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掌編「十年パンイチ」@毎週ショートショートnote
今日で10周年だ。
重度のコミュ障なので、界隈の交流は一切してこなかった。何なら部屋から一切出なかったので誰に会うこともなかった。
しかし、今日という特別な日、避けてきた門をくぐる勇気が沸々とわいてくるのを感じた。
*
お越しいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞこちらに。
本日担当させていただきます、クマズと申します。
始めにお伝えさせていただきますが、パンイチ界隈では、1
掌編「イケメン月餅」@毎週ショートショートnote
〉 けいちん
今日
ちょ、まじやばたすけて
おつ~
どした?
あそこの店員やばすぎてむり
帰り寄ったタピ屋?
ちゃう、五藤まんじゅう屋の。
あのヤバそうな人?
わたし史上一番刺さった。推し確定だわ
チャラかったよね~
フード被ってたしちょっとビビったわ
病んでそうな目とか最高じゃん?ピアスめっちゃ開いてた
よく見てんねw
黒マスクに気を取られて
気づかんかったわ
ダルそう
掌編「クリスマスカラス」@毎週ショートショートnote
彼女は、緑のクレヨンで何か描いている。
ひと通り塗り終えると、今度は赤で周辺を塗り始めた。
私は隣で缶ビールを飲みながら、その様子を眺めていた。
彼女のイメージがそこに出来上がったらしいが、私にはそれが何だか分からなかった。聞くとカラスだそうだ。
これ、鳥…か。
こういう事は思うだけで言わないようにしている。たぶん言っても彼女は怒ったり哀しんだりはしないが、気にすると思うから。
私が彼
掌編「TRIGGER」1,097文字
に、参加しています。
12月って好きじゃない。ハロウィンの後からクリスマスに切り替わった街の雰囲気は愈愈フワフワしてくるし、なんとなく息が苦しいし、寒いし。
あちこちで見たり聞いたりするCMのせいだと思う。シャンシャンという音楽、キラキラのイルミネーション、ふわりと舞う雪、暖かい飲み物、マフラーや手袋でもこもこしている男女、何となくときめきを予感させる演出、…。
クリスマスまでのカウントダウ
掌編「穴の中の君に贈る」@毎週ショートショートnote
あたりは水浸しだ。
最後に残ったのはこの部屋で、他はみんな崩れてしまったようだ。
たぶんもう、この部屋のオレたちしか残っていないのだろう。
なおも水位は上がり続け、いずれこの部屋も沈んで崩れる。
なぜ上に逃げないのかって?そりゃ、逃げる場所があれば逃げるさ。ないから逃げない、逃げられないんだ。
自分の身体の何十倍もの水の塊がひっきり無しに落ちてくる状況を、キミは想像したことがるか?
こ
掌編「既視感」942文字
…に、参加しています。
「海の生き物」をテーマにクリスマスまで繋げます。
娘が料理をすると張り切っていた。今日は私の誕生日だった。
「ママと買い物に行ってくるね!パパの好きなカルパスも買ってくるから」
なんだ、私の好物も把握済みか。あの子もいい嫁さんになりそうだ。
*
「“ママも座ってて!”だってさ。キッチン追い出されちゃったわ」
妻が笑いながらリビングにきた。両手に持った缶ビールの片
宣伝「ともうしまう in the アドベントカレンダー2022」
メリークリスマス!
今月、私が参加する創作系アドベントカレンダーを自分のためにまとめました。初めてなので、果たしてシステムに則れているのか若干不安です。
「空きがあればどなたでも!」のカレンダーもあるようなので、ぜひ企画者さんの記事をご覧になられてみては如何でしょうか。
「あそこであんなアドベントやってたよ!」という情報もお待ちしています。(?)
それでは皆様、良いお年を。
とまうしまう
掌編「地球の意外な使い方」@爪毛の挑戦状
まず、8,000万キロメートル程度のワイヤーを用意します。
「八千…ワイヤー?」
このワイヤーの端を玉結び。通した地球が抜けないようにね。
「通した…地球…?」
次に、地球を複製。
「えっ」
この複製に、ワイヤーを通します。
「え?」
はい、こっち側も玉結び。そして係留。もうちょっと距離あけても大丈夫ですよ、ワイヤー通してありますから。
「凧上げみたいですね」
もう少し離したい
短編「友引」3,599文字
…に、参加しています。
「クリスマス」をテーマに25人で繋げます。
こちらは、その4番目です。
短編『友引』
3,599文字
大学、講義棟にて「ね!お願い、頼むよ!」
2限が終わり、いつものように学食へ向かおうと立ち上がった俺を引き留めたのは、隣で講義を受けていた親友のユウだ。
俺の前でパチンと手を合わせ、片目を開けて俺を見ている。
「お前、クリスマスなんてバイトの稼ぎ時だろ。いつも入
掌編「男子宝石」@毎週ショートショートnote
「進化した脳ミソのせいで滅びるって、あり得ると思うんだ」
その言葉に、僕は顔をあげた。
放課後の川原。いつもの土手。夕日を背に並んで座る僕らの間を、風が抜けていった。
彼の顔は、猫を見つけて「あ」と呟く時と同じくらい何気ない表情だった。本心から来た言葉なんだろう。
「人間って、なんなんだろうな」
「僕らは別れるべきって言いたいのか?」
彼が最近、何かを考えているような様子なのは気づいて
掌編「配信したがる餃子」@毎週ショートショートnote
「“餃子系男子”ってどうですか。パッと見では分からないけど中身は肉食系です、みたいな」
「それ、既に“ロールキャベツ系”としてあるね。外装がキャベツではなく小麦粉生地であるという意味付けがほしいところ」
「ماشاء الله!ロールキャベツなら外側は草、内側は肉。草と見せかけて秘めたるは肉。なるほどなァ」
「“ماشاء الله!”じゃねぇんだよ。考えろよ」
「小麦粉生地…。小麦は植物
掌編「バイリンガルギョウザ」@毎週ショートショートnote
「あ、新入生くん?ようこそ~」
「よ、よろしくお願いします!これ、地元のお菓子で…」
「お~謝謝!」
「감사합니다~」
「Merci!」
「ماشاء الله!ধন্যবাদ」
「…?」
「これは…?」
「お品書き。この中から1つ選んで」
「ひとつ…」
「そう。好きなやつ」
「…えと、じゃあ、…ピエロギ?で」
「おっけー、ポーランドね。ゴールデンウィーク明けに日常会話程度を目標
「限界サラリーマン桑原の日常」あらすじ
優しく真面目な会社員桑原には、思わず同情したくなるような小さな不幸が絶えない。楽しい忘年会のため、明るい家庭のため、今日も桑原は歯を食いしばり働くのだった。