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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】腰痛と鍼灸

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。
いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今日取り上げるテーマは『腰痛』です。

腰がなんとなく常にだるい、長時間座っていると腰が痛くなりやすい、曇りや雨など天気の悪さで腰が重くなる、重いものをもった瞬間にギクッとした痛みが走った など。
こうした、腰痛の症状は、多くの人が経験したことがある、よくある不定愁訴のひとつとなっています。
このような腰痛はどうしておこるのか、症状ごとのタイプや原因、治療方法についてみていきましょう。
なお、本編の中では、腰痛に対する鍼灸によるアプローチについてもご紹介していきます。


1.腰痛とは

腰痛とは、それ自体がひとつの病気ではなく、文字通り「腰が痛い!」という症状のことを表しています。
動いた時の激しい痛みもあれば、眠れないほどの痛みや、痛みまでは感じないけれどなんとなく重く感じるくなど、人によって異なり、その程度は様々です。
ぎっくり腰など原因に身に覚えがある場合もありますが、原因が思い当たらないのに痛みが長期にわたり続く場合もあり、日常生活も不安定になってしまいがちです。
症状をなくすには原因を探す必要もありますが、必ずしも腰そのものに原因があるとは限らないため、「どのあたりが、どのように痛むのか?」を具体的にすることが手掛かりのひとつとなります。

2.腰痛の原因

腰痛の原因はさまざまですが、病院を受診して、診察やレントゲンなどの検査検査によって原因が特定できるのはわずか15%程度ともいわれています。

①原因が特定できるもの
病気やケガによって起きている腰痛の場合には、検査によって原因を特定することができます。
代表的な病気には、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、背骨の骨折、すべり症、分離症などがあります。
また、かぜや胃潰瘍など消化器系の病気、尿路結石など泌尿器系の病気、子宮筋腫など婦人科系の病気が原因となっていることもあります。

②原因が特定できないもの
検査などで原因をはっきりと特定できない場合には、以下のような影響が関係していると考えられています。
●加齢 骨や筋肉の衰えによる背骨への負担
●生活習慣 運動不足、肥満、冷え症など
●姿勢 猫背や反り腰、デスクワークや車の運転等で長時間同じ姿勢が続いた場合
●精神的ストレス

『ぎっくり腰』は急に起こった激しい腰痛を指す一般的な名称です。物を持ち上げようとしたり腰をねじったりというきっかけが思い当たらない場合には、ほかの原因が隠れていることもあります。

3.現代医学によるアプローチ

3-1.治療

原因と痛みの程度によってその後の治療が決まりますが、痛みをやわらげる治療が基本となります。
●生活環境の改善
姿勢や生活環境、あるいは職場環境(作業環境)など腰に負担のかかる環境を見直す
●薬物療法
湿布薬、飲み薬(鎮痛薬、筋弛緩薬、ビタミン薬など)
●リハビリテーション
運動療法、温熱療法、マッサージなど

痛みが激しい場合や痛みが軽快せず日常生活に支障が出る場合には、『神経ブロック』という特殊な治療や手術が必要になることもあるようです。

3-2.予防

腰痛は、普段の生活習慣の見直せば、予防したりやわらげることができます。
●よい姿勢を心がける
●中腰や前かがみなど、不自然な姿勢にならないように気をつける
●同じ姿勢が長時間続く時には、定期的に立ち上がったり体を伸ばすなどストレッチを取り入れる
●ストレスを解消し、心身のリラックスを図る
●肥満や運動不足にならないよう、運動を取り入れる

4.鍼灸によるアプローチ

「腰痛は筋肉のコリをほぐすマッサージではなく、鍼灸による治療も可能なのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、腰痛の症状も鍼灸によるアプローチが対応可能な症状の一つです。
その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
一般的な治療では、腰痛のつらい症状を筋緊張を緩和するためのマッサージ、湿布などの外用薬により抑えます。
しかし、それらの治療を受けている方の中には、『マッサージは一時的には良くなるが、だんだん効果を感じなくなってきた』、『マッサージを受けるともみ返しがおこりやすく、翌日かえってつらくなるので苦手だ』、『湿布は皮膚がかぶれて痒みがでるので使用することができない』『長期間、慢性的に腰痛を抱えているので、対処療法ではなく根本から治したい』と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。
また、あちらこちらの病院や民間療法を渡り歩き、現代医学的に様々な検査を行っても原因が明らかにならならず、自分にあった治療法がみつからないために、症状を抱えながら日々を生活している、という方も中にはいるかもしれません。
一方、鍼灸施術による腰痛の治し方は「症状が起こっている根本の原因」をみつけだし、それを正すことによって、腰痛の症状を取り除くとともに、腰痛をおこさない身体づくりをしていきます。
東洋医学的には、「季候、食事、疲労、ストレスなど、何らかの原因で、体内循環が停滞、または身体を十分に栄養することができないために、腰痛の症状がひきおこされる」と考えて治療にあたります。

5.東洋医学における腰痛とは

では次に、腰痛の東洋医学的分類について、その原因を探っていくことにします。

5-1.筋肉や関節の使いすぎによるもの(経絡経筋病型)

毎日、座りっぱなしでパソコン作業を継続していた後や、ゴルフの練習を繰り返ししていた後に、腰痛を発症した。
このように、日常生活において、同一姿勢の継続、あるいは特定の筋肉の使いすぎなどによって、ある特定部分に負荷がかかりすぎて、経絡経筋が異常をきたして腰痛が悪化したものを、経絡経筋病といいます。
経絡は、人体を川の流れのように流れており、気・血・水(東洋医学上の人体の構成要素)を身体の隅々まで運んでいます。
経筋は、東洋医学上で筋肉・関節に類似するもの、とされています。
どの経絡経筋が損傷しているかは、動作による痛みの誘発チェックを参考とすることが可能です。

①足太陽膀胱経
 ものを拾うなど前屈作業で患部が痛む
②足少陽胆経
 側屈(横方向の曲げ伸ばし)、回旋(ねじる動作)で患部が痛む
③足少陰腎経
 歩きすぎや立ちっぱなし等、下半身への負荷をかけることで患部が痛む
④足陽明胃経
 後屈作業で患部が痛む

5-2.外気の影響によるもの(風寒・寒湿・湿熱-外邪型)

朝起きた時に、ゾクゾクした寒気や背骨のこわばりを感じて、急激に腰痛が悪化した。
または、梅雨時や雨降りの時に、身体の冷えとともに腰痛が悪化した。
あるいは、夏場、高温でムシムシ日に、腰痛が悪化した。
こうしたタイプの腰痛は、外気の冷え、寒さ、湿気、熱などが人体に影響を及ぼし体内の気血の巡りが停滞したことで腰痛を発症したと考えられます。
特徴としては、腰を曲げ伸ばしした時に痛みが強く、その動作をくりかえしているうちに楽になってくる=スターティングペイン、を伴うことが特徴です。
こうした急な腰痛の悪化は、風邪の引き始めの症状である可能性が高く、
東洋医学では、身体の上のほうから風邪が身体に侵入してくると考えられています。
風邪により、身体の気血の巡りが阻害されて体内循環が停滞することから、腰痛の症状が急激に悪化します。
このタイプの特徴として、急激な発症、発症と同時に寒気や喉の痛み、鼻づまり、鼻水、咳などの風邪症状を伴うことが多くみられます。

5-3.ストレスが原因となるもの(気滞、肝鬱気滞型)

精神的プレッシャーや焦ることが多い、あるいは、デスクワーク作業などで同じ姿勢を長時間続けることが多い。
仕事や勉強に集中している時は症状は気にならないが、緊張から解放された後、一日の終わりや繁忙期が終わった頃に腰の痛みが辛くってきたのを感じる。
こういったタイプは、精神的・肉体的なストレスが原因となって腰痛を発症していることが多いです。
これらのストレスは、知らず知らずに身体の過緊張を生み出し、腰周辺の気血水の循環が停滞することから肩こりを発症します。
このタイプの痛みの特徴としては、以下のようなものがあります。
・痛む部位が移動しやい
・張った感じの痛みを伴う
・痛みが動いているうちに楽になっていく
・シャワーやマッサージで楽になる

5-4.血流の停滞によるもの(瘀血型)

精神的なストレス等による身体の循環停滞が長引くと、体内の血流が悪くなり、血液の老廃物が蓄積しやすくなります。
また、打撲・捻挫、腰を強くひねってしまった場合も、同様に血液の老廃物が腰部の周辺に蓄積しやすくなります。
このような血流のよどみ・滞りによる血液の老廃物のことを東洋医学では瘀血とよび、腰の痛みをひきおこす原因となります。
このタイプの痛みの特徴としては、以下のようなものがあります。
・痛む部位が固定されている
・刺されるようなするどい痛みがする
・夜間に痛みが悪化しやすい

5-5.暴飲暴食の繰り返しによるもの(脾虚、湿痰阻絡型)

食べすぎや飲みすぎの繰り返しているうちに、腰痛がひどくなった。
このタイプは、暴飲暴食、夜間の飲食を繰り返して胃腸への負担が積み重なることから胃腸の働きが弱まり、体内で老廃物が作られやすくなり、それが腹部あるいは腰部の循環を邪魔するようになることから、腰痛を悪化させます。
このタイプの痛みの特徴としては、以下のようなものがあります。
・痛む部位が冷たく鈍く重たい、痺れたような感じがする
・痛みが頑固
・仰向けなっていると痛みが悪化する
・頭重感や全身のだるさを伴う
・痰がからみやすい
・雨の日に悪化しやすい
・食生活を改善したら症状が改善した

5-6.肉体疲労と体力低下によるもの(腎虚型)

東洋医学では、『腰は腎の府』(素問 脈要精微論篇)と古くからいわれています。
これは、腎の臓と腰痛は非常に深い関係にある、ということを意味するものです。
腎虚とは、虚弱体質・過労・過度な性生活・加齢などが原因となり、身体に疲労がたまって体力が衰えてしまい、身体を正常に機能させるために必要となるエネルギー(腎精、腎気)が不足してしまう状態のことをいいます。
エネルギー不足は下半身(足腰)の身体を培う栄養不足につながることから、腰のあたりの組織の潤いが不足して、腰痛をひきおこします。
このタイプの痛みの特徴としては、以下のようなものがあります。
・歩き続けたり、肉体的な負荷が増すことで痛みが悪化する
・頭のふらつき、めまい
・疲労感がある
・忘れっぽい
・耳鳴り
・目のかすみ
・無気力感

6.腰痛に対する鍼灸の施術例

次に、鍼灸による腰痛に対する施術例をご紹介したいと思います。
一度の施術で使うツボは1つです。施術時間は休憩含めておおよそ1時間程度です。
なお、鍼をする前には、あらかじめ詳しく問診をする必要があり、腰痛の症状だけでなく、他にもある様々な身体の症状(随伴症状といいます)、その人の体質、その時の体調、施術をする時の季節、天気なども考慮する必要があります。
その上で、その人の身体全体の状態(脈、舌、顔色、身体の熱冷のかたより、身体の緊張、手足ツボの反応など)から、トータル的にみて、最も原因にふさわしいツボを選び鍼をします。
そのため、腰痛の症状、原因が同じでも、その時々で使用するツボも変えることが必要となります。

では、以下に腰痛に対する施術の一例をご紹介します。

【患者】40代半ば女性、身長150cm程度、体重50kg前半
【初診】202X年12月X日
【主訴】腰痛
【問診】慢性的な肩と背中のこりは20代の頃からあったが、初診日の前日の朝から急に腰のあたりに重くドーンとした感じの痛みを感じるようになった。
動き出すときが一番痛みが強く、起床時の痛みも強い。
横になって仰向け姿勢で寝ていると痛みを強く感じることから、長時間仰向けになっていることができない。
仕事は事務職、年末に向けての繁忙期で仕事量が増えていることから、残業が続いている。
その頃から、仕事の忙しさから気分転換のために、甘いものやスナック菓子をちょくちょく食べることが急に増えるようになった。
睡眠は、途中覚醒をすることが増えており、熟睡感がなく、疲労感が目立つ。
仕事を休むことができないので、なんとか早く症状を改善したいと思い、インターネットで治療方法を探し、鍼灸での治療を試してみたいと来院をした。

【初診時の問診内容】
・頸から肩、背中にかかけて張っている感じがする。
・前日、左の首のあたりに寝違えがあった。
・入浴をすると腰の痛みは若干楽になる。
・仕事では、一日中椅子に座ってパソコンを使って過ごすことが多い。
・眼の疲れが目立つ。
・そろそろ更年期なのか月経周期が乱れている。
・繁忙期に入ってから便秘がち、良い状態の便があまり出ない。

【診断と治療方針】
問診事項、および身体全体の状態を診て、今回の腰痛の原因は、以下の証が混在する状態であると診断。
・太陽中風
・肝鬱気滞
・腎虚
・湿困脾土
従って、身体に入った冷えをとりながら、余分な体の緊張を取り除きつつ、下半身の弱りと胃腸を強化、内湿を取り除くように鍼灸治療を行う。

【日常生活での注意点】
・適度に運動する。
・夜腹いっぱいまで食べ過ぎないようにする。

【経過】
初診 施術直後、腰の痛みが半分程度に改善をして、動きやすくなった。
頸から肩、背中にかかけて張った感じがゆるみ、身体全体が軽くなったことを実感。
2診 鍼を受けた後はだるさもなく、初診日の翌日にはほとんど痛みがなくなったことから仕事にいくことも出来た。
3診~ 予防を含めたさらなる治療の継続を本人が希望しており、現在も治療を継続中。

7.まとめ

今回は腰痛について、症状ごとのタイプや原因、治療方法をとりあげました。
東洋医学においても、腰痛に対して鍼灸でのアプローチが可能なことはご理解いただけたでしょうか。今回はここまでとなります。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/


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