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行き着く場所が見えてなくても

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事実を元にした雑文です 所謂ギフテッドと言われる人が、それを理解されないまま程度の低いところにシンクしているとこうなってしまうという、そういう話です
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#恭子

行き着く場所が見えてなくても(5)

自室の寝床で見慣れた天井の節の多い木目の模様を目で追いながら、少しずつ自分の考えをロジカルに整理した

やっぱり大学には行きたい

でも親は金を出してくれない

だとしたら自力で金をためてから自力で大学に行こう

よし、さくらに勤めよう

実家からさくらに2年か3年通って働いてカネをためて、そのカネで家を出て大学を出よう

そこから先のことはまたしばらくしてから真剣に検討すればいい

久しぶりにス

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行き着く場所が見えてなくても(4)

かといって、高卒で仮にさくらに勤められたとしても恭子ちゃんの家のような暮らしは手に入らなさそうだ

大学に行けないとなれば別に勉強もする必要がない

成績は落ち、彼女にも愛想を尽かされ、別れることになった

私と彼女は文化祭の前に部活をやめた

恭子ちゃんと後輩たちには大変迷惑をかけたが致し方あるまい

成績はとことん落ちた

赤点を取る科目もあり、優等生で通っていた私はもうどこにもいなくなった

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行き着く場所が見えてなくても(3)

というのも、当時、もともと住んでいた町にはある通信機器の大きな工場があり、そこに勤められれば一生安泰というなんとなく町民全員が持っている共通認識があったのだ

なので、なんとなく、高校を卒業したらすぐにその通信機器会社の工場に勤務して一生この街で暮らす、というのがこの町に暮らす庶民の中での最高のステータスだ、というのがみんなの中で薄っすらと共通認識として持たれていたのだった

私は、この工場に勤め

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