見出し画像

【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「麦茶」でからだをリフレッシュ!

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

以前、こちらの記事で『八十八夜と「緑茶」のヒミツ』と題して「緑茶」を取り上げました。
日本人にとってお茶と言えば、やはり「緑茶」ですよね。
けれど、暑い夏にはやはり「麦茶」ではないでしょうか。
「麦茶」は夏の季語として俳句や詩歌にも詠まれており、まさに夏の風物詩、昭和の時代には各家庭で大きなやかんで煮だして作っていたそうです。
今では、飲料メーカー各社から「麦茶」のペットボトルが発売されていますので、より一層身近な存在となっています。

そこで今回は、「麦茶」とその原料である「大麦」をとりあげ、そのヒミツや「麦茶」のすごさ、東洋医学的な効能などをご紹介していきます。
『5.麦茶の楽しみ方』では、いつもの麦茶にひと工夫加えて、美味しく楽しく味わえるレシピをお伝えします。
では、どうぞ最後までお楽しみください!


1.夏に「麦茶」がおすすめの理由

「麦茶」は、お茶といっても「大麦」を焙煎して、その浸出液を飲むものであるため、お茶の仲間ではありませんが、香ばしさとともにほのかな甘みがあって、さっぱりしたのどごしでのため、夏のお茶の定番となっています。
他の清涼飲料水に比べると、ほとんどカロリーがなく、保存料や甘味料などの添加物の他、カフェインやタンニンなど気になる成分が含まれていないので、小さなお子さんや妊娠中の方など、どなたでも気軽に飲めるというのも人気の理由ですね。

【麦茶の効果】
●体温を下げる効果で夏バテ予防
「麦茶」にはナトリウムやカリウムが含まれています。
汗で失われやすいナトリウムを補い、また、カリウムの利尿作用がで熱を体の外に排出することができます。
そのため、熱中症対策としても役立ちます。

●血行促進
「麦茶」には、アルキルピラジンという成分が含まれています。
アルキルピラジン類は、ピーマン・タマネギ・トマトなどの野菜に含まれている香り成分の一つで、血液をサラサラにする作用があることが知られています。
この作用によって血流を促進するため、冷え性や肩コリなどの不調を予防することができます。

2.「麦茶」の歴史

「麦茶」の原料である「大麦」は、実は、人類最古の穀物のひとつとされています。
原産地は西アジア地域とされていて、およそ9000年前のイラクの遺跡からも大麦の種が発見されています。
「大麦」は生のままでは食べられないため、古代人は炒ったものを水に浸けて食べたり、また、炒り麦のつけ水を飲んでいたようです。
こうした利用方法は現代の「麦茶」に似ていますね。

「大麦」が日本に伝わってきたのは紀元前2~3世紀頃といわれています。
平安時代初期に編集された『和妙類聚抄』には、
「米麦を乾かし、これを炒って粉にし、湯水に点じて服す。」
という記述が残っています。
炒った米や麦の香ばしさを楽しむ飲み物というのは、現代の「麦茶」に似ていますね。
その後、江戸時代になると、「麦茶」が一般的な飲み物として広く飲まれるようになりました。

「麦茶」に類似したものとしては、古代ギリシアの医師 ヒポクラテスの治療法の文献に、発疹した患者に発芽した大麦の煎汁を飲用させ排尿量を増やす、というものもあったそうですよ。
ヒポクラテスは「医学の祖」と称される人物で、健康・病気を自然の現象と考え、科学に基づく医学の基礎を作ったことで知られています。

3.「大麦」の栄養学的効果

「麦茶」の原料である「大麦」の主な栄養は炭水化物で、全体の約77%を占めています。
また、食物繊維を豊富に含んでいます。
特に、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をともにバランスよく含んでいるのが特徴です。
鉄分や亜鉛、カルシウムなどのミネラルやビタミンB1も含みます。
栄養学的には、以下のような効果が期待されます。

《炭水化物》
炭水化物は、ブドウ糖や果糖などの糖質で構成されているものの総称で、脂質、タンパク質とともに3大栄養素のひとつです。
主に、脳や体を動かすエネルギー源として利用されます。
集中力を高めたり、疲労回復にも大切な栄養です。
ダイエットを意識して糖質を制限する方もいるようですが、炭水化物は消化吸収が良く、タンパク質や脂質に比べてエネルギーに利用いやすい栄養なので、極端な糖質制限は控えた方がよさそうです。

《水溶性食物繊維》
β-グルカンやアラビノキシラ ンなどが多く含まれています。
β-グルカンは、糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の上昇を穏かにします。
また、コレステロールを体外に排出する効果もあります。余分な塩分を排出する働きもあるので、むくみの予防にも効果的です。

《不溶性食物繊維》
水分を吸収して便の容積を増やします。
その結果、腸を刺激して動きを活発にし、便通を促進する効果があります。

《カルシウム》
骨や歯の主要な成分ですが、血液を固めて出血を抑えたり、筋肉の動きに必要な栄養素です。
また、神経細胞の活動にも関わっていて、精神を落ち着かせる働きもあります。
普段からイライラしたり落ち着かない方は、カルシウム不足の可能性もあります。
積極的に摂取してみましょう。

「大麦」に含まれる栄養素は白米にも含まれていますが、「大麦」のほうがより多く含まれています。
特に、水溶性食物繊維は白米には含まれていないため、普段の食事に「大麦」を取り入れて、不足しがちな栄養素を上手に摂取することをお勧めします。

4.「大麦」の東洋医学的な効能

東洋医学的には、「大麦」は以下のような属性と効能をもちます。

【性質と味】 
甘・塩味、微温
【関連する臓腑経絡】 
脾・胃・膀胱経

①清熱消渇(せいねつしょうかつ)

糖尿病の症状(多飲・多食・多尿・体重減少)

『中医基本用語辞典』によると、「消渇」とは、
『渇いて多飲・多食・多尿するが、かえって痩せて体重が減少するという「三多一少」と称される一連の症状を伴う病床を指す。』
とあり、現代でいうところの糖尿病の症状に該当します。
「大麦」には、身体にこもった余分な熱を沈たり、からだの余計な水分を排出する作用があることから、糖尿病の改善にも効果的です。
なお、糖尿病に関しては、鍼灸治療が適応であることが、WHO(世界保健機構)において認められています。

②補脾和中(ほひわちゅう)

脾の臓の働きを高めることから、胃腸の膨満感や悪心・嘔吐などの消化不良の症状を整えます。
また、消化吸収によりエネルギーを作り出すことから、病気に対する抵抗力を高めます。

③強心養血(きょうしんようけつ)

心の臓の機能をたかめて、血を生成し全身へ行き渡らせるように働きかけます。
それにより、身体全身が栄養されることから元気回復に役立ちます。

大麦は微温性で栄養のバランスがよいので、いろいろな体質タイプの方に向く食材です。
ただし、消化しにくい一面もあることから、胃腸の弱い気血両虚体質の方や陰虚体質の方、下痢をしやすい方には胃腸の負担になりやすいので控え目にしたほうがよさそうです。
発芽した大麦は麦芽という漢方薬であり、消化の促進や整腸作用の効果が期待できます。

市販の青汁の原料となっているのは、大麦若葉は大麦の苗にあたります。
涼性で熱を冷ます性質を持つので、熱っぽく肝陽亢盛で高血圧の方には向いているようです。
また、食べ過ぎで消化不良のある方にも、食物繊維豊富な大麦苗が合うようです。

5.「麦茶」の楽しみ方

からだによいと言っても「麦茶」ばかりでは物足りないと感じることもありますよね。
そこで「麦茶」をもっと楽しむためのアイディアをいくつかご紹介します。

①塩と砂糖を入れて熱中症予防効果をパワーアップ!
「麦茶」はミネラル分を含んでいると言っても、その量はごくわずかです。そこで、特に汗をたくさんかいたときなど、塩と砂糖をわずかに加えてみてはいかがでしょうか。
熱中症予防のスポーツドリンク代わりにもなりますし、塩と砂糖の働きで、よりミネラルが吸収されやすくなります。
分量はお好みでよいのですが、塩分も糖分も摂りすぎには注意が必要ですので、入れすぎには気を付けてましょう。

②レモン果汁や牛乳を加えて紅茶風に!
レモン果汁を加えればさっぱりとした口当たりで、夏にはぴったりです。
また、牛乳を加えるとまろやかになり、まるでカフェオレのような味わいになります。
この場合、少し、濃いめに出した麦茶を使用するのがポイントです。
いずれも、あたたかい「麦茶」を使うと麦の香ばしい香りが際立ち、疲れた時のほっと一息、あるいはお休み前のリラックスにおすすめです。

③疲労回復には梅干しを!
梅干しには、疲労回復に効果のあるクエン酸が含まれています。
そこで「麦茶」に梅干しを加えてみませんか?
そのままの梅干しでは酸味が際立ってしまいますので、はちみつ梅がおすすめです。
市販のものでも構いませんが、普通の梅干しをはちみつに2~3日漬けておけば甘みが染み込みます。
レモンやミルクと同様、あたたかい「麦茶」でも美味しいですよ。

このほかにも、インターネット上には、お酒を割ったり、煮物に使ったり、「麦茶」のいろいろな使い方が紹介されていますので、興味のある人は、ぜひ調べてみてください。

ひと手間の工夫で、味に変化をつけたり、効果を加えたり、また、気分や用途に合わせてもいろいろ楽しむことができます。

6.まとめ

最後に、みなさんは、「麦茶」の原料となる「大麦」が、どこで作られているかをご存知でしょうか?

ペットボトルの「麦茶」には外国産のものや国産のこだわりの品種など、いろいろな「大麦」が使われています。
主につかわれているのは六条大麦で、寒さや乾燥に強いため、ほぼ日本全国で栽培されています。

実は、筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』が所在する千葉県にも、こだわりの麦茶があります!

『ちば麦茶』(匝瑳市 小西製粉)は、千葉県産小粒大麦のみ使用して、昔ながらの釜煎り製法で作られています。匝瑳市のふるさと納税の返礼品にもなっています
こちらは千葉県内の大手スーパーなどで取り扱われていますが、他県では販売されていないようです。
千葉にお住まいの方、また千葉に遊びに来た方は、ぜひ探してみてくださいね。

いかがでしたでしょうか?
『「麦茶」でからだをリフレッシュ!』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』ほか
参考資料:全国麦茶工業協同組合ホームページ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?