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44日目 人間 ( かたち )

ねむっているそばで わらっている かたち

わらっているそばで ねむっている かたち

人をねむらせ

人をわらわせ

夜よりも そっと 瞳 ( まち ) をおおう 

そんな やわらかい かたち

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ヤヤナギさんが企画されている #100日間連続投稿マラソン に参加中です。

44(詩詩)日目にちなんで、しばらく詩歌でいってみようかと思います。

45日目 音

ひと思いに飲み込めば
歩く度に聞こえるのだろうか
あの音が
私の中から聞こえるのだろうか

走ればもっと軽快に
あの子が私にかけよってくる、
鈴の音

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しばらく詩歌でいってみようかと思います。

46日目 太陽

私の指先に届いている

(遠くでは燃えている)

消しゴムにも届いている

(遠くでは燃えている)

窓際で話をした時の、

あなたの瞳(め)に届いていた

まぶしくてあったかい ひかり

(すぐそばで燃えている)

私の指先に、届いている。

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しばらく詩歌でいってみます。

47日目 再会

逃がした魚のことばっかり
毎日考えなくちゃならないんだ
逃がした魚のことばっかり、毎日。
目の前に生きた魚が泳いでいるのに
ちっとも欲しくはならないなんて
おなかがすかないのは
おなかがすいて死にそうなのより
きっと、もうちょっと、かなしい。

からっぽの金魚鉢の前に
ずっと長くうずくまっているうちに
いつのまにかヒゲが生えていた。
のどばっかり渇く、一日中。
のどばっかりゴロゴロなって
食べられ

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48日目 すてる

そのとき、
白い部屋の中で
白いトイレットペーパーが
くるくるまわる。
白い便器が光を浴びて
ふんわり まぶしい

どんな人の家にも、
こんなトイレがひとつあって。
家のない人の胸にさえ、
こんなトイレがひっそりと建って。

そこから ときおり、
涙をふく音が
きこえる。

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しばらく詩歌でいってみま

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49日目 黒猫・存在の輪郭

帰り途(みち)
突然
目を見張る
穴があいたように
そこだけ
闇が深い
覚悟して
飛び込むと
視界がひらけ
音もなく
飛び退(の)いた
闇の影は
うんざりした顔で
私を見上げる
闇よりも深い
黒をまとい
ラムネ玉のような
緑の瞳は
私への興味を失った

とたん、
闇に溶けた

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もうすぐ50日!

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50日目 いちにちのおわりに

いちにちのおわりに、
あたまっから
シャワーをかぶって
背中を丸めて
じいいっと。

水が流れていく
首や耳のうしろや
髪のすきまを
ぜんぶ。

死んだら、
服は いらなくなるな。

ちょうど その時、
滝の下のお坊さんも
そんなことを
考えていた。

土のすきまに根をはるように
白い骨に手を伸ばすように
水が流れていく、
いちにちのおわりに。

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ヤヤナギさんが企画されている

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75日目 あまがえる

  雨音に閉ざされてゆく
  静けさに
  深みをました
  体内
    硝子
    つたう つたう
    しずくは
    目の前 触れない

 「飛び出す」
  のに
  傘は要らない
  車 とびかい
  日が暮れた
  信号前の水たまり
  車 かけだす その瞬間
  大小すべて
  あおい あおい

  浮かぶ
  白い「歩く」人型
  いっせ

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