記事一覧
「アンダー・ザ・メルヘン」21
閑話 インター・ブレイン・パーティー
BY トラグス
どこにでも行ける。そんなことを恥ずかしげもなく言う奴がいるけど、世の中の事を少しばかりでもかじった奴なら分かるはずだ。実際にはどこにも行けない。そんなもんだ。距離で誤魔化されても駄目だ。俺が言っているのはそんな意味じゃない。
だから誤解されちゃあ困るが俺たちがいる場所は異次元の世界じゃない。でもそこはこの世の不思議ってや
「アンダー・ザ・メルヘン」20
その33 ジ エンド オブ イノセンス
BY 中島麻里子
昨日と今日の一連の出来事は、一言では言えないくらいの凄い経験だった。有り得ない出来事と有り得ない人達の連続だったから。
もしかしたら自分の方がおかしいのかと思ってしまう事もあった。この世の常識って何なんだろう。こんな話、人にしても信じてもらえないと思う。自分でも、今でも信じられない。母が聞いたらひっくり返るかもしれない。
「アンダー・ザ・メルヘン」19
その31 バック トゥ ザ プロローグ
BY トラグス
「麻里子、君の兄は最後に言ったんだ。家族に会いたい、と。」
こいつ、完全にイカレちゃってるな。というかあのブタの言った事は本当か?こいつがサラエル?
少し整理してみよう。つまりだ、あのおとぎ話は本当。こいつはNO・1の息子。
いや今はどうだっていいんじゃないのかな。考えようって思ったけど、こういう事じゃないような気がする
「アンダー・ザ・メルヘン」18
その29 アンダー ザ メルヘン
BY トラグス
やって来たのは迫田だ。巨体を気持ち悪く揺らしながらガニ股で、また今日は一段と偉そうだな。いや、足が閉じないからそうなるのかな。
しかも何だろうな。口からか、どっかからかは知らないけど「ゼェゼェ」聞こえるな。しかも喋りながらも聞こえる。芸だな。
ここの倉庫は少し暗いから色んな所に陰影が出来る。そのせいで肉の芸術が出来上がってる。そ
「アンダー・ザ・メルヘン」17
その27 哀の逃避行
BY トラグス
ミスターヤマダのせいで表の人間が一時裏に入って来る事があったとは前に言ったよな。
その時、ある表の警官と知り合いになった。事件の処理をする為だ。
事情を話して理解してもらうのは大変だったが。いや、理解はしてもらえなかったな。真面目な奴だった。
そいつは自分の非力さを悔やんでいた。
俺が表の奴を戻すのに少しだけ積極的になったのはこれが原
「アンダー・ザ・メルヘン」16
その25 ザ メルヘン
かつて「父」と呼ばれている男がいた。誰の、ではなく、ただ「父」と。それはその男が生まれる前からあった。いや、いつの、どこの世界にもあるものだった。が、現在の社会の中に作り上げ、整備したのは彼だった。
彼はずっと自分の感覚の赴くままに生きてきた。簡単に言うと、かなりの悪事を働いてきた。善と悪の違いが良く分からなかったのである。
人生を経るうちに、様々な人と出会っていく
「アンダー・ザ・メルヘン」15
番外編 未知との遭遇その2
BY 18
よく言われる事だ。
「あいつはターゲットを覚えない。」
そうじゃない。
裏の奴らが持ってきた画像やら映像やら。俺は一応は見る。それを一瞬で心の中に捉えるんだ。何ていうかな・・悪いな。言葉で表現するのが苦手なんだ。そいつの匂いっていうか、匂いじゃないな。何だろうな、イメージを。それだけで十分だ。だから本人を一瞬見るだけでそいつかどうかが分かるんだ
「アンダー・ザ・メルヘン」14
その24 ビーグル7
ビルの屋上。
狙撃用のライフルを構える7はいつもの様に確信を持って引き金を引いた。
7の中では確実にトラグスのこめかみに命中したはずが、トラグスの頬をかすめる様に建物の壁に当たった。
「げ。何だ今の。」
ほんの一瞬だった。しかもそれは針で刺すかのような細いものだったが、トラグスにはそれだけで十分だった。
7だ。トラグスはすぐに分かった。
「おいおい、いよいよ来たか
「アンダー・ザ・メルヘン」13
その22 因縁
高まった殺気を邪魔されたイライラと、そのせいで不快感が消えた安心とで、18は複雑な気分になった。
「オイおっさん、うるせえよ。だいたいそれが分かれば苦労はないだろ。」
「何だ若造、死にたいのか。」
迫田が重そうな体を揺らして18に殴りかかると18は一瞬で迫田をかわして後ろを取った。その時、18は習慣で迫田の背中を指で突いた。
迫田のベトベトの汗がついた指を見ているうち、1
「アンダー・ザ・メルヘン」12
その20 診断書 迫田一郎 医師ロバート・ウォーデン
『ふざけやがって。どこのどいつだ。八つ裂きにしてやる。』
客観性。それは個人の中に存在する社会の事だ。似たような捉え方をするのが宗教家である。彼らはそれを神と呼ぶ。
自分の心の中に住む神に祈りなさい、と。
『もうすぐだ。もうすぐ。・・・もっと速く走れないかこの車。』
『ああ、そこだ。・・・クソ。そうか、車をどこかに停めないと。まさ
「アンダー・ザ・メルヘン」11
その18 人生最悪の日が始まった
BY トラグス
俺が朝起きると女は・・・・、名前何だっけ?中迫?吉川?いやそれは違うか。まあいいや。奴はまたテレビをつけやがった。見ないくせに。
というかこいつ、顔が昨日よりもでかくなってないか?頭も膨ら・・あ、それ寝癖か。何かこのまま浮き出すんじゃないか。天井大丈夫かな。
テレビを前にすると条件反射で出るのか知らないが、昨日と同じ様にテレビの
「アンダー・ザ・メルヘン」10
閑話 インター・ブレイン・パーティー
BY トラグス
「NO・1は探しちゃ駄目だ。おとぎ話にもそう書いてある。」
そういやこの前面白い事を言ってた奴がいたな。
「ピカソはチャップリンにはなれない。逆もまた然り。」
判断基準の問題なんだろうなあ。それが分かってない奴が多いって事だ。アマにもプロにも。
どこに価値を置くかによって、その評価は変わってくる。その際大事なのは、評価基準
「アンダー・ザ・メルヘン」9
その16 うさぎ小屋の中で
BY トラグス
「まあ、そんな感じかな。」
・・・・・・あ・・・・う・・。
女は涙ぐみながら話した。毛布を抱えて。
まるで修学旅行だ。あ、俺行ってないや。でも間違っても俺はお前の事なんか好きだなんて言わねえぞ。
「あんた変な奴だけど話しやすいね。こんなに話したの初めてかも。」
こいつの話を俺が無視したからかもしれないが、しばらくすると奴
「アンダー・ザ・メルヘン」8
その14 ミスターヤマダ
BY トラグス
テレビにはまだミスターヤマダが出ている。よほど流す事がないんだろう。
俺が言ってもしょうがないんだけど、俺はこのミスターヤマダと、その周辺の光景を見るといつも不思議な気分になる。本当俺には何一つ関係ない事だけど。
「なあ、もし百億手に入ったらどうする?」
放課後、そんな話を皆一度はしただろう。あ、でも俺あんまり学校行ってないや
「アンダー・ザ・メルヘン」7
その12 エア・ロゴス限定品
BY ロゴス
かつて、世界を股にかけた大物詐欺師は言った。
「結局はいい人の空気を出せるかどうかさ。」
人を表すものの一つとして、特に社会を生きる現代人にとって、非常に重要な役割を果たすもの。
それが空気だ。
この、人の放つ空気というものに左右される人も多いのではないだろうか。
表の人は空気を大切にする。空気を読まない人という存在を表の人は特に
「アンダー・ザ・メルヘン」6
閑話 インター・ブレイン・パーティー
BY トラグス
ある日の事だった。
誰も見た事もないほどの醜男が表で刃物を振り回して逮捕された。でもその後、その男は忽然と姿を消したらしい。俺はそんな夢を見た。
ヨシは綺麗な顔をした男だった。そのせいで、いやそのせいだけじゃなかったが、いつも女と一緒だった。
ドッペルゲンガーという言葉を教えてもらったのはヨシだった。その頃もうおかしかったみ