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「アンダー・ザ・メルヘン」15

番外編 未知との遭遇その2
   BY 18

 よく言われる事だ。
「あいつはターゲットを覚えない。」
 そうじゃない。
 裏の奴らが持ってきた画像やら映像やら。俺は一応は見る。それを一瞬で心の中に捉えるんだ。何ていうかな・・悪いな。言葉で表現するのが苦手なんだ。そいつの匂いっていうか、匂いじゃないな。何だろうな、イメージを。それだけで十分だ。だから本人を一瞬見るだけでそいつかどうかが分かるんだ。
 これに関してはいつも自分でも驚くんだけど、そいつの細かい部分も俺は知ってるという事だ。癖やら体の小さな傷まで。更に言えばそいつがどこにいるのかまで。
 ある種の理詰めな7には分かる事じゃない。全ては感覚の上でのみ行われる。勘違いしてる暇なんかない。「正確に」イメージを捉えるんだ。
 俺だって訓練をする。そのイメージに体を合わせるって事だ。無意識にだって手を出せるまでに。

 奴を見た時は俺も驚いた。あまりの逸脱ぶりに。何がって、あらゆるものからの。
 戸惑うと相手に隙を与えるから、っていってもそんな相手じゃないだろうけど。バリバリ言いそうなくらいに結界張ってるのを普通にそいつの領界(?)に入って行った。
 でも近づいてみると何か好感みたいなものも持った。奴の方はどうだかよく分からないな。笑ってたようにも見えた。それでいてひどく好戦的っていうか。
 でも敵じゃなかった。一瞬で勝負はついた。
 皆怖がってたけど俺は怖くはなかった。俺から言っちまえばただの不細工だろ?どうでもねえんだよそんな事。

 最終的には俺の事は認識出来てなかったんじゃないかな。
 この世での経験・・まあ変な言い方だが、人としてのあらゆる経験が足りなかったんだろうな。人形相手にしてるみたいだった。
 捉えた時は俺もさすがに戸惑った。イメージが歪んだ。顔がふたつあった。いや、奥にもうひとつ見えたんだ。
 言い方が分からないが、かわいそうな奴だった。誰かと仲良くなりたかったのに見た目で引かれて逆上したみたいな。でもそこはいつもの事。悪いな。
 断末魔はやっぱり綺麗だった。

 それから何日かしてその分身の本体も死んだらしい。

 誰かにに言われた。分身の本体もお前が殺したのかって。いや違う。
 ヨシを見かけたんだ。一回。どこかは覚えてないけど。その時ただ見えたんだ。ヨシの体の・・・いや、これを・・・どういう言葉がいいのかな。精神?・・の4割くらいがなくなってるみたいな。隣の女の方は気付いてたみたいだった。組んでた腕が時々すり抜けてたから。でもそれでも嬉しそうだったな。

 そいつにはこのヨシの話、全部したんだよな。まあ、あいつとは仲が良かったみたいだから。そいつも中々不思議な経験してるみたいだけどこの話にはあまり驚かなかったみたいだった。でも何故か俺は最近鼻がきくって言ったらこっちがびっくりする位に驚いてた。それ、何だって言ったら、とんでもない動揺の仕方で俺は別に動揺なんてしてねえからぬあなってよ。今のぬあなっていうのは俺の今のマイブームだからなって。
 全く変な野郎だよな。毒気抜かれちまうっていうか。

 


閑話 インター・ブレイン・パーティー
     BY トラグス

 サイクル。そんなものがこの裏には存在しているのかもしれない。そこには集約していくと、何がしかのパターンが現れるように見える。ただその何がしかってのが分からないんだが。
 運命って信じるか?運命だ。誰の人生も、生まれた時から決められてるっていうやつ。
 決められてるって、一体どこまで決められてるんだ。まさか今俺がこうして鼻くそほじってるとこまで決めてやしないだろ?
 天の邪鬼な奴だっているじゃんかよ。それも全部計算づくだってのか?
 適材適所ってそういう事なのかな。ひょっとして、裏の人事から始めるのか?おこぼれはもしかしたら表の方なのかな。どっちがより重要、いや危ないかってそりゃあ裏の方だからな。誰かの足の置き場一歩間違えるととんでもない事になるかもしれないし。その理由がウンコ避けたとかって事だったら堪んねえな。世界の命運が気まぐれにした犬のウンコ次第だっていうんだから。その犬自体が運命の犬なのかな。酔っ払いの人糞だったらそいつどうすんだろう。シラフだったら違う意味で凄えけど。まさか、あの時の俺のじゃないよな。
 いやでも本当はそんなもんかもな。
 じゃあ、あれだ。全人類で、せえので一斉に何か同じ事やったら運命の歯車ってやつは壊れるのかな。カオスってやつだ。
 やってみたいな。だってこの世に絶対なんてないんだぞ。窮鼠猫を噛むとも言うし。

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