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いじめが起きてしまった時の対応方法【教採対策&初任者のために】

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 「いじめは絶対に許さない!」と学級開きの時に生徒の前で話をした4月。

 しかし、すぐにコロナの影響で休校期間が訪れ、「こんなクラスにしたい!」という自分の思いは休校期間で薄れてしまうだろうなと思いました。

 ただ、全力で思いを語りました。


 そんな休校期間を経て、学校再開して2ヶ月が経つ頃学級の中で ”いじめ” が発生していることがわかってきました。


1.起きてしまった”いじめ”

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 「あいつ無視しよーぜ」

 何気ない一言から始まったいじめでした。

 なんとなく嫌だという理由で、無視し始めたそうです。

 理由は特にない。でも気に入らないから無視する。強いて言えば、その子の話し方や態度に不満があることくらいらしいです。


 いじめの期間は約3ヶ月間。SNS上で言うことが多く、学校の生活の中ではなかなかいじめをしている状況がわかりにくい状況でした。

 しかし、ある時、その子が話す時にだけ ”目線が下を向く” ”冷たい態度"  "冷やかしの言葉" などが見られるようになりました。

 その時、「もしかして、いじめがある?」と疑い始めました。

 そう思ってからは、意識的にいじめがあるか見るようになったため、一人一人の言動に注意を払い観察することができました。

 すると「あれ?」と思う様子が度々起き、これはおかしいと思い、学級の子(周りの様子をよく見ているだろうと感じた子)たちに簡単な聞き取りを行いました。


 「SNS上であからさまに嫌がらせをしている」

 「最近は学校の生活の中でも、先生のいないところで嫌がらせをしている」

 ということが明らかになってきました。


 やっぱりか…というのが本音でした。学級の雰囲気が重くなっている感じがしたので、多分そう(いじめがあるかも)だろうなと思いながらも確信を得ることができなかったので、なかなか踏み出すことができませんでした。(事実確認がきちんとしていないのに指導のような聞き取り・話などをしてしまうと、保護者や子どもから不信感を抱かれる場合があるため)

 しかし、確信を得てから「すぐに動かなくては!」と思い、様々な人に相談しました。

 あとはとにかく丁寧に正確にスピード感を持って対応していくのみでした。


2.生徒指導は時間勝負

 とにかく、生徒指導はスピードが大切と言われていますし、感じてもいます。

 例えば、日や週をまたいでの指導、放課後にまとめて指導というのも遅いと感じています。

 休み時間や給食の時間など、様々な空き時間を活用してすぐにでも対応していくことが大切になると常々感じています。

 たった5分でも10分でもいいので、その対応の早さが子どもの安心につながり、そして信頼関係を築く上でも大切になってくるのではないかと考えています。


 では、具体的にどのように対応するかです。

⓪ 事案の大まかな全体像の把握 & 職員間の作戦会議

① 事実確認(個別)→事実確認した内容を当該者で再確認

② 学級指導 & 学年指導

③ 当該者に再度指導(+謝罪)

④ 当該者の家庭と情報共有+家庭での様子の把握

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 とにかくできるだけ多くの教員の目でいじめに関わった子の周りの環境や現在の様子を観察し、担任や生徒指導担当の教員に逐一報告する。

 たくさんの教員が特定のクラスだけを優先して様子を観察しにくることは、なかなか難しいですし、根気・体力も使います。

 しかし、今、絶対に注意しなければならないことは、”いじめの再発” です。

 再発しないためにも、辛いところに立ち向かう必要があると感じました。



3.2度と”いじめ”を起こさないために

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 2度といじめを起こさないためにも、そのクラスや集団の環境を整えてあげるということがとても大切になってきます。

 いじめがあったときに、クラスの中で話し合いをすると思います。

 その中で出てきた、「いじめは絶対に嫌だ」や「いじめはしてはいけないことだ」と思っている児童生徒の意見をクラスに紹介し、みんなこういう思いなんだよということをみんなでみんなの認識を共有していく活動が必要になってくると思います。

 また、小学校と中学校では発達段階の違いがあるので対応が変わってくると思いますが、中学校や小学校高学年程度の発達段階であれば、学級目標に迫っている姿なのかや、自分たちの理想とする姿なのか、最高学年としての誇りはあるのかなど、具体的に決めた目標などに立ちかえらせる必要があります。

 なぜなら、ただ反省しただけではその後どうしていけばいいのかの見通しがつかないで不安になります。

 そしてその不安がまたどこかで、いじめといった形で表に現れてきます。

 児童生徒を先回りして指導していくためにも、いま自分たちはどこを目指しているのか、理想の姿などをイメージさせ、その姿に迫るためにどんなことをしていかなくてはならないかを具体的に考えさせることが良いと思います。

 *目標に迫らせていくのであれば、児童生徒で考えた目標でないと難しいかも…


4.いじめられた児童生徒になにか原因がある

 正直、いじめられた子は100%被害者であるという認識を教員は持たなければなりません。

  しかし、実際にはどうなのかな?と思う節がいくつもありました。

 例えば、「相手を傷つける言葉を言っていた」「相手の嫌がることを何度も繰り返した」「相手との距離感が近すぎる」「なれなれしい」「自分勝手」「周りにはいうくせに自分には甘い」・・・などたくさんの理由があると思います。

 せっかくの指導のチャンスなので、被害者ではあるものの「こういうところは気をつけたほうがいいんじゃないかな?」とやさしく指導することも大切なことなのではないかと感じています。

 もちろん、非常に難しいとは思いますが…

 なんどもいじめにあっている児童生徒であれば、原因を一緒に解決していくことはいずれ大きな1歩になると思うので、ぜひ指導のチャンスを生かせるといいなと思います。



5.いじめた児童生徒の原因もある

 4ではいじめられた児童生徒の原因について書きましたが、もちろん一番重要なのは、いじめをした児童生徒の原因を理解し、解決に導くことです。

 結局またいじめを繰り返してしまう原因を絶たなければ意味がありません。

 また、そういった児童生徒がいなくなることでしか安心した学級にはなりません。

 周りの児童生徒を安心させるためにも必須の指導になります。


例えば、こんな原因があるのではないでしょうか。

・自分の立場(学級の中で優位の立場)をまもるため

・周りからどう思われているかの目が怖い

・自分には価値がなく、周りの人を貶してしか生きていけない

・自信がないから、自信を持ちやっている人が腹立たしく感じてしまう

・マイナスの面にしか目がいかなく、気になって仕方がない

・家庭環境が複雑で精神的に安定(安心)できない。

 など挙げ出すと、実態や家庭環境によってキリがありません。

 でもきっとパターンが見えてきます。

 自己肯定感が足りない、認められた経験がない、周りから大切にされていないなど、何かの欲求が満たされないのでしょう。

 したがって、いじめた児童生徒の”なぜいじめたのか”の原因を探り、その原因を解決していく指導をすることが必要だと考えます。

 ”いじめをしなくてはいけない状況であった”可能性もあるのかもしれません…

*ただし、いじめをしたことは決して許される行為ではないこと、一生心の傷は消えないことなどはきちんと理解させる必要があります。


6.最後に 抑えるべき4つのポイント

① 生徒指導は決して1人では行わないこと

 複数人数をかけ聞き取りや指導を行い(最低でも2人以上の教員で行う)証人を多くしておくこと 

 ただし、録音や録画などは様々な権利の問題にもなりかねるので、使用は控えるといいと思います。(録音したい気持ちはよくわかります…)


② 相談できる仲間(同僚)を作っておくこと

 職員室で1人または2人でもいいので自分の席の近くの人との関係をつくっておきましょう。

 なんでも簡単に気軽に聞ける関係があることで安心感が全然違います。

 逆に言えば、自分がその人たちに対してその程度役に立っているのかも同時にはかることができます。

 お互いGive&Takeの関係を上手く築き、支え合う関係をつくることで、ちょっとしたトラブルも難なく済ますことができたり、未然に防ぐ手立てをおさえることができます。


③ 指導する際はできるだけ多くの教師から指導する場があるように仕組む

 学校の先生たち全員が同じ考え方なんだなと感じさせ、子どもにことの重大さを実感させるためです。

 また、「この学校の先生たちは自分たちのことをめっちゃ見ている」と”見られている感”を感じさせるためです。

 ただし、”見られているだけ”ではただの”監視”ですので、その児童生徒が頑張っていたときにきちんと価値付けながら認めてあげたりすることが必要です。


④ いじめは人の命を奪うことがあり、その責任は取れないことを認識させる

 これは事実としてきちんと伝えるべきです。

 何気ない一言、何気ない行動がかけがえのないのない命を奪うことになることは知らなければならないことです。

 さらに、いじめにあった児童生徒の親の思いなど自分がいじめについて知っている情報を伝えていくことで「いじめはよくないことだ」「いじめをするとたくさんの人が悲しむ」と言った認識を育んでいかなくてはなりません。



 いかがだったでしょうか。少しでも役に立てば幸いです。

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