変則型でした。そして中日ドラゴンズの岩瀬仁紀(ひとき)さん。彼の武器は「死神の鎌」と呼ばれたスライダーで、ストレートは140キロ台。共に日本シリーズ無失点でプレッシャーに強い印象を受けます。

阪神が探しているのは「ポストスアレス」ではなく「新しいクローザー」のはず。パワーピッチャーに拘泥する必要は全くない。ならば答えはひとつ。かつての岩瀬さんみたいに連日淡々とマウンドに上がり、速くない真っ直ぐで三振を奪うあの人。重圧の掛かる東京オリンピック決勝で素晴らしいピッチングを見せた岩崎投手しかいません。

首脳陣の皆さま。固定観念や前任者のイメージに囚われず、実力と適性で迷わず選んでください。

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