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「まず自分が読む&変わる」のススメ

先日読んだコミック「税金で買った本」2巻に「読み聞かせ」のエピソードが出てきました。

主人公は図書館でアルバイトをするヤンキー高校生。彼は絵本で描かれる「教訓」に対して「おしつけがましーんだよなァ」「小さいときからそういう大人の思惑に『ケッ!』って思ってた」と赤裸々な思い出を語ります。

この気持ち、とてもよくわかります。

子どもの頃、楽しく遊んでいる時に「これを勉強に活かしてよ」みたいなことを親に言われた経験はありませんか? 私は進学塾に通っていて他の多くの同級生よりも勉強していました。成績も悪くなかった。なのに。

本を読んでいたり趣味に没頭していたりする時ぐらい、そういう諸々を忘れてもいいじゃないですか。熱中しすぎて他は一切スルーの状況だったら、たしかに注意は必要でしょう。でも堀江貴文さんが著書で書いているように「好きなものにハマることが才能を伸ばす」のも事実なのです。

純粋に好きでやっていることを大人の目線で頭が良くなるとか就職に有利みたいな「打算」に換えられると、子どもは一気に冷めます。

話を戻しましょう。つまり問題は本の内容ではなく、読み方や解釈の押し付けなのです。「楽しかったけど要は説教したいだけか」と落胆させたら失敗。裏切りが重なれば、もう子どもは大人の言うことを信じなくなります。母から本を勧められても「勉強させるのが目的だろ」と無視した昔の私みたいに。

こういう事態を防ぐにはどうしたらいいか? 

私の答えは明快です。「大人こそ勉強すればいい」「大人こそ率先して本を読めばいい」。

自分が楽しんでいれば、子どもだって興味を持ちます。私の父はかなりの歴史好きです。おかげで影響を受けました。ちくま学芸文庫「正史三国志」吉川栄治歴史時代文庫「新・水滸伝」などを勧められるまでもなく、お小遣いやお年玉を貯めて買いました。それらから派生して学んだ知恵や人生哲学にいまも助けられています。

大人は「読ませたい本」ではなく「読みたい本」をまず自分が買って読めばいい。そして変な下心を抱かず、日常会話の流れで内容に触れてみればいい。大切なのは子どもが自発的に関心を抱くことだから。

もうひとつ。そもそも大人は自分たちが考えているほど賢くありません。子どもを含む他者や社会をどうこうする前に、まず己を正すのが先決。↓を読んで痛感しました。

この絵本で描かれる状況は、まさにいまの日本社会です。「ネットや新聞に書いてあったから」「テレビで専門家が言っていたから」「○○さんが話していたから」だけで情報を鵜呑みにしてしまう。自分で調べる意欲と術を持たないがゆえに。

「何が真実かわからない」という人もいるでしょう。ぜひ「歴史書」を読んでください。科学や技術とは異なり、人は良くも悪くも大して進歩していません。形を変えて同じことを繰り返す。だからこそ過去から学べるのです。図書館でロシアやウクライナ、感染症や薬害の歴史を綴った本を借りて読む。これだけでもだいぶ違うはず。

他人を変えることは難しい。でも自分はいつでも変われる。充実している姿を見せれば、身近な他人には必ず響きます。ぜひ。

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