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TSMC・ソニー新工場 ー なにもないよりもマシでしょう、ということで、当分は、20ナノメートル台の工場を誘致できただけでも良しとしましょう。

ソニーとTSMCと聞いて、自動車用ロジック半導体とか画像センサーに組み込む演算用半導体ではなく、プレイステーション5用CPUとGPUをふと想像してしまったが、ありえないよなあ、と思い直しました。

現在のPS5のCPUの製造プロセスは7nmです。TSMCは、2022年の第2四半期から第3四半期の間に、再設計されたプレイステーション5の生産を行う計画にしているようです。再設計版PS5は、CPUの製造プロセスが6nmになっているそうです。

Ajinomoto Build-up Film、味の素多層間絶縁フィルム

プレステ5と、実はXbox Series Xも、どちらともAMDのZen 2アーキテクチャベースのCPUとGPUを搭載しているんです。AMDはソニーとマイクロソフト向けCPUとGPUをTSMCに委託生産して供給しています。(※これらCPUは多層構造で層間の絶縁体が必要。それで実はABFという絶縁体が不足していて供給の問題になっています。ABFの「A」とは「味の素」の「A」。「Ajinomoto Build-up Film」なんだそうです。世界のサプライチェーン、単純じゃありませんね?)

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プレステ5用CPU/GPU

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Xボックス用CPU/GPU

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Ajinomoto Build-up Film

日本の演算用半導体工場の先端能力は現在40ナノメートル程度。今回のTSMC/SONY工場が検討しているのは、20ナノメートル台の工場。スマホなどで開発競争が進む「最先端」の半導体には及ばない。高感度センサーや、処理能力の高いマイコンの製造程度の工場。だから、7ナノメートルのプレステ5用CPU/GPUの製造ってわけじゃない。TSMCもナノが一桁台の半導体工場は日本に出したがらないだろう。もちろん欧米にも。

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元東芝のキオクシアは、主力製品であるNAND型フラッシュメモリーの技術開発は積層化(3D化)が現在の主流で、微細化はロジック半導体のようには進んでいない。キオクシアの微細化は、15ナノメートルまでの量産技術は確立済み。しかし、ナノが一桁台の製造はこれから。

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数十兆円を日本国とソフトバンクとかが投資すれば、ナノが一桁台の製造工場は作れるのだろうが(それでも数年は儲けなし)、日本国内にナノが一桁台の半導体の顧客がいない。

トヨタとかホンダ、日産が必要なのは、自動車用ロジック半導体で、20ナノメートル台で十分。おまけに数が数千万個程度でしょう?スマホのCPU/GPUなんて何億個の単位。ソニーがプレステ用CPU/GPUを自前でなんて、TSMCが怒ってしまいます。

じゃあ、キオクシアは?というと、これは自前でNIL(ナノインプリントリソグラフィ)という微細化技術を大日本印刷、キャノンと研究中です。TSMCが採用しているのはオランダの半導体機器製造会社のEUV(極端紫外線露光)でNILの競合技術。(※EUVも元々は日本が開発したけど諦めた技術なんですが)

【フォトリソグラフィー】最先端の半導体露光装置が数ナノメートルの表面加工できる仕組み

キオクシア ~総合紹介ムービー~ (Long版)

キオクシアと合併交渉 米 半導体大手(2021年8月26日)

まあ、なにもないよりもマシでしょう、ということで、当分は、20ナノメートル台の工場を誘致できただけでも良しとしましょう。

半導体の国際分業見直し、TSMC・ソニー新工場

日本が台湾積体電路製造(TSMC)を誘致すれば、開発競争を断念してきた高度な半導体の製造拠点を国内に確保できる。半導体は「設計と生産」の分業が進み、TSMCを筆頭に先端半導体は東アジアに生産が集中していた。米中対立など地政学リスクが高まるなか、自前の先端半導体の生産拠点を確保しようと各国はしのぎを削る。

日本への誘致が検討されているのは「演算用(ロジック)半導体」の工場だ。パソコンのCPU(中央演算処理装置)や、車や家電の制御に使うマイコンの中核となっている。回路の線幅が細いほど、高い能力を発揮できる。スマートフォンなどで使われる最先端半導体の線幅は10ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下。製造できるのはTSMCや韓国サムスン電子などに限られている。

かつては日本企業も、世界的な競争力を持った家電の進化などに合わせ、演算用半導体を開発してきた。ただ、半導体の集積度合いが2年で2倍になるほどの激しい開発ペースで、数千億~1兆円規模の設備投資も必要になるほど競争は厳しい。

2000年代から総合電機メーカーの苦戦が鮮明となるなか、自前での開発や製造の規模を小さくし、ファウンドリー(生産受託企業)に頼るようになってきた。現在、日本の演算用半導体工場の先端能力は40ナノメートル程度にとどまる。

衰退する日本の半導体産業とは逆に、台頭したのがファウンドリーだ。最大手のTSMCは、世界の半導体メーカーから生産を受託し、設計と生産を分離するモデルを築いた。生産規模を確保し、大規模な投資を実施し続けてきた。演算用半導体の開発でサムスンや米インテルをリードし、現在の時価総額は約59兆円で半導体世界首位だ。

ただ、世界的な分業体制は、地政学リスクの高まりや新型コロナウイルス禍で深刻化した需給逼迫で揺れている。台湾のファウンドリーが1年間生産を止めると、世界の電子産業は4900億ドル(約54兆円)の減収に見舞われるとの試算もある。各国政府は自国内に供給能力を確保しようと血道をあげている。

米国では5.7兆円の半導体関連投資を含む法案が上院を通過、欧州では半導体を含むデジタル分野に今後2~3年で17兆円以上を投じる計画だ。

日本の産業基盤にもこうした先端半導体は欠かせない。世界的に競争力を持つ自動車産業は、自動運転や電動化を背景に、従来より高性能の半導体を必要としている。また、画像や動画などのデータを収集し、製造工程を効率化するスマート工場でも、従来以上のスピードと量で電子情報を処理しなければならない。

今回、TSMCが日本で検討しているのは20ナノメートル台の工場だ。スマホなどで開発競争が進む「最先端」の半導体には及ばないものの、高感度センサーや、処理能力の高いマイコンなどに欠かせなくなる。

少額出資を検討するソニーグループにとっても演算用半導体は欠かせないピースだ。現在、同社が世界シェア1位の画像センサーも演算用半導体を組み合わせて製造している。脅威となっているのが、自前で演算用半導体の生産能力を持つサムスンの追い上げだ。高い微細化技術を握るTSMCと生産面で緊密に連携できる利点は大きい。

日本の半導体産業にとっては、エンジニアや技術などの資産を将来につなげるためにも、先端工場の存在は重要となる。

ただ、日本で半導体の事業を継続していくには、工場の建設だけでは足りない。米国半導体工業会は、日本で先端半導体の工場を建設し10年運営する費用は、韓国に対し2割、中国に対し3割近く高いと指摘する。海外諸国が半導体産業への優遇策を強化してきたのが大きな要因だ。海外勢との競争の土台をそろえる必要もある。

TSMC・ソニー、熊本に半導体新工場 デンソーも参画

世界最大の半導体生産受託会社である台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループが、半導体の新工場を熊本県に共同建設する計画の大枠を固めた。総投資額は8000億円規模で、日本政府が最大で半分を補助する見通し。TSMCの先端微細技術を使い、自動車や産業用ロボットに欠かせない演算用半導体の生産を2024年までに始める。半導体は米中対立で供給網が混乱し、経済安全保障上の重要性が増している。工場新設により、日本は先端技術と安定した生産能力を確保する。

日本の半導体メーカーの多くは先端半導体の生産に必要な大型投資の競争から脱落し、最新技術を使う演算用半導体はTSMCなどに委託生産している。TSMCによる直接投資を受け入れることで先端品の国内製造を復活させる形となる。

新工場は熊本県菊陽町にあるソニーの画像センサー工場の隣接地に建設し、24年度をめどに操業を始める。画像センサーで集めた信号の処理や自動車向けに使う半導体を生産する。

ソニーは新工場の大口顧客となり、TSMCが過半を出資する工場運営会社に少額出資することも検討している。デンソーも自動車部品向け半導体を安定して調達するため、新工場に専用設備を設けるなど何らかの形で参画する検討に入った。

半導体の性能やコストを左右する回路線幅は20ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の微細加工技術を使うとみられる。世界の最先端の5ナノに比べると世代が遅れるものの先端品を作る国内拠点となる。

ソニーは工場用地を準備する形でも協力する。狙いは画像センサーに組み込む演算用半導体の安定調達だ。スマートフォンなどに搭載するセンサーでは世界シェアの半分を確保し熊本のほか長崎県などに工場を持つ。光を集めるセンサー部分は自社製造するが、画像データを処理する演算用半導体はTSMCなどに生産委託している。ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長はかねて「半導体を安定的に調達できるかどうかは日本の国際競争力維持のために大事だ」と話していた。

TSMCの広報責任者は日本経済新聞の取材に「日本の工場に関しては一切、回答できない」とした。ソニーグループは「コメントを控える」(広報部)としている。

日本政府は総事業費の半分程度を補助金で支援する方針だ。衆院選後に編成する21年度補正予算案に計上する。経済安全保障の観点から先端半導体を生産できる国内拠点が欠かせないと判断した。1つのプロジェクトに4000億円もの補助金を出せば異例の対応となる。

補助金の対象メーカーには半導体の国内供給を約束してもらい、契約に反して撤退する際などは補助金を返してもらう。メーカーの認定手法、国内への優先供給などを定める法律を整える。高速通信規格「5G」やドローンを開発する国内企業を支援する関連法を改正する案が有力になっている。

米中対立が深刻化する中、あらゆる産業の基盤となる半導体は経済安全保障上の重みが増している。日本の依存度が高い台湾に中国が軍事的圧力を強めていることもあり、政府は海外企業の国内誘致を含む振興策を6月にまとめていた。海外企業に巨額補助金を拠出するため国民が納得できる説明が必要になりそうだ。

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