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「失われた時を求めて」を巡る冒険③

数日前に↓を読了しました。

とにかく「スワンの恋」が生々しい。主観的な思い込みや芸術作品との偶然の一致に運命を感じ、燃え上がる姿に学生時代の苦い記憶をちくちくと刺激されました。最初の印象が良くない方が逆に、みたいな現象にも既視感を覚えます。

すでに1巻を読んでいるから、株式仲買人の息子であるスワンと元・高級娼婦のオデットが結婚することは知っています。でもオデットは平気で嘘を吐き、スワンも素晴らしい時間は去ったと自覚している。ひたすら舞い上がっているのが恋で、相手の欠点を含む現実を冷静に受け入れるのが愛という見方もできます。ただ、おそらくそういうことでもない。

漂うのはある種の諦観と疲労感。そしてスワンが夢中になっていたのは、彼が頭のなかで作り上げた虚像としてのオデットです。しかし実態を知り、恋の終わりを悟り、にもかかわらず関係を続けたのだから、離れ難い何かを感じていたのも事実でしょう。オデットが彼の存在をどう捉えていたのかも気になる。

すべては3巻でわかるのかなと期待しています。

なお、全14巻を読むに当たり、ふたつのルールを設けています。

1、1冊読み終えてから次の巻を買う。
2、すべて異なる書店で購入し、各々のブックカバーをかけてもらう。

1巻はリブロ、2巻は神保町ブックセンター、そして3巻は↓で購入しました。

東京メトロ銀座線・三越前駅の改札脇にあるタロー書房です。

ワンフロアの総合書店で、年配の方やビジネスマンに向けた棚作りをしている印象を受けました。名前の由来は岡本太郎さんで、彼のフェアが目立つ場所に展開されています。

あと本以外の商材を目にしなかったのがちょっと嬉しかったです(見落としたのかもしれませんが)。先ほどのスワンじゃないけど時代の流れに抗おうとする太郎イズムを勝手に感じ、また買いに来ようと燃え上がった次第です。粗利云々の現実的な問題も無視できないとはいえ、やはり本屋は本で勝負してこそ。この気持ちは忘れたくない。

ちなみに購入した際にかけてもらえるブックカバーが2種類ありました。無料です。もうひとつの方はなかなかサイケなデザインでした。ぜひお店で確かめてみてください。

「失われた時を求めて」皆さまもぜひ。

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