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教育現場で起きた「指導死」から考える研修会を行いました

先月の7月19日火曜日に、生徒指導に起因した子どもの自殺・「指導死」をテーマにした特別授業を実施しました。

私が春学期に担当していた「スポーツ指導論」の授業の一環として実施し、受講生だけでなく学内の学生・教職員の参加もありました。

さて、みなさんは「指導死」という言葉はご存知でしょうか?

「指導死」とは、学校現場において教師の行き過ぎた生徒指導がきっかけとなった子どもの自殺をさす言葉です。

この特別授業は、スポーツ指導論のシラバス上の一コマ、「スポーツ現場の課題、部活動における指導死」に準じたものとして企画しました。
学校・部活動上の重大事件・事故の実例と背景を学び、そこから望ましい指導とは何かを考えることを目的としたものです。

この特別授業には講師として、ここから未来 代表理事の大貫隆志様をお呼びしました。

大貫様は、「指導死」親の会の共同代表も務められており、ご自身も2000年9月に次男 陵平さんを指導死で亡くされたご遺族です。

この日は、陵平さんの死についてだけでなく、さまざまな指導死の事例、学校や教育委員会の対応、子どもとの接し方、指導死を起こさないためにといった、大変貴重なお話をお聞きすることが出来ました。

講師 大貫隆志様

質疑応答の時間では、学生からの質問が多数におよび、時間内ですべての回答が出来ないほどでした。
受講後の感想もびっしりと書かれており、学生にとって、多くの貴重で深い学びがあったものと思います。

また、私自身もコーチング学(体育方法学)を専門とするものとして、大変多くのことを学ばせていただきました。
改めて、自身の専門領域を究めつつ、教育者として一層気を引き締めて教壇に立ちたいと思いました。

本学では、学校教員やスポーツ指導者を目指す学生も多く、「指導死」のリアルな話を聞き、指導法を本気で学ぶ必要性を痛感したことかと思います。

指導死を引き起こしたその「背景」には、複雑に絡み合った要因があります。
もし当事者としてその場にいたとするならば、あなたには何ができるのか?非常に大きな問いを、学生たちは目の前にしました。
この日、本当の意味で学問へのスタートラインを切ったともいえるでしょう。

講演会の最後には、大貫様が携わられた『指導死』という本の一節を紹介し、「指導者はその行為の一挙手一投足の影響力を、本当に正しく理解し続けなくてはいけない。それが指導者の永遠のテーマなのではないか」と問いかけて締めくくりました。

本研修会は、私が日本体育大学大学院に在籍中に参加していた、「学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会」に基づいて企画したものです。
大学院生の頃に研修会で拝聴した話は、今でも私の財産です。

大学教員になってまず真っ先に取り掛かろうと、日体大で研修会の運営をされていた南部先生に連絡し、実現にお力添えをいただくことができました。
お陰様で、教員一年目ながら無事形にすることが出来ました。

今後も、九州の地で引き続き、”本気で考える”指導の特別講義を行っていきたいと思っています。
学生たちには、今回の学びをぜひ生かして、未来を切り開いてくれることを切に願っています。

講演会の内容については、またの機会にご紹介したいと思います。

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