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父記録2023

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2023/4/2からの父の記録。 父は60歳でパーキンソン病と診断されてから17年になります。介護度5。 特養に入所している為、3年間面会が叶いませんでした。やっと面会が制限付き…
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2023年4月の記事一覧

父記録 2023/4/29

父記録 2023/4/29

4/29
晴れ。風が強い。
黄色い薔薇が降るように咲いている。

今日は父の弟、ゆきおさんと共に父の面会へ。
叔父もまた病身で先日退院したばかりである。
病室に入ると窓が開いていて、レースのカーテンが父のベッドに向かって激しくはためいていた。
看護師さんが慌てて走って来て「すみません換気してました!」と言って窓を閉める。

「アニキ、ゆきおだよ。会いに来たよ。遅くなってごめんね。わかる?ゆきおだよ

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父記録 2023/4/28

父記録 2023/4/28

4/28
晴れ。あたたかい。
窓を開けると薔薇の香り。
ピエールドロンサールも咲き始めた。
からだが重い。
疲れが出てきているな、と思う。

母と病院で落ち合う。
「早く着いちゃってね、駅ビルでスニーカー三足も買っちゃった」
母はまだまだ歩く気だ。
担当の先生と面談。
肺炎は小康状態。
胃管からの栄養、薬、水分は現在問題なく送れているが、パーキンソンの影響で血圧が乱高下するのが少し心配。
胃ろうを

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父記録 2023/4/27

父記録 2023/4/27

4/27

晴れ。あたたかい。
母と病室に入ると父はベッドの上で腕を動かしていた。
点滴は外れ、鼻の管だけになった父は少しすっきりしていた。
ただ、目は合わない。
看護師さんがやってきて、「少し廊下でお話し出来ますか」と言った。

「今日は傾眠が多く、血圧が上がったり下がったりしています。意識レベルも少し下がっている気がします。パーキンソン病のご持病の影響もあると思うので判断がつきにくいのですが、

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父記録 2023/4/26

父記録 2023/4/26

4/26

15時に母と病院前で落ち合う。
父は右に傾いて眠っていた。
母が「きたわよー」と言って父の手を握り
「悪いの悪いの飛んでけー!ほらっ投げたわよ、飛んでけー!」と窓の外に何かを投げる仕草をした。
外は雨。
空が白い。
父に反応はなかった。
今日も父の足を揉む。
最初は反応がなかったが次第にもぞもぞと足が動き出した。

私「お父さんの足を触ってるとさ、自分の足とそっくりでいつもびっくりする

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父記録 2023/4/25

父記録 2023/4/25

4/25
車で犬たちを予防注射に連れて行き、仕事場に犬を預けて父の病院に行こうとしたら急にエンスト。
ディーラーに電話をして指示を仰ぐが埒が明かず、幸い近所だったので来てもらう。
面会時間は迫っているが、車を道端に放置する訳にもいかない。
紆余曲折の末バッテリーを交換して車は復活した。よかった。今車が壊れたらめちゃくちゃ困る。

待っていた母と合流し、病室に入った。
今日は遅くなったので40分しか

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父記録 2023/4/24

父記録 2023/4/24

4/24
特養の父の部屋から写真やメガネ、ティディベア、携帯電話などを持ち出させてもらう。
このティディベアは革人形作家の本池秀夫さんが、父に贈ってくれたもの。

職員さんと看護師さんに「父は意識もはっきりしてきて、一昨日は随分喋りました。今は落ち着いています」と報告するととても驚き、喜んでくださった。
「今日から経鼻胃管です。父は胃ろうもすると言っているので、先生もそこを目指してゆくとのことです

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父記録 2023/4/22.23

父記録 2023/4/22.23

4/22
正午起床。久しぶりにすっきりとした目覚め。夫は庭仕事に精を出していた。
つる薔薇が次々に咲き始めている。満開も近い。

15時、夫と面会に向かう。
今日は母はおやすみ。
1日2人までなのでシフトが少し難しい。
例えば夫の両親が来るとしたら、他に誰も付き添えない。せめて3人までOKなら良いのにと思うが、コロナ禍の制限を思えば毎日面会出来るだけでも御の字ではある。

今日も父は目を覚ましてい

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父記録 2023/4/19〜21

父記録 2023/4/19〜21

4/19
結局は私が決めるんだと思う。
父の人生の終わり方を。

4/20
父転院。大学病院から面会可能な病院へ。
酸素マスクは外れていた。呼吸は前日よりよいが痰絡みは多い。目元が目やにでカピカピになっていた。
意識は前日よりしっかりしていて
「転院するんだよ」と声をかけると「うん」と言った。何か他にも喋ろうとするが、むせこむ。あまり話しかけないほうがいいのかな?と思った。
転院先の病院で面談。

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父記録 2023/4/18

父記録 2023/4/18

4/18
沢山寝た。
日にちと曜日の感覚がだんだん曖昧になってゆく。
ICUに居られるのは3日。その後は一般病棟に移動になる。今の大学病院は良い病院だが、面会は全面禁止。(危うい状態になった時のみ面会が許される)
調べてみると面会制限が緩和されている病院もあるようだ。
父の特養に訪問看護に来ている病院も時間と人数制限付きで面会を再開していた。
大学病院と特養に転院の相談をした。
大学病院から問い合

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父記録 2023/4/17

父記録 2023/4/17

4/17
3:10
寝ついてすぐに携帯が鳴った。病院からだった。

「血圧が下がっています。この先どうなってゆくか分からない状態なので、ご家族の皆さまに連絡して来ていただけますか。」

「えっ………えっと、あ、はいでは朝一で行けばよいでしょうか」

「…いえあの…朝まで持つか分からない状態でして可能でしたら今すぐに」

「え、そんなに!?」
大きな声が出た。隣で寝ていた夫がガバと起きて階下に降りて

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父記録 2023/4/16

父記録 2023/4/16

4/16
9:00、父の特養より電話あり。
発熱、酸素濃度低下につき緊急搬送してもよいかとのこと。
胃ろうはしない、この施設で出来る以上の延命措置(常時点滴、常時單吸引、気管切開など)はしない、入院しない、施設で看取ると決めた矢先のこと。
なのに「はい、緊急搬送してください」と答えていた。

再度救急隊員さんより電話あり、「気管切開になる可能性が高いです。ご本人様或いはご家族の意向は確認されてます

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父記録2023/4/2〜4/16

父記録2023/4/2〜4/16

2023/4/2
父、面会日。
今日は母、夫、私の三人で。
夫が父に会うのは二年ぶりである。
今日の父はここ数ヶ月で一番、ダントツでしっかりしていた。目に力があった。
「お父さん、あと四年でお父さんたちのお店、50周年ですよ。また展示会やりましょう。その時は会場に居てくださいね」
と夫が言うと、
「そうか。」と言った。
父の独自の手法について夫が訊くと、はっきりとはしないが多分、「それは、削るんだ

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